ウヒョ助日本全国歩き旅 (第6回:横浜〜根岸)

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2017年 3月下旬 早朝

前回のゴール、横浜駅に再び舞い戻る。

横浜は大都市だけあって、いろんな電車の路線が通っているのでアクセスが良い。自宅からここまで、地図で見ればめちゃくちゃ遠いのだが。まだまだ「いつでも気軽に自宅へ戻れる街」の範囲。見慣れぬ駅前に一人たたずんでいても、妙にどこか安心感がある。

ここがわしの生誕地だからかもしれない。

さて、ここからどこを目指して歩いていこうか。横浜まで歩いてきた理由が「自分が生まれた街を見てみたい」だったので、わしが産声をあげたという、保土ヶ谷の産婦人科でも見てやろうかと思ったのだが。

前日おふくろの家を訪ね「病院どこにあるの?」と聞いたら「いやあ…忘れたわあ。 ねえ、どこだったっけ?」という腰が抜けそうな答えが。新生児のわしが覚えてるわけねえだろ! 

…というわけで、保土ヶ谷方面に向かうのは、ヤメておくことにして。


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とりあえず、南下してみよう。

できるだけ知らない風景をいっぱい見たいので、昔ちょっと観光した「中華街」や「港の見える公園」は通らずに、誰も選ばないコースで南に向かって歩いてみようかしら。 おお、それがいい!


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とんでもなく天気が悪い。曇天模様。

横浜といえば、ユーミンの曲がBGMに流れているイメージがある。

 ソーダ水の中を 貨物船がとおる
 小さなアワも恋のように消えていった

あれはなんて歌だったっけ。「海を見ていた午後」か。

ソーダ水っていうような川の色じゃねえな。教室の黒板でしか見たことない色だぞ。貨物船どころか、朝早すぎて通行人もいねえよ。


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貨物船……じゃないよな。

嫁様のお父さんが、タンカー船の船長さんで。定年で退職されるまで、世界各地の港をグルグルしておった。日本人は「なるほど・ザ・ワールド」という世界を紹介するバラエティ番組が始まるまで、海外の光景をまったく知らずにいたらしい。それよりもっと前から、世界の景色をその目で眺めていた人は、驚きばかりで楽しかっただろうなあ。


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しばらく歩いて、石川町。

早朝から、オバアさんが客引きしてる。トライする勇気はない。


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早く出よう、この町を。 地蔵も濡れる街角、石川町。


さて、普通はここから中華街や、港の見える公園に観光客は流れるが。もとい観光客は石川町へ来ないだろうけど。ここからあえて港には歩かず、まっすぐ南に直進、目の前の高台に登って、その向こうの根岸までショートカットしてやろうと思いつく。


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丘の上の住宅街の、細い坂道をのぼったり、下ったり。

まあ早めに言っておくと、迷子になっております。この当時、自分の現在地を示してくれる地図アプリなどはスマホに入っておらず。「山手」と呼ばれるエリアに迷い込んだのはわかっているのだが。オジサンが朝から半べそですよ。


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ツイッターのフォロワーさんからの情報では、ここは山元町の商店街らしいのだが。そう言われても。いまだ丘の上から抜けられず。さらに「その先の道は迷いますよ」というアドバイスも。

ずっと迷ってるっちゅーねん!!

人にも会わないし、次元のハザマにでも迷い込んだんじゃないのか?


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冗談じゃなく、完全に次元のハザマにいるな。

どこだよ、ここ…。やめてよ、もう。人間界に帰してよ。

アルティメシア城じゃん。迷子になって、こんなとこにたどりついたら、大人でも泣くぞ。どうやら競馬場の廃墟らしいんだけど。公園の展望台から見下ろせば、迷子から抜け出せるかなと思ったら、とんでもないもの見ちゃったよ。


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……見下ろしても、わかんねえな。

エルフの里にしか見えないぞ。人間の世界に戻れるのか?


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こりゃ多少は無理しないと、次元のハザマは抜けられない。住宅街の細い路地から林を突っ切り、なんとなく下に降りられそうな小道を発見。ヤブの先に海が見えるな。根岸に降りられそうだ。

もうすでにユーミンの歌の世界じゃない。

ユーミンが横浜を歌った「海を見ていた午後」の世界観なんて、この丘の上のエリアにはなかった。観光客は歌の通り、港方面へ素直に行け!

どうやらこの丘の上の住宅街は、大げさにいえば、道路が渦巻き状になっているらしく。慣れた人じゃないと何周も何周も、永遠にまわり続けることになるようで。有名な迷子エリアみたい。

わしは1周半ですんだ。そのトラップにすぐ気がついたのは、やっぱりドラクエやファイナルファンタジーを遊びつくしていたからだな。


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根岸駅に到着! 人間界に生還!

天気も急に良くなった気がする。さあここから、さらに南下して歩いていくぞ。ずっと南に進んだ先に、どんな町があったっけ?

ああああああああ、横須賀かッ!

行ったことがない、日本のアメリカこと、ヨコスカタウン!


のちほど、ユーミンの名曲「海を見ていた午後」

その、うろ覚えだった歌詞を、今一度チェックしてみた。

 あなたを思い出す この店に来るたび
 坂を上って きょうもひとり来てしまった
 山手のドルフィンは 静かなレストラン
 晴れた午後には 遠く三浦岬も見える
 ソーダ水の中を 貨物船がとおる
 小さなアワも恋のように消えていった

…坂を上った山手なら、今までわしが迷子になってた山手エリアじゃねえか。

実際にあるレストラン・ドルフィンも、根岸駅から細い階段を登った先にあるらしい。じゃあ、さっきの階段じゃねえかよ!

どうやらわしは、知らぬ間に正しく、ユーミンが歌った横浜を見てきたらしい。リアルは曲と全然違うぞっ!!

(つづく)

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