【テュル活】『星の王子さま』から入るテュルク諸語(1):ワイ、ついにカラチャイ・バルカル語に出会う
ついに来た!
いやー来ました来ました。ついに。待ちに待ったこれですよみなさま…!
カラチャイ・バルカル語のほうはフォロワーの方に教えていただいた、Book Depositoryというウェブサイト経由で入手しました。
そう。2冊とも『星の王子さま』なのですが、いずれもいわゆるテュルク諸語(別の言い方ですと、「トルコ系」とも。トルコ語から見ると親戚関係にあたる諸言語ですね!)に属します。
1冊が、カラチャイ・バルカル語。もう1冊は、カライム語といいます。カライム語については、また明日以降に話すとして、今日はカラチャイ・バルカル語についてのお話を少し。
カラチャイ・バルカル語について
基本情報は、ウィキペディアに頼りましょう(ええんかい)。
コーカサス北部にあるカラチャイ・チェルケス共和国とカバルダ・バルカル共和国に分布しているテュルク系(カラチャイ人、バルカル人とそれぞれ呼ばれている)人々がこの言語の話者ということになるようです。話者は30万人ほどとのこと。
それぞれ、地図上ではどのあたりに分布しているかというと…
こちらがカラチャイ・チェルケス共和国のあたり。首都はチェルケスクです。むむむ…地図を見ると、この共和国、かなり広いですね…?
一方、カバルダ・バルカル共和国はこのお隣あたりでしょうか。
んーーー。この言語に興味を持たなければ、地図のこのあたりにもきっと関心を持てなかっただろうな…改めてテュルク諸語の地理上の分布の広さを感じます。といっても、距離的にはコーカサスの山々を挟んで、南コーカサスにアゼルバイジャン語があったりはするのですが。
さて、カラチャイ・バルカル語。言語系統的には北西語群ということだそうで、となるとタタール語やキルギス語あたりが同じグループに属することになるでしょうか。
ダゲスタンで話されているクムク語が系統的に近いそうですが、こうやって見ていくとテュルク諸語、たくさんあるな…と感じる方もきっと多いでしょう。(私も今更ながらびっくりしてるくらいですから)。
さてカラチャイ・バルカル語の文字ですが、独自のキリル文字表記を使用しています。手元の参考書によると旧ソ連地域の多くのテュルク諸語と同様、1920年ごろまではアラビア文字使用、その後20年代からラテン文字使用の時代を経て40年ごろからキリル文字使用という歴史をたどっているようです。
その後1966年に現行のキリル文字体系になり、以後現在までこの表記が使われていると。そんなわけで、キリル文字に慣れていれば、カラチャイ・バルカル語もコツをつかめばそこそこ声に出してみることだけはできそうです。
なので、この『星の王子様』のカラチャイ・バルカル語訳も、タイトルをラテン文字であえて転写すれば、"Yozden Jashchïq"くらいになるのかなというだいたいの見当がつきました。ただし、最後のкьのところが、この組み合わせで"Q"(無声音)になるということだけは調べないとわからなかったですが。
ざっと見た印象、感想など
で、最初のページだけぱらぱらっとめくってみました。おお…けっこうわかるじゃん、と一瞬思ったのですが、こちらがそもそも『星の王子さま』の内容を知っているから類推できることは差し引いて考えるべきでしたね…
多少手元の資料などを調べながら少し読んでみたのですが、当然のことながら語彙の多くの部分が、トルコ語やアゼルバイジャン語とは全然違うなという印象です。
文法のほうも、人称語尾や格語尾が少し変わっているというか、慣れればきっとわかるけど、ぱっと見は独特の形をしているなという印象があるので、これは本気で読むなら、少し時間をかけないといけないなと思います。
いやーしかし、改めて思うに。辞書がないと厳しいっすねえ。
なければ、ほかの言語での翻訳などと見比べながら類推していくということになるのでしょうけど、手間はそれだけかかるかなということに。というわけで、辞書を求めるアンテナも一応張っておきましょう…
といった具合で、テュルクの世界というのも沼なわけです。日本語はおろか、英語で出版されている資料だけですら足りないということになり、なんならロシア語、トルコ語、等々の周辺地域かつ支配言語の知識も必要になってくるというね…
この辺の楽しみを満喫するには、人生はずいぶん短いなと思ってしまいますがはたして…と、今更ながら思うのでありました。
まあともかく。テュル活プレイヤーとしては、ひとまずカラチャイ・バルカル語と出会えたこの喜びをみなさまと分かち合いとうございます。イエーイ。
参考までに、カラチャイ・バルカル語のラジオ局もタタ村さん情報がありました。こちらから実際の音を聴けるということです。テュルク諸語に興味のある方はぜひぜひ。
モスクワが拠点なんですね。チェルケスクとかナリチクとかではなく…
明日は、カライム語のほうについて少し書きます。テュル活はまだまだ続く…!
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