Yahoo!知恵袋やSNSの「知ったかおじさん」と専門を持つことの意義

Yahoo!知恵袋とわたし

我ながら気持ち悪いのだが、たまにYahoo知恵袋で弁護士の就職や、司法試験について回答している。最近では、個人的にリクエストをいただくこともある。

「激務のはずの四大法律事務所の弁護士がそんな暇あるわけないだろう」と思われるかもしれないが、別に一年中激務なわけでもないし、気が向いたときにやっているだけである。

まあ、正直他のやるべきことを後回しにしているケースはあり、そこはシンプルに各所に申し訳ないとは思っている。

きっかけは、Yahoo知恵袋でいたずらに、司法試験や自分の事務所の名前を検索してみたことだった。検索してみると、とんでもない誤情報に溢れていて驚愕した。

・四大法律事務所は、司法試験や修習の成績がいい人を採用します。
・弁護士は今就職先がないので、絶対にならない方がいいです。
・司法試験は最低1万時間は勉強しないと合格できません。

などなど・・・。

いったい何処の誰が、何の目的で、こんな嘘っぱちの回答をするのか。到底理解できなかった。「間違いを訂正してやる!」という正義感なんてまるでないのだが、知識も経験もないおっさん(想像)が物知り顔で、質問者(だいたい学生)に上から目線で回答する様があまりに気持ち悪くて、そうゆう奴らを辱めてやりたいと思ったのが動機なのかもしれない。もっとも、冷静になると、その動機も気持ち悪いが笑

ネットに蔓延る「知ったかおじさん」

知恵袋だけではない。TwitterとかYahooニュースのコメントとかその他SNSでも、「知ったかおじさん」は頻繁に登場する。スポーツとか、芸能とか、刑事事件とか、ニュースになりやすいことだと尚更だ。

僕はサッカー好きだが、そんなに高いレベルでプレーしたことはないので、専門的なことは分からない。だから、SNSなどで「●●は代表レベルにない」、「今回の失点は●●の責任だ」、「実はあの得点は、●●の動き出しが〜」とか言われると、なるほどー、そうなのかーと思ってしまう。

しかし、法律のことになると、話は別である。

「写真に著作権はない」、「カスラックはクリエイターから搾取する悪徳事業者」、「あの犯人が起訴猶予になったのは、検察に裏金が流れているから」みたいな発言を見れば、「あー、この人は法曹関係者ではないな」と判断できる。

もっといえば、「この人は物事をちゃんと調べることもせず、不正確な知識をドヤ顔で語ってしまう無責任な人なんだな」と判断することができる。法律関連で上のようなことを言っている人は、他の分野についても知ったか発言を連発しているのであろうという推定が働くということだ。もしかすると、その人たちにも本当の専門分野があるのかもしれないが、その分野については他の信頼できる専門家の発言を参照すればいい。

個人的に、弁護士に憧れたことはないし、学問としての法律にも興味はない。ただ消去法で弁護士になっただけだ。

しかし、専門知識を持って、本当によかったと思っているのは、限られた文脈ではあれど、「知ったかおじさん」を見分ける術を得られたことだ。また、「知ったかおじさん」の恥ずかしさが認識できているので、自分も他の分野でそうにならないように注意しようと思える。

これを読んでいる学生の方には、何か専門といえるような強みを身に付けることをオススメする。就職のためとかキャリアのためとかではない。

生きていく上で関わるべきではない面倒臭い存在である「知ったかおじさん」(知ったかおばさんでも、お姉さんでもいい)を見分けて、そいつらと上手に距離を取るためである。

留学先で遊ぶお金ください。