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2022年5・6月に見た新作映画まとめ ~トム・クルーズもウルトラマンもまだまだ現役!~

こんにちは、uhikoです!

梅雨が明けて夏本番ですね。
映画館に足を運ぶだけでも汗が止まらない、そんな日々になってきました。

5月・6月は仕事でバタバタしており、なかなかnoteに手を付けられなかったのですが、映画はしっかりとチェックしておりました。
忙しい中でも映画館のスクリーンを前にすると興奮や感動で、その2時間だけはストレスが消えていく感覚がたまりません。
もはや映画ジャンキーですね笑
というわけで、5月・6月に出会うことができた新作映画はこちら! 

・『マイスモールランド』@新宿ピカデリー
・『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』@TOHOシネマズ錦糸町
・『流浪の月』@TOHOシネマズ 日本橋
・『シン・ウルトラマン』@新宿ピカデリー
・『犬王』@TOHOシネマズ新宿
・『ハケンアニメ!』@渋谷TOEI
・『トップガン・マーヴェリック』@TOHOシネマズ新宿
・『FLEE』@新宿バルト9
・『PLAN75』@新宿ピカデリー
・『ベイビー・ブローカー』@TOHOシネマズ新宿

1本1本の感想をかるくこちらに書き留めておきます。

『マイスモールランド』

日本に住むクルド人一家の日常を描いたヒューマンドラマで、ベルリン国際映画祭でも高い評価を受けました。僕の友人の映画関係者に激推しされて見に行った映画なのですが、心温まるホームドラマでありながら、日本政府が難民・移民に対して強いている不条理、温かいようで冷たい人々、そして封建的な社会の中での一人の女性の生きづらさを多面的に描く、テーマがいくつも巧みに重ね合わせられた見事な1本でした。
中でも俳優陣の演技は素晴らしいです。主演の嵐莉菜さんがこの作品とは思えないほどの堂々とした演技で観る者を圧倒しますし、彼女の家族役の演技もとても自然で、家族の良さもめんどくささもしっかりと出せていました。
役者の演技をうまく引き出すのは、さすが是枝監督門下の川和田恵真監督という感じですね。次回作にも期待です。

公開規模が小さいのがもったいない、多くの人に届いてほしい1本でした。


『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』

元天才外科医にして現在はあらゆる魔法を操るヒーロー、ドクター・ストレンジの2本目の映画です。マーベル・シネマティック・ユニバースとしての前作『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』でも活躍(?)をしたドクター・ストレンジが、多元宇宙を自由にわたる能力を持つ少女を守るため、史上最も倒すのが困難な敵に挑むというストーリーなのですが、その監督はなんとあのサム・ライミ!言うまでもなく現在のアメコミ映画ブームの先陣を切ったトビー・マグワイヤ版の『スパイダーマン』の監督である彼が、頂点に達しつつあるマーベル・シネマティック・ユニバースの興奮をさらに広げるか期待が膨らんでいました。
そしてその期待に見事に応えてくれました!ドクター・ストレンジの持ち味である魔法表現は遊び心にも満ちていて楽しいです(中盤に音楽同士を戦わせるというシーンがあるのですが、その表現の仕方が最高)し、なんといってもゾンビ映画の巨匠としての彼の側面もびんびんに感じられて、まさにセンス・オブ・ワンダーな1本でした!
サム・ライミ監督、これからもぜひアメコミ映画に携わってください!

『流浪の月』

禁断の愛を描き本屋大賞を受賞した作品を、『フラガール』や『怒り』などの秀作を多く世に送り出してきた李相日監督が、主演に松坂桃李・広瀬すずを迎えて実写映画化しました。
まずは映像のすべてが美しいです。撮影監督が『パラサイト』でも撮影監督を務めているだけあり、一つ一つの映像に儚さがあったり、被写体の位置の関係性で物語の構図を見せていくのが見事です。
そして演技もそれぞれのキャラクターがよく、特に松坂桃李はか弱さと怖さを観客に見せる存在感があります。広瀬すずもまたトラウマを抱えながらまっすぐに生きるひたむきな姿が映画全体のトーンを悲劇的すぎない方向にもっていっていました。そして個人的に驚いたのが横浜流星です。本人が喜ぶかは別として、DV彼氏といえる役柄が見事にはまっていました。
テーマ的に正面からとらえるのはかなり難しい映画ですし、どちらかといえば暗いムードが漂い続けていますが、全体的なストーリー、撮影、演技の力の入りように、「日本映画、本気出すとやっぱりすごいな」という思いも感じられて、繊細ながらパワフルな1本だったと感じました。

『シン・ウルトラマン』

近年の日本映画界を牽引する庵野秀明チームが、ゴジラに続いて、今度はウルトラマンの再解釈に挑みました。公開前から話題沸騰で、私もハードルをかなり高めにして劇場で観てきました。
まず素晴らしかったのが、『ウルトラマン』というコンテンツに対する深い愛情を映画の端々から感じられたことです。レトロ感満載のオープニングから始まり、荒唐無稽さがある種のギャグとなっている戦闘シーン、そして個性豊かな異星人など、『ウルトラマン』ってこういうところがテンション上がるよねという要素をしっかりと抑えた作品になっていました。
特に山本耕史演じるメフィラス星人はキャラクターとして最高でしたね。誠実さと胡散臭さが見事に同居し、真顔のままブランコを立ちこぎするシーンは爆笑しました。
いくらなんでも人間描写が少なすぎて、「そんなに人間が好きになるタイミングがあったか、ウルトラマン?」とツッコミを入れたい個所もありますし、アニメ表現をそのまま実写化されるとセクハラに近くなってしまう部分もあるのだな…と感じてしまうところもあります。
ただ、全体的には「ウルトラマン」というコンテンツを現代でも楽しめる形にするというミッションは達成してるかと思いますし、ぜひ人間関係描写に厚みを増したディレクターズ・カット版を見たい!と思わせる、エンタメ性の高い作品でした。

『犬王』

『夜は短し、歩けよ乙女』や『映像研には手を出すな!』などリアルさとは一線を画した独特のアニメ表現で知られる湯浅監督が、松本大洋や大友良英といった一線級のクリエイターを集めて、謎の能楽師、犬王の姿を描く意欲的な一本です。
まず映画を見る前の前提として、犬王は観阿弥・世阿弥と並ぶ能楽師ではありますが、彼の作品というものはほとんど記録が残っていない、謎に包まれた存在となります。そんな犬王がどんな能を披露していたのか、彼の人となりはどういうものだったかは誰も知らないからこそ、想像力が掻き立てられるわけです。
そしてその謎に本作はかなり大胆な解釈で挑みます。犬王が披露する能は我々の想像する能を超えて、コンセプトが強いバンドの野外ライブという感じです。ぎりぎり当時の技術でやっているかのように見せていますが、照明や音響の演出はオリンピックの開会式並みの迫力が詰め込まれていました。
そしてそんな自由で力強い能がなぜ消えたかというところは、時代の不条理を感じるまさに残酷な見せ方をしていきます。
湯浅監督ならではの自由で大胆な歴史解釈を見事に絵として見せるところにアニメーションというものの可能性を改めて感じましたし、好き嫌いは分かれそうではありますが、私としてはこの手の歴史ものもありだよね、と好意的に受け止めることができました。このアプローチで古事記に書いてあるような神話もぜひアニメーション化してほしいと思います。

『ハケンアニメ!』

『犬王』でアニメの面白さを感じた後に、アニメ制作の裏側を熱く描いた1本を見てきました笑。吉岡里帆演じる新人映画監督が、中村倫也演じる天才監督と、アニメの覇権をめぐって争いあうという作品です。
この手の作品の一番怖いところは、作品内作品のクオリティなのですが、そこはさすがアニメ業界を牽引してきた東映らしく、覇権を争いあう2本のアニメはぜひどちらも1クール見てみたいと思わせる素晴らしい作品でした。
そして出てくるキャラクターがどれも魅力的です。2人の監督にそれぞれつくプロデューサーもそれぞれ熱い思いを秘めているし、無茶な仕事を引き受けてしまうアニメーター、客寄せと言われながらも全力で役に挑む声優、アニメの聖地巡礼を盛り上げるために奮闘する地方公務員など、様々なキャラクターがそれぞれプライドを持ちながら、自分の目の前の仕事に挑む姿は、見ているこちらの胸を熱くします。
映画そのものの公開タイミングが悪く、当初は興行収入が振るわない中でも、その作品の完成度が高く評価されロングラン上映になっているという状況が、まさに優れたアニメ作品が最初は目立たなくてもやがて「神アニメ」として評価されていく様子と重なり、熱いものがあります。
アニメのヒットの指標が視聴率という点など若干古さを感じる部分もありますが、映画自体のヒットの経緯も含めて、ストレートに感動して元気づけられる、ウェルメイドなお仕事映画だと思いました。仕事に疲れた人、キャリアに悩んでいる人は必見の1本です。

『トップガン・マーヴェリック』

映画界の生ける伝説、トム・クルーズが自身の出世作を36年ぶりにリメイクした1本で、彼のこれまでの作品でもトップレベルに評価されている1本です。世界中で大ヒットし、彼のキャリア史上最大のヒットになっているとか。60歳にして自身のキャリア最高を更新しているそんな1本です。
正直『トップガン』のリメイクの公開が決まった時はそれほど期待をしていませんでした。『トップガン』は1980年代独特のイケイケ感が生み出したヒット映画であり、中身が濃密な作品とは言い難いです。さらに戦闘機によるドッグファイトという題材も古さは否めないのではと感じていました。
しかしながら実際に本作を見たとき、そんな不安は消し飛び、世代でないのにどこか懐かしさを感じながら、その熱量に圧倒されるばかりでした。旧作ファンへのサービス精神がありながら、それだけで終わらずに新しいチャレンジもしていて世代でない人にとっても新鮮でカッコいい作品でした。
CG全盛の時代にあえて俳優が戦闘機に実際に乗り込んで撮られた映像は衝撃の迫力がありましたし、ベテランとなったトム・クルーズが放つセリフ「終わるとしても、それは今日じゃない」という言葉に込められた、アクションスターとしての彼のプライドを感じて、そこでも涙。
ストーリーは王道そのものですが、まさに今映画を見ているという幸福感が見ている間ずっと感じられて、この幸せな時間が終わらないでほしいと思える素晴らしい映画体験でした。
やむにやまれぬ事情で延期を余儀なくされながら、劇場公開にこだわった本作は、映像・音響の迫力、そして観客の熱量などまさに映画館で観るべき1本になっています。2022年を代表する1本であり、映画の復活ののろしをあげた力作だと思います。
60歳にしてマーヴェリックを演じ切り、若き俳優たちを導いたトム・クルーズ、本当にありがとう!来年公開の『ミッション・インポッシブル』でも元気な姿をぜひ見たいです!

『FLEE』

実在するあるアフガニスタン難民の苦悩に満ちた半生をアニメーションで描くという異色のドキュメンタリー。昨年のアカデミー賞でも国際映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3本にノミネートされた作品です。
まずたまたまタイミングが重なったとはいえ、主人公の出身国はアフガニスタン、そして彼が最初に逃げた国はロシアということでまさに国際社会で混乱が現在進行形で起きている地域が取り上げられており、見ていてとても興味深かったです。
そしてアニメーションという手法は、取材対象者を守るという役割を果たしているだけでなく、目をそむけたくなる悲惨な体験が少しだけマイルドに見やすくなるという効果を発揮しています。これを実写化していると見ていると相当メンタルに来るものがあったかと思います。
全体的にはつらい物語ではあるのですが、あくまで一人の青年が悩んで行動するさまに密着した温かみのある1本となっており、大上段に構えた物語ではなくなっています。今世界で何が起きて、その結果どんな人が苦しんでいるのか、映画館から出た後考えずにはいられない映画体験でした。

『PLAN75』

75歳以上の高齢者が安楽死を選べるようになった制度(PLAN75)が導入された社会を描く、カンヌ国際映画祭でも高い評価を得た作品です。

この作品が恐ろしいのは、PLAN75が導入された社会を、静かにひたすらリアルに描くことです。もっとディストピア的な描き方をしたり、感情の爆発みたいなものを描くという形にもできるかと思いますが、登場人物も落ち着いた演技トーンで、制度の普及のさせ方も現実に即しているからこそ、日本の社会はいつか本当にこうなるのではないかという想像を掻き立てられました。また主人公を含めた高齢の方が実はすでに社会から隔絶されてしまっている社会の残酷さ、介護という産業が通常より安い賃金で働く移民の存在を抜きに存立しえない現状を重層的に語るということにも成功しており、現代社会の問題に正面から向き合った1本です。
選挙の時期も近づいてきましたが、今の私たちの社会、これからの日本を考えるうえで観ておきたい映画です。

『ベイビー・ブローカー』

日本映画界を代表する巨匠、是枝裕和監督が、ソン・ガンホを主演に据え、韓国で撮影した映画です。是枝さんは前作もフランスで撮影をしており、近年は日本にとどまらない活動を続けていますね。

貧困などの事情で我が子を育てられない親が子どもを預けていく「赤ちゃんポスト」を題材に、そこに預けられた子どもを盗みお金持ちに売ろうとするブローカー、売ろうとしている子どもの実の母親、ブローカーを追う警察など様々な登場人物が絡み合うロード・ムービーです。
演技を引き出す手法が高く評価される是枝監督らしく、韓国映画界のスター俳優たちの演技アンサンブルは素晴らしく、ロードムービーの醍醐味である、旅を通した交流と成長のさまがとても自然で観ていて微笑ましかったです。
ただ一方で後半の展開は若干駆け足な印象です。もう30分長くして、それぞれの登場人物の葛藤や絆を描いていたら、よりよい1本になっていたのではないかと思わせる部分がありました。
とはいえ、俳優陣の演技はどれも素晴らしく、見た後不思議な余韻が楽しめる素敵な1本でしたので、ぜひ映画館で観てみてください。

まとめ

以上、5・6月に劇場で観ることができた映画たちでした!
大作が次々と公開されて、映画がまた娯楽の中心に帰ってきたなと思わせる、そんな2か月でした。
ここからは夏の興行シーズン、暑い中映画館に足を運んで、冷房の効いた席でコーラとポップコーンを相棒に楽しめる時期が到来です!

来月マストで見る予定の映画はこちら!
・『トイ・ストーリー』の初の劇場スピンオフ『バズ・ライトイヤー』
・巨匠ポール・トーマス・アンダーソンが80年代のカリフォルニアを舞台に送り出す青春映画『リコリス・ピザ』
・伝説のロックスターを描く迫力満点に描く『エルヴィス』
・ソーの新たな活躍が描かれる『ソー ラブ&サンダー』
・遂に完結する恐竜パニック映画『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』

見たい映画が多すぎて、もうスケジュールがパンパンです笑

来月もお楽しみに!


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