『これからの時代のシェア』について語ります。
「今はシェアハウスに住んでいてー」
「昨日の写真シェアしますねー」
「地域シェアNo.1!」
「これはシェアリングエコノミーの一種で…」
生活しているとよく耳にする『シェア』という言葉。
昔からあった言葉だと思いますが、SNS文化の浸透と共により身近な言葉になってきたように感じます。
現在のシェアという言葉は、「共有する」という意味を指すことが多いようですね。
そこで今回は、現在巷で言われている『シェア』の正体と、最近わたしが考えたシェアの概念『シェアリングリレーションズ(Sharing Relations)』について語りたいと思います。
言葉の意味:シェアリングリレーションズ
まずは言葉の意味を整理したいと思います。
「リレーションズ」とは「関係性」という意味があります。
なので『シェアリングリレーションズ』を直訳すると、共有関係。
シェアをする関係性、とでも言っておきましょうか。
…と言われても、まだまだ意味がわからないと思うので、事前知識として『シェアリングエコノミー』と『シェア』の概念を紹介します。
事前知識:シェアリングエコノミー
この言葉を聞いたことがある方はけっこう多いのではないでしょうか。
シェアリングエコノミーを直訳すると、共有経済。
自分のモノやスキルを、インターネットを介して販売したり、誰かが出品している物を買ったりすること。
例えば、「メルカリ」などが分かりやすいかと思います。
「メルカリ」自体は言わずと知れたフリマアプリですが、インターネット上の市場を通して、個人の持ち物を売買する活動。
いわゆるCtoCモデルと言われているものですね。
今まで企業や国を中心に行われていた経済活動に、個人の資産も仲間入りした形。
埋もれていた資産が市場に出る、新しい経済の可能性がある、ということで注目されています。
他のシェアリングエコノミーサービスでは、AirbnbやUberなどが有名ですが、現在は多種多様な形で新しいサービスがドンドン出てきている勢いのある業界です。
私はシェアリングエコノミーを「個人でも経済活動を楽しめるようにしたもの」と捉えています。
事前知識:シェア
続いて、シェアについて説明します。
現在よく言われている「シェア」とは、
難しく言うと「市場によって分断された社会を再統合すること」
ざっくり言うと「おすそ分け」
簡単にいうと「自分の持ち物を誰かと共有すること」です。
「自分の持ち物かどうかを曖昧にすること」ともいえますね。
30年ぐらい前に、アルビン・トフラーという未来学者が「第三の波」という本を出しました。
その本がいうには、現代の市場中心の社会ができる前、人々は自分が生きる集落の中で生活していました。その集落の中で人々は、農家でもあり、料理人でもあり、大工でもあったそうです。
今の職業のように役割が分断されていなかったんですね。
それは集落という単位で一体となって生活する、生産者か消費者かも曖昧な状態「プロシューマー(生産消費者)」だったのです。
集落の中では、当たり前のように自分の物や人の物が共有されていました。(自分の物の概念が曖昧になっていた。)
その生活こそが「シェア」だと思っています。
シェアの際にお金をやり取りするのかしないのか、そこは関係ありません。
まあその後、近代化が進み市場中心の社会となってからは、効率化と共にその曖昧なプロシューマーという概念は、プロデューサー(生産者)とコンシューマー(消費者)に分断されていったのですけどね。
しかし、今になってその分断を再統合する潮流が生まれてきています。
それが現代の「シェア」の正体ですね。
シェアリングリレーションズの解説
では、再度「シェアリングリレーションズ」の解説に戻ります。
シェアとは「市場によって分断された社会を再統合するもの」「自分の物かどうかを曖昧にし、誰かと共有すること」と書きました。
そしてそのシェアをより理解するには、実際に共有する相手、「誰か」との関係性を語る事が重要になってきます。
シェアリングリレーションズの事例
「友達」という関係性があるなら、その友達に自分のお菓子をシェアしたら「お菓子をシェアする関係性」になります。
「家族」という関係性の中で、晩ご飯を一緒に食べる。
それは「晩ご飯をシェアする関係性」とも言えます。
そんなの当たり前じゃん。と思いますよね。
まさにそうです。
家族や友達と食べ物や物をシェアすることは「関係性」という文脈で語ることができるのです。
「なぜ、家族と晩ご飯をシェアするのですか?」
「それは家族という関係性だから当たり前じゃん。」みたいな。
それが「経済活動」の文脈で語ろうとするとややこしくなります。
家族でごはんをシェアするのは経済活動のひとつ?
そこでお金が発生すれば経済活動になるかもしれないが、お金が発生しなかった場合、それは経済活動ではないのかも。
別にお返しが来るわけでもないのに、なぜシェアするのか?
経済活動の中では、家族は1世帯という扱いになるため?
説明しようとすると、難しい表現になりそうですね。
しかし、関係性という文脈で語ったら簡単です。
「家族」という関係性は「晩ご飯をシェアする関係」でもあるのです。
…ちょっと納得感が出なさそうなので、もう一個事例を挙げます。
最近各地で、経済活動の文脈では語れないような活動をする方が増えてきています。
海外の事例でいうなら「コミュニティレストラン」というのがあります。
飲食店やスーパーで売り切れず、まだ食べられるのに棄てられてしまう食材。
そういう食材を「フードロス食材」と呼ぶのですが、
そのフードロス食材を引き取って、自分たちのレストランで料理にする。
そしてその料理を、食べ物に困っている貧困層の方へ、無償もしくはかなり安価に提供する。
そういう活動をするレストランやスーパーが、海外では増えてきており注目されています。
たしかにその活動は社会的に良いことです。
しかし、経済活動の文脈で考えると慈善事業と見られることが多く、この活動の価値を語ることが難しくなります。
(実際ESG投資の流れもあるし、ビジネスモデルとして成り立っているサービスもあるので、一概には言えないですけど多くの場合そうだと思います。)
そこで、関係性の文脈で語ってみます。
この活動をする人々は、「食に困っている人たちから喜ばれる関係性」、「お店の商品廃棄に困っている人から喜ばれる関係性」、「フードロスや貧富格差など、社会が抱える問題の解決に貢献できる関係性(社会との関係性)」、「そのビジョンを共有して一緒に活動する人との関係性」など、多くの関係性を生み出したり深めたりしているのです。
そしてその関係性は、本人にとって人生を豊かにする価値となっているのではないでしょうか。
価値とは、関係性の中に存在する概念です。
シェアリングリレーションズという概念の意味
このように関係性の文脈でみると、あらゆる価値の要素を語ることができます。
『語れる』ということは、自分で理解することもできるし人に伝えることもできるという事です。
『再現性を持つ』とも言えますね。
繰り返すと、今の世の中には経済活動で語れない活動や生き方が増えてきています。
その価値を語れるようにしたのが『関係性』という概念。
そして、そこから生まれる価値を『シェア』という概念で可視化したものが『シェアリングリレーションズ』です。
なので、『シェアリングリレーションズ』の視点で物事を捉えると、
これから多くのシェアを生み出し、多くの価値を生み出すことができるようになる、と思います。
これが、これからのシェアの概念『シェアリングリレーションズ』です。
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ここまでが、私の考えている事をできるだけわかりやすく伝えるために書いた記事です。
分かりやすくするということは、鉛筆で描かれた複雑な下書きを、太いペンで清書するようなモノです。
何が描いてあるかハッキリして見やすい分、細かい部分が見えなくなってしまう側面もあります。
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