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試演会オンライン振り返り*ワークショップ「ぐるりとめぐる オノマトペ」

2021年7月10日、11日に開催した「クサワケテ ユケ ワークインプログレス(試演会)」のオンラインによる振り返りを行い、創作過程での試みや収穫、ワークインプログレスを経て今後の課題などを話しました。
※振り返りは参加者の都合により、2021年8月22日、9月26日、10月15日の3回に分けて行った。

展示、ワークショップ「ぐるりとめぐる オノマトペ」
企画、ワークショップ進行:かめいともみ、協力:動きをめぐる研究会、樫田幸枝(maka)、鈴木潤+片岡祐介(おっさん姉妹)、武井真由美(にちにち白ご飯)
一つの「オノマトペ」を五感(視覚・触覚・嗅覚・聴覚・味覚)を使い、複数人がリレー形式でつながる作品を制作しました。
オノマトペを聞いて視覚を使わず作品を作り、触覚で鑑賞したり、香り、音、食べ物で表現したりと、情報を伝えていく難しさや面白さ、それぞれの感覚の違いなどが詰まった作品です。
ワークショップでは、参加者は作品を鑑賞し、その印象を「手ざわりカード」(研究会メンバーの光島貴之さんが考案)で表わした。


ワークショップをすることで会場がリラックスした雰囲気に

かめい:前に、みなさんが振り返りされた時におっしゃっていましたが、ワークショップの流れのリハーサルをしなかった。みなさんに手伝ってもらうところもあったので、バタバタさせてしまったというのが反省です。参加した友人の話を聞くと、ワークショップの後に、パフォーマンスを見るという流れが、リラックスと言うか、楽しんで次につながったという話を聞いて、それはよかったなと思いました。
あとは、発表の報告が長かったので、その辺りを短くして、ワークショップに時間が取れたらよかったなと思っています。これから作る報告書は、会場で撮影した写真、パネルの写真、研究会でのワークショップの様子など、写真と文章、例えば、ハーブティーのmakaさんと私のメールのやり取り、会話の文字起こしなどを裏面に掲載して、見せられたらと思っています。
川那辺:どんなデザインになる予定ですか?
かめい: A3サイズの表面に写真を載せて、裏面に文字を入れる予定です。目の見えない人も読みやすいように、文字情報はQRコードでアクセスできるようにしたらいいかなと思っています。おっさん姉妹が音楽を作る様子を映像配信してくれたので、そのアドレスも。編集したものをもらっているんですが、おっさん姉妹が楽しんでいる前後の映像も見せた方がいいのかなと思いました。その辺りは光島さんにどのようにしたら見てもらいやすいか相談したいと思っています。
あと、1日目のワークショップで参加者が感想を共有していた時、私はバタバタして一人ひとりの話を聞けなかったので、映像で確認して、そこも落とし込めたらなと思っています。
川那辺:今後の展開は考えておられますか?
かめい:人から人へ、リレー形式でつなぐ過程で出たオノマトペや、ワークショップで生まれたオノマトペがありました。そういうオノマトペから、例えば、音を作るなど、同じようにリレーできたらいいかなと思っています。また、月イチワークショップをアトリエみつしまでできたのが楽しかったので、また、やりたいと思っています。


五島:1回目の振り返り(8月22日)の時に、ハーブティーのmakaさんが私たちが作ったオブジェを受け取って、「不穏な感じがする」という感想を持ったという話を聞いた。パネルではわからないやり取りがたくさんあると思うので、そういうのが伝わったら、すごく膨らむと思います。ごはん屋さんは奈良ですよね。奈良という場所がわかると、移動したことが伝わって面白いと思います。
川那辺:コロナの状況下だから、直接会わずに、離れたところの人とやり取りするというのを、最初から意図していましたよね。
かめい:はい、そうです。
伴戸:美術は、一般的に1週間くらい展示をしたりしますよね。今回は二日間だけで、準備時間も短かったし、場所も限られていました。難しかった、厳しかったなと思うところがありましたか。
かめい:リレー形式なので、何かを作ってもらい、それを次の人に渡して、また何かの形にしてもらい、次の人に渡す。それぞれの方に作っていただく時間が必要だったり、そういうことの調整。この人にいつまでに渡さないと報告会に間に合わないとか。写真や音源など、メールでやり取りしたり、ハーブを郵便で送ったり。会えそうで会えない感じがあったので、調整が大変でした。もらったデータを、試演会のためにパネルに落とし込んでいきつつ、その間にもリレーが続いているのでバタバタしました。
川那辺:展示場所はどうでしたか? 
かめい:コロナで観客の間のスペースを取ることを考えたら、展示場所はあそこしかないかなという感じでした。
伴戸:別の場所で展示できたらよかったというのはないですか?例えば、2階とか。
かめい:見てもらいにくいというのがあると思います。あの部屋だけで完結する方がいいと思いました。「休憩時間に見てください」と案内したんですが、休憩時間もあまり取れなかったので、じっくり見てもらえなかったかなというのはあるんですけど。
川那辺:でも、ワークショップ中に、じっくり見てもらったという感じはあります。入場時や退場時、休憩時間に、私はもっと見てくれる人がいるかなと思ったけど、そうでもなかったなという感じですね。
かめい:お客さんはワークショップに来たという感じがあったので、プレゼンテーションよりワークショップの時間をもっとやりたかったという感じがします。
川那辺:事前の宣伝でワークショップとうたっていましたからね、そこが大きかった。次回、同じようなことするのであれば、作品の展示というのをもう少し強く出すとか。プレゼンテーションの時間もあるよと伝えるとか、その割合をどうするか、ちゃんと詰められたらいいですね。
五島:一人で作り込む作業、ほかの方との調整、それをかめいさんは一人でずっとやっていた。その辺りのことは、わからなかった。パフォーマンスとは、また違う時間とエネルギーの使い方なんだろうと想像しました。仕込みの日に、「ギリギリまで作っていると思います」とかめいさんが言っていて、徹夜していたのかなと思いました。これから作る冊子も、単に文字を入れるだけじゃない、美術の人の心構えがあるんだろうと思います。
(2021年10月15日)

発表だけでは伝えきれない情報をどう拾うか

五島:制作的な話でもあるんですが、かめいさんについては、前日にリハーサルをできたらよかったかなと思います。かめいさんは短い時間で、展示の説明とワークショップをすることになった。どういう風に話すかなど、前日にリハーサルできたらよかったなと制作者側としてはありますね。
川那辺:私は結構楽しくできたかなと思っています。誰がカードを配るか、ハーブティーを配るかなど、参加しているメンバーで役割分担できました。これだけ盛りだくさんのイベントだったので、確かに前日にできていたらというのはありますが、それぞれ自分のパフォーマンスがある中で、制作的な役割分担もやるということだったので。これは流れに関わることですが、五島さん、かめいさんが、それぞれ何を話すか、そういうことはもっと話ができていたらよかったと思いますが、かめいさん自体の展示とワークショップはよかったなと思います。パフォーマンスばかりにならなかったし、参加するということが、どういうことかをなんとなくわかってもらえた、いい入り方になったかなと思います。
辻野:川那辺さんが言うように、パフォーマンスだけではなくワークショップが入っているのがよかったし、かめいさんの企画自体もすごく楽しかった。私は、かめいさんの月イチワークショップでモノ作りを体験したり、「おっさん姉妹」のライブをYou tubeで見ていたので、試演会で、言葉だけで説明されていたのが、少し残念な感じがしました。やってみないとわからないことだと思う。時間的にも、もっとゆったりやってもいいのではないかなと。出来上がった曲やハーブティーだけでなく、その過程に面白さがいっぱい詰まっていた気がする。それをもっと伝えたい気持ちがした。
光島:視覚障害のある人の感想って、聞いていますか?僕、あんまり聞けてなくて。
川那辺:確かに。作品の感想は聞いていますが、ワークショップは聞けてないかもしれないですね。能動的に参加されている風景は見ていました。難しい顔をされている感じはしなかったです。1日目と2日目で、反応が違ったのが面白かったです。1日目は、みなさん積極的に隣の、知らない人同士で話したりして、話が終わらない。「こんな感じがする」「へえ、そんな感じがするんだ」みたいなことを言っている感じ。かめいさんのワークショップによって、この場がみんなで楽しむ場だということが、うまく醸造された感じがしました。2日目は、作品を見たいという人が多かった気がしていて、かめいさんのワークショップに対しても、「なんで私たちが動かないといけないの?」というような戸惑いを感じました。ちょっと極端に言うとね。
伴戸:パフォーマンスもあり、ワークショップもありということで、場づくりは難しかったと思います。かめいさんのワークショップについては、拾うところはいっぱいあるというか、まだまだいろんな形でアウトプットできそうに思います。
辻野:ハーブティーを作った人が、「作品をみたら不穏な空気がするから、これでは作れない」とおっしゃって、不穏な気持ちの時に、飲むハーブティーを作ってもらったそうです。それはそれでいいと思いますが、「不穏な気持ちで作れない」というところを拾うというか、私たちが作った「不穏な空気」を形にしてもらうにはどういうやり方があったのかなと。
五島:かめいさんは記録、冊子を作っていて、そういうところに盛り込めたらいいですよね。
川那辺:かめいさんと休憩中に話したのですが、舞台の人と違って、美術の製作は、一人でこもってする感じじゃないですか。コミュニケーションを重ねてやることを、新鮮に感じてくれていたようです。逆に、コミュニケーションを取りながら作品を作ることに慣れていないかもしれない。製作に集中しすぎて連絡が滞っていたところもあると思うので、やり取りしやすい環境づくり、先ほどのスズキさんのチームもそうでしたが、模索していった方がいいのかあと思います。
(2021年8月22日)

写真:草本利枝

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