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プレゼンの聞き手には、スライドを読ませてはいけない!!(プレゼンテーション講座Ⅶ[特別講座:情報処理心理学②])

〇前回の続きです〇

大変恐縮なのですが、前回の続きです。

いきなり小人(認知資源)とか言い出しますのでここから読み始めても、頭にいっぱい?を浮かべるだけだと思います。

ですので恐縮ですが、前回の記事をご確認頂いて、小人がなんたるかだけでいいので、把握してきて頂けませんでしょうか?

前回から引き続きの方は、ようこそ!

〇小人が仕事をする作業室がある〇

さて、前回は小人の人数に注目して、小人が作業する際には、その上限人数を超えないように注意しましょうというお話をさせて頂きました。

今回注目するのは、小人が仕事をする作業室のことです。

(学術的には、音韻ループと視空間スケッチパッドの話をしますが、認知資源を中心に説明するので、一般的な解釈とはやや異なります。)

ブログを書く際には書斎、料理をする際には台所というように、皆さんも作業によって場所の使い分けを行っていると思います。

これは、小人もまったく同じです。

今回注目するのは、2つの作業室。

コトバ情報専門作業室(音韻ループ)と、カタチ情報専門作業室(視空間スケッチパッド)です。

〇2つの作業室〇

さて、当然といえば当然ですが、2つの作業室には、入れる小人の上限人数というのが個々人によって決まっています。今回は分かりやすく、いずれの作業室も50人ということにしましょう(普通は、人によってどっちが多い、どっちが少ないがあります)。

今、あなたはプレゼンターの話を聞いています。

スライドには何も映っていないと仮定します。

<現在の脳の状態>

〇聞いた話を理解するために、40人の小人がコトバ情報専門作業室に入って作業しています。

☞小人の人数上限も、作業室の人数上限も超えていません。

プレゼンターは話をしながら、スライドに写真・図(カタチならなんでもOK)を表示しました。

<現在の脳の状態>

〇聞いた話を理解するために、40人の小人がコトバ情報専門作業室に入って作業しています。

〇写真や図を理解するために、30人の小人がカタチ情報専門作業室に入って作業しています。 

☞小人の人数上限も、作業室の人数上限も超えていません。

しかし……

プレゼンターは話をしながら、文字いっぱいのスライドを表示しました。

〇聞いた話を理解するために、40人の小人がコトバ情報専門作業室に入って作業しています。

〇スライドに出たコトバを理解するために、30人の小人がカタチ情報専門作業室に入ろうとします(しかし容量50人の部屋に、既に40人が入って作業しています。)。

☞小人の人数的には足りていますが、部屋に入ることができません。

☞あなたはこの瞬間、「このプレゼンわかんね~わ」という状態に陥ります。

〇いったんまとめます〇

そうです。小人の人数的な余裕があっても(70/100しか動員していません)、作業室のサイズの関係(50人部屋に70人は入れないので)で、やっぱり処理ができなくなる場合がありうるのです。

〇では、プレゼンテーションを行うときに注意することは?〇

答えは簡単(というかさっきの例に答えがありますが)。

以下の状況を維持することです。

〇聞いた話を理解するために、40人の小人がコトバ情報専門作業室に入って作業しています。

〇写真や図を理解するために、30人の小人がカタチ情報専門作業室に入って作業しています。 

☞小人の人数上限も、作業室の人数上限も超えていません。

これです。

もっと具体的に言えば、スライドに出る情報を極力すべて、カタチ情報専門作業室で処理させることです。

私がこれまで、文字は可能な限りスライドから減らすように提案している理由がこれなのです。

プレゼンターの話が、コトバとして処理され、結果的に確実にコトバ情報専門作業室のスペースを食ってしまうという原理上、スライドの情報はコトバ情報専門作業室に回すことができない(というか、回すとパンクして、プレゼンについていけなくなる)ということでもあります。

分かってもらえるプレゼンテーションを作ろうと思うなら、

聞き手にスライドを読まれた時点で負けなのです。

何かを思いついてさらに書き足すかもですが、特別講座を含めて、これで閉講です。

ありがとうございました。

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