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【UW映画感想】#69『哀れなるものたち』【芳賀隆之】

映画フリークの間で昨年から何かと話題になっていたヨルゴスランティモスの最新作。エマストーン主演。早くもアカデミー女優賞の声が名高い。見てきました。怪作!!見る人は確実に選ぶ問題作でもあります。なんといってもエマストーン、NGないの?!ってくらい怪演してます。早い話ヤリまくってます。彼女は今作のプロデューサーも兼任してて、つまりはヤラされてるわけではなく自らヤッてる。すごい覚悟と、パッション。こりゃ獲りますねオスカー。

自殺をした女性の体に赤ん坊の脳を入れて蘇生させて誕生した「ベラ」のお話。彼女がヨーロッパ周遊の旅?で様々な出会いや経験を通して自分を確立していく。強烈なフェミニズムの映画でもあり、現代的な価値観への風刺でもある。ベラはとにかく自由。体は大人でも、頭や心は子供。だから、道徳なんてない。自分がどう思われるかじゃなく、自分がどう思うか。究極的にわがままで自己中心的ではあるけど、同時に本能的な魅力が凄まじくもあるし、子供だからこその本質的な問いと行動原理。パーフェクトデイズの役所さんの生き方に憧れたが、それとは全く逆の、自分らしさの究極系。ある種彼女は、もっとも進化した人類であると思う。多様性の最先端にいる。

誰かに認めてもらう、承認欲求ではなく
自分の使命天命に従い成長する、自己実現欲求。
マズローの言う5段階欲求の頂点にいるのはまさしくベラである。今の文化文明、社会システムをすべて超越した存在。この生き方がもし、人類の先であるとするならば、きっと文明は途絶え、超自然的な生き方になるだろう。それはそれで、ユートピアだとも思う。

僕もこの映画を通して、人から嫌われることがそんなに怖くなくなった。傷つけなきゃいいと思う。よく思われることよりも、そっちの方が大事だと思う。ベラの生き方を見習いたい。

そんなことより何よりも、エマストーンとマーガレットクアリーの共演が、一番アツかった。

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