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21/22英プレミアリーグ第17節延期分LEITOT

Carabao杯準決勝はChelseaに手も足も出ず.再起を図りたい.

試合前情報

COVID-19感染拡大の影響で延期されていた試合が開催.

Evansは負傷,Ndidiはアフリカ選手権で離脱中などチームの核が不在のFoxes.対するSpursもDier,Romeroの離脱が続き急造バックラインに頼らざるを得ないほか,2大エースの片翼Sonが1月いっぱい不在.

試合内容

結果:2-3 勝利
xG :1.95 - 4.25

 5-3-2のミラーゲーム.前半から決定機を作り続けるも実らず,逆に少ないチャンスをものにされる不本意な試合としてそのまま終わるかと思われたが,途中出場のBergwijnが95分・97分に2得点.リーグ史上最も遅い時間からの逆転劇だったそうで,記憶にも記録にも残る大逆転に成功.ただこの試合,個人的に気になったのは右サイドバックの目立ち方が前後半の2人で大きく違った点.フォーカスして見ていくとベンチサイドでの駆け引きまで見えてきて面白かったので以下に明記.

 結論から書くと,前半は右サイドでがっぷり四つになりがちでスペースがなくEmersonが生きず.代わりに逆サイドでReguilon,Daviesの飛び出しがハマっていたのでチーム的には問題なかったと言える.逆に後半は左で作って右に展開する場面が多く,Dohertyに対するマークがずれて前向きにボールを受ける場面が多くなった.2人のヒートマップを比べるとDohertyの方がタッチ数は倍近く多く,特にペナルティエリア付近へより多く侵入できていたことが分かる.

Emerson 前半45分のヒートマップ
Doherty 後半45分のヒートマップ

 まずEmersonについて.試合前から打撲を抱えていたそうで,ハーフタイムでの交代は予定調和だったのかもしれない.基本的にボール保持時は大外に右CBのTangangaが張り出し、EmeはKaneと横並びの形でハーフスペースにポジショニング.裏を取る動きもなくはないが基本的にLuke Thomasを背負いながら足元で受けてはバックパスが多くなる.カウンターの場面も飛び出すのはSkippばかりで,Emersonはあまり絡めない.守備ではウイングバック同士で対峙し可もなく不可もなくといった印象.

 次にDoherty.ポジティブな場面を幾つか挙げる.

47分 右ハーフスペースでKaneが下がって受け、中央のLucasに預け自分は中に戻る.この動きに対して相手CBが前に出て対応しウイングバックのThomasは中央スペースを気にして絞る.ここでDohertyが大外でフリーになりLucasからのボールをダイレクトでクロス.逆サイドゴール前のReguilonにピンポイントで届けた.

50分 大外で足元で受けるとマークを連れて中へカットインし中央のKaneに預ける.Thomasが釣り出されているため大外でフリーになったTangangaがクロス.
 この2アクションのあとすぐ52分にThomasはJastinと交代に.

61分 Daviesの攻撃参加も絡んで左に人が集中した隙にDewsbury-Hallの脇でSkippがフリーになって受ける.Jastinが反応して絞り気味に前に出た隙に大外フリーになったDohertyへボールが渡り,グラウンダの折り返しで中央を混乱させる.
 SkippがDewsbury-Hallの脇を突いたこのシーンを見てか,2トップのLookmanを下した541にシフト.これに対しConteはWinksをLo Celsoに替えて4バックにシフト.完全にLeicesterを後手に回らせる.

 その後もDohertyは大外で受けてカットインを主な武器に何度も攻撃に絡み、ゴール前でキーパー正面のシュートを放つ場面も.ATの同点弾はHojbjergの浮き球ダイアゴナルパスにDohertyが飛び込みゴール前のルーズボールをBergwijnが仕留めた形.

 DohertyのEmersonにはない傾向としてカットインをよく使うことが挙げられ,バックパスばかりにならなかった要因もここにあると思われるが,それ以上に2人のタッチ数の違いに影響したのは左から右への揺さぶりをチーム全体でかけるようになったこと.その結果右サイドで生まれるスペースをKaneやSkippが認識してDohertyを上手く使ったことだと考えます.Skippyは若くしてこういうところ自然にやってのけてしまうから本当に恐ろしい.そして上述の流れを意図して作ったであろうConteには,現代フットボールにおける監督の重要性を改めて感じさせられました.

今後の展望

 両チームとも離脱者が多く辛い台所事情を抱え,ほとんどローテーションを組めない中でそれでも全力プレーを見せたこの試合.特に終盤,Spursの選手達の強い気持ちがあってこそ生まれた逆転劇でしたが,一方で試合を常に俯瞰で見つめ迅速な判断を下す指揮官同士の頭脳戦も興味深い一戦でした.
 ポジティブな気持ちで,いざ青いチームにリベンジのとき.相手が3-5-2ならば今節後半の左から右への揺さぶりは有効に思われます.ただ4バックで来た場合には特に被カウンター時のDohertyの裏が怖い.選手の並びから注目して見たい一戦になりそうです.

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