生きることと戦うこと
なぜ、生きることはつらいのか?
それは、生きていくことのなかに戦いが内包されているからだ。
人生を生きていくために、人は常になにかと戦わなければならない。あるときは他人、あるときは自分、あるときは自然……戦う対象は変わるものの、戦い自体がなくなることはない。
戦うという行為には、大なり小なり暴力が伴う。ここでいう暴力とは、物理的なものだけでなく、精神的なものも含む。つまり、人生を送っていくために、暴力は必要不可欠なのだ。ここに、人間も所詮は動物の一種でしかないという証拠がある。
もし、本当の意味で戦いから降りたければ、徹底的に怠惰になるしかないだろう。だがそれは、緩慢に死へ向かっていくことにほかならない。
死への道を望むのであれば、怠惰を極めてみるのもいいかもしれない。しかし、多くの人間はその道を選ばない。死に対する恐怖があるからだ。
死への恐怖は、生存への欲求となる。だから結局のところ、なにかと戦わざるを得ない。
そして、戦いは苦しみを呼ぶ。いや、あるいは、苦しみが戦いを呼んでいるのかもしれない。これは「卵が先か、鶏が先か」という問題で、考えても答えは出ないだろう。
いずれにせよ、生きているあいだは、戦いと苦しみを引き受けなくてはならない。生きることがつらいのは、そのためだ。
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