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21/22英プレミアリーグ第26節MCITOT

試合前情報

 今シーズン開幕カードの再戦.新監督の初陣を勝利で飾ったSpursでしたが,あれから色々変わったものです.Man CityはCLをミッドウィークに戦ったため中3日.SpursはホームでWolvesに不甲斐ない敗北を喫してから中5日での試合です.

 CityはCL Sporting戦から9人が連続で先発.Spursは守備の要,Eric Dierが復帰.Romeroと同時にピッチに立つのは11月Everton戦以来とのこと.Kulusevskiが初スタメンを飾り,冬補強組は早速Conteに戦力認定された模様.

試合内容

結果:2-3 勝利
xG :2.32 - 2.00

 Spursの並びは普段と変わらず343.この布陣をCityは直近のCL Sporting戦でも経験しているが,この試合は5-0と圧勝している.しかしこの試合では全く異なる結果に.CLとの違いはCityの得点源であるクロスへの対応方法だったと考える.

 SportingとSpursはどちらもCity最終ラインまであまり強くプレスはかけず,5-5の守備ブロックで中央を固める.Cityのアプローチも変わらず,主に右サイドで素早いボール回しとポジションチェンジからエリア内侵入を試みる.シャットアウトできてもエリア縁のフリーマンがアーリークロスを選択.タイミングとコースの精度、中の動きが噛み合うと対応が難しい.
 SportingとSpursで大きく違ったのは,サイド攻撃に対応する際に2センターハーフがエリア内のスペースを埋められているかどうか.Cityはクロスを入れる際1人がエリア縁に必ず控えており,マイナスのクロスやこぼれ球を詰めるのが十八番の一つ.そこをカバーし少なくともフリーでは撃たせないようにできるかが非常に重要になる.Sportingはサイド攻撃から3失点を喫したが,いずれも2センターがこのカバーの位置につけていなかった.一方SpursはHojbjerg,Bentancurの2センターがペナルティエリアに入りスペースを埋めることに徹した.1失点目こそGundoganをフリーにしてしまいこぼれ球を詰められてしまうも,多くの局面で決定機阻止に貢献.前線へプレスにも参加しつつこの仕事ぶり,正にCity対策の肝となる働きをみせた.

 見方によれば中盤が最終ラインに吸収される,いわゆる”バスを置く”戦術だったともいえるが,これが機能したのも最終ラインの高い集中力と,そして鋭いカウンターから確実に仕留める決定力あってのこと.Dierが大きな身振りや声で常に指示を出し続け、ラインコントロール・マーク受け渡しといった細かい作業をやり続けたが,やはり頼れるディフェンスリーダーの復帰は大きかった.そしてCityのネガティヴトランジションを上手くかわせると広がる広大なスペース,ここに突撃したKulusevski・Son・Kaneはパス・シュート共に最高の精度をみせた.両ウイングは守備時に自陣深くまで戻って消耗も激しかったはずだが,特にKulusevskiはフル出場して終盤に精度の高いクロスでアシスト.結果3人が3得点全てに絡み,文字通り勝利に導いた.

今後の展望

 ポゼッションを放棄した戦いは完全に挑戦者のそれだったし,Conteの理想の戦い方ではなかったと思う.でも今の陣容を考えると一番現実的なアプローチであって,新体制の構築段階なのだから仕方ない.KloppのLiverpoolもそうだった.時間と資金をかけて彼らはCityと互角のチームを作り上げたが,SpursもConteの下で同様のプロセスが始まっている.何より大きいのはここ最近のネガティブな空気を払拭したことと,現体制のベストメンバーが揃いつつあること.その一員として2人の冬補強組が大車輪の活躍を見せたこの試合は,2022年Spursの反撃の狼煙として大きな意味を持つはずである.

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