4. 時の旅人
見知らぬ男性の依頼を受けて真実が明らかになったあの日から、ぴのの特別な力はますます強くなっていきました。
ぴのとユミは、ただ過去を見るだけではなく、過去に実際に足を踏み入れることができるようになったのです。ユミの強い願いとぴのの能力が合わさった時、時間を超える小さな旅が始まることを意味していました。
例えば、ユミが幼い頃に公園で失くした大切なおもちゃを思い出すことがありました。
あのおもちゃを取り戻したい。彼女のそんな感情が高まった瞬間、ぴのの能力が反応します。
ユミの強い願望とぴのの集中力が結びつき、彼らは一瞬にして過去のその公園に足を踏み入れることができたのです。
公園の風景、子どもたちの笑い声、ユミがおもちゃを落とす瞬間が、現実のように目の前に展開されました。
ユミは自分の幼い姿を見て、うれしくなって思わず涙を流してしまいました。そして、おもちゃを手に入れたとたん、二人は一瞬で現代に戻ってきたのでした。
また別の日のこと。
ユミとぴのは、町で起きた大昔の事件、謎に包まれた大火事の真実を探るために新たな冒険の旅に出ました。
この火事は長い間、町の人々にとって未解決の疑問となっていて、真犯人とされている人は長年、自分が犯人ではないと言い続けていましたが、誰も彼を信じてくれませんでした。その結果、何が原因で火が起こったのか。真実を誰も知らなかったのです。
ぴのの特別な力を使って、ユミはその過去の出来事があった日へと時間を遡りました。二人は見えない存在として、その日の町に足を踏み入れることができました。町はその日もいつもと変わらない活気にあふれていましたが、ぴのは何か異変を感じ取っていました。
ユミはぴのに導かれるようにして、事件が起こったとされる工場へと向かいました。
工場ではたくさんの人が忙しく働いており、何も異常はないように見えました。しかし、ぴのは敏感な嗅覚で何かを察知し、ユミを工場の隅へと連れていきました。
そこで、二人は一人の従業員が危険な化学薬品を扱っているところを目撃しました。その従業員の一瞬の不注意が火花を引き起こし、あっという間に火事が広がり始めたのです。
ユミとぴのは、この化学薬品がどのようにして火事を引き起こしたのかを見て、真実をつかみました。さらに、彼らはその事件で無実の罪を着せられた別の従業員の存在も知りました。その人は事故の責任を一人で背負わされ、その後の人生が大きく狂わされていたのです。
冒険から戻ったユミとぴのは、この新たに見つけた情報を使って、その人とその家族の名誉を回復しようと決意しました。ユミはこの新たな発見を活かすために、地元の歴史家や資料を調べる専門家に協力を求めました。彼女はぴのと共に、火事の当日に工場で働いていた従業員の家族にも接触し、当時の状況を調査しました。
そして、現代の証拠や証言と照らし合わせることで、事件の真実を明らかにする資料を作りました。
さらに、ユミは地元の新聞社に記事を書いてもらうことで、広く町の人々に情報を伝えました。記事では、過去の誤解が解けた経緯と、無実の人がどのようにして名誉を回復したかが詳しく報じられました。
こうして彼らは町の人々に真実を伝え、長年の誤解を解き明かしたのでした。
この冒険を通じて、ユミとぴのは過去を変えることがどれだけ大きな影響を持つかを学びました。彼らの行動がどれだけ多くの人々の未来に希望をもたらすかを知り、二人の絆はさらに強くなりました。そして、正義と平和を守るためにこれからも一緒に冒険を続けることを誓ったのでした。
時間を超える力は、ユミとぴのにとって大きな責任を伴います。二人はこの力を使ってよいことを行うことを誓い、過去の出来事にはできるだけ穏やかに介入することで、未来をより良いものにする方法を学んでいきました。
この新しい能力によって、ユミとぴのの絆はさらに深まり、二人は過去と未来をつなぐ大切な橋渡しとなりました。
どんな困難も一緒に乗り越えられるという確信を持ちながら、二人の冒険はまだまだ続くのでした。
（最終回に続く）
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