私の自転車

忘れないうちに、最近起こった出来事の記録。

自転車によく乗る。
近隣への買い物、仕事へ向かうときはだいたい自転車。
車もあるけれど、基本自転車に乗るのが好きだ。
ちょっと遠いパン屋さんへ行くため、学校帰りの中高生と同じくらいの速さでこいでた所を友人に目撃され、ママチャリこぐのはやっ!と言われました。

土曜日の午前中。
いつものように自転車に乗り、最寄りのスーパーへ行くと、いつもと違う光景だった。
駐輪場の端っこ、信じられないくらい側面がバリーっと剥がれたボロボロの原付の横で、自転車を覗き込む人が2〜3人いる。

事故かしら?

車の区画にはパトカーが赤色灯を光らせて停車している。
すわ、何事!
やはり事故か車上荒らしがあったのか?…と思いながら、ぽっかりと空いた場所へ自転車を滑らせて停める。
物騒やねぇと思いながら、そのまま流れ作業でいつものように後輪の鍵をかけ、エコバッグをかごから取り出す。と、派手な黄緑色の蛍光色のチョッキを着たおじいさんに声をかけられた。

「今ね、協力をお願いしてるんですよ」

手には、ラミネート。四隅には、事務仕事で使う冊子を綴じる黒紐が取り付けられている。今も需要はあるのだろうか。綴じ紐。手作り感しかないラミネート。
私が、ハィ?ほぇ?など、要領を得ない返答をしていると、小学生が数人、同じラミネートを持ってこちらに来た。
私の自転車の前かごにラミネートを取り付けたいらしい。
その許可を求めている。
てか、もう私の前かごに手をかけて取り付けようとしている黄緑じーさん。
私は語尾が上がり気味の疑問文しか口にしていないと思ったけれど、イエスと言ったことになっている。

他人とは言え、地域の子どもたち。我々の未来だ。そんな無垢な子どもの手前、断れない。児童会代表で来ていると思われる。大人に声をかけるのに慣れてない様子だ。
断る方が鬼だ。てか、もう私の自転車に取り付けている黄緑じーさん。

私は、なんとなく状況を飲み込み、無理にでも状況を飲み込み、はぁ〜いお願いしますぅ〜と返答をして立ち尽くしていた。

「こちらで取り付けておくので!買い物してきて!」
黄緑じーさんは、私に言った。私の自転車のはずなのに、私のではないみたい。
また、はぁ〜いお願いしますぅ〜と返事をしてその場を離れ、スーパーの中に入った。

スーパーの中からこっそり覗くと、私の自転車に4〜5人群がり、ああでもないこうでもないと試行錯誤していた。
自転車にイタズラされ、現場検証されている風に見える。
それは私の自転車だ、確かそうだ。
私がスーパーに到着して最初に見た光景と同じだ。

買い物、何を買うんだったっけ…卵?お昼ご飯?
ふわふわと買い物を済ませ、私の自転車に戻ると、きれいにラミネートが取り付けられていた。

 ただいま防犯パトロール中!

ポップなキャラクターと共に書かれている文字。
私はただ買い物して仕事へ行くだけなんだけど、これも犯罪の抑止力になるのならそれでいいかな。
お巡りさんは、暖かく黄緑じーさんと児童会代表の子どもたちを見守っていた。
私は、パトロール隊の一員になった(らしい)。

ちょっと恥ずかしい。
目立たぬように、走ろう。立ち漕ぎはしないでおこう。
いや、思いっきりパトロールに勤しむ方がいいか。

地区外に出たらあの人〇〇地区から来たのね…とバレてしまうので、大人しく地区内を自転車で爆走しようと思う。

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