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「母という呪縛 娘という牢獄/齊藤彩」を読んで感じたこと

2018年3月に発覚した「医学部9浪母親バラバラ殺害事件」を覚えていますか?
滋賀県守山市の30代の看護学生が母親を殺害後に遺体を解体して遺棄した殺人事件です。

「母という呪縛 娘という牢獄」
タイトルに納得です

本書は、著者がこの事件を起こした女性を公判中は接見を続け、服役してからも文通を重ね、詳細な取材から書かれたノンフィクションの渾身のルポタージュです。

彼女が母親を殺害した理由は、医者になるよう強要する母親から9年間も医学部受験を強いられる苛烈な教育虐待と過剰な干渉にさらされ続け追い詰められたことからでした。

受験に失敗すると口汚なく罵られ、日常的にも母親の希望から少しでも外れると叱責、罵倒、暴力、虐待。壮絶です。
携帯電話を与えず、スマホを隠し持っていると取り上げ、居間に勉強机を置き、お風呂まで毎日一緒に入る。無理強いして書かせた始末書。嘘の置き手紙。
異常です。。。
毒親もの小説が流行りなのか多く出版されていますが、現実の方が異常です。
子どもは親の所有物ではないです。誰もが1人の人間として自由を尊重されるべきです。

残忍な殺人事件だけれども、同情すべき点が多く情状により懲役10年の判決となっていました。
裁判長の「母に敷かれていたレールから外れ、自分の人生を歩んでください」という言葉が優しくて染み入りました。

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