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【UW映画感想】#66『哀れなるものたち』【タケウチユウイ】

ランティモス。
イメージフォーラムで『籠の中の乙女』を観たのが20年以上前。心臓ぶち抜かれてから今日までこの監督のTORIKOです。この世の全ての食材に感謝を込めていただきます。
そして『女王陛下のお気に入り』から待つこと5年。途中傑作短編『Nimic』を挟みましたけど、本当に本当に待ちに待った、、、
期待せず待ってました。待が重なっちゃってます。
重待、待の渋滞。
まぁ期待しないなんて無理っすよ。
ホフディランの"マフラーをよろしく"みたいなテンションです。

結果は期待以上。


バジェット的には恐らく過去最高で、
大林宣彦ばりの背景も超かっこいいし、ゴンドリーのようなセットも圧倒的。
19世紀後半のリスボンやアレキサンドリアがあんなだとは到底思えないのだけど、寓話っぽさが増していい。車とか飛んでたとしても何の違和感もない。エルデンリングとかゼルダみたいで、おらワクワク。


衣装の素晴らしさは言わずもがな、アカデミーの衣装デザイン賞は間違い無いでしょう。
結構演者の後ろ姿のカットが多いのだけど、それらは現場の即興。それらも想定された後ろ身頃のディティールも素晴らしいですよね。肩の装飾とか。ホリーさん天晴れ!

時折挟むトラックイン、ズームインやワイドレンズの多用といったランテイモスらしさも健在。

また序盤に犬声で吠えるシーンがあるけれど、あれをみて『籠の中の乙女』がよぎりました。
そもそも"閉鎖"がテーマとして多い監督で今作も序盤の白黒パートはそれを踏襲。ただこれまでとは違ってその先に解放があるから面白い。
ランテイモスが作ったモンスターが初めて世界に放たれて暴れ回るんですよ。
マークラファロなんかは僕とおんなじ。
僕が監督に恋したように、監督が作ったベラにもう夢中。その奇天烈さにステレオタイプぶち抜かれちゃってるわけですよ。

今作の脚本は引き続きトニーマクナマラさん。
いやぁ本当にありがとうございました。素晴らしかったです。
エマストーンとは『クルエラ』を含めて3度目のお仕事。『クルエラ』本当に良かったですよね。
監督的には彼こそが登場人物に声を与えられる人材だとのこと。
メジャー入る前の作品なんか割と会話は淡白。
じゃあ何で担保してるかって、それは表情だったりストリングスのピチカートだったりカメラのズームインだったりで。その演出がめちゃくちゃ巧い監督じゃないですか。

今作ではエマストーンのダンスシーンがあります。コンテンポラリーなダンスはピナバウシュの様。
エマストーンのダンスっていいすよね。『ララランド』もWill Butlerの『Anna』も。
エマストーンとマークラファロが席で言い合いをしている中曲がかかり、ダンスが始まります。次にマークラファロのカットが挟まり、彼はまだ彼女が席を立ち踊っていることを知らず言い合いの続きの言葉を吐き、その後彼女がいないことに気が付きます。そして次のダンスシーンには彼がカットインしてきて一緒に笑顔でダンスしてるんですよね。さっきまで拉致開かない言い合いをしていたのに。
これだけでどれだけ彼女に夢中なのかがわかるんですよね。
こういう引き算的な見事な脚本と巧妙な演出がマッチして素晴らしく可笑しなシーンに仕上がってます。

最高でした!
ラストのグロさはもうお家芸。
一杯目でこの切れ味、おかわり!

あとスチールは日本人のjimaさんが入ってます。
ランティモスとは『聖なる鹿殺し』から一緒。
すごくいい写真ばかり。makina67欲しくなっちゃう。『Severance』も携わってるなんて羨ましい!
僕もこういう映画のBTSの写真とか撮りたい!
コンタクトとって弟子入りしたい!
一緒にニューヨークでステーキ食べたい!
お願いします!

曲のこととかも書いたらキリがないのでこの辺で。
熱烈ジャンプ!


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