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人生における真の案内人とは
トルコに滞在している間、たとえば軍施設や大学といった国の公共機関などで、ケマル・アタテュルクが発したとされる言葉が随所に引用されているのを目にしました。
私が数年前まで勤めていたキャンパスにも、入口のセキュリティを抜けると、トップの写真のようにアタテュルクの発言の引用が後者に書かれていました。いわく、
"Hayatta en hakiki mürşit ilimdir."
と。
最初にこれを見たのは、2004年にトルコ政府奨学金制度の留学生としてアンカラに来たときでした。当時、最初に見たときはhakikiとmürşitという単語の意味がわからず、家に戻って辞書を引いてなるほどと思ったのを覚えています。
その後2014年からアンカラで仕事についている間は、職場に通うたびにこの一節を目にしては、たしかにそうでんな、アタテュルクはんはええこと言うたはる…と思いながら中に入っていったものです。
(1) Hayat-ta en hakiki mürşit ilim=dir.
人生-で もっとも 真実の 案内人 学問=である
「人生における(もっとも)真の案内人とは学問である」
ちなみに、この通りにアタテュルクが発言した・あるいは書いたのかというと少し改変されているようにみえます。実際に発したのは、サムスンという黒海沿岸の街で1924年に教師たちに向けて行ったスピーチの一節ということのようです。
"Dünyada her şey için; uygarlık için, hayat için, başarı için en hakiki mürşit ilimdir; fendir."
からの引用)
(2) Dünya-da her şey için; uygarlık için, hayat için, başarı için en hakiki mürşit ilim=dir; fen=dir.
世界-で すべての こと ために 文明 ために 人生 ために 成功 ために 最も 真実の 案内人 学問=である 科学=である
「世界におけるすべてにとって;文明にとって;人生にとって;成功にとって(最も)真の案内人とは学問であり、科学である」
これをもう少し改変というか短めに直したのが、(1)や写真のアンカラの元職場に刻んであった一節というわけですね。
アタテュルク自身に対する評価はもちろんここでは問題にしていません。この名句がどれくらい自分のこれまでの経験で腑に落ちるか、ということをふと考えてみたのです。
私自身も言語学、あるいはテュルク諸語の研究というものを(いちおう)生活の中心に置いてきたと自負してはいるので、なんというのでしょう。まさしく思っていることをアタテュルクはトルコ語で言葉にしてくれていたのだなという感慨?というべきか、そういう感想をもつのです。
そういえば大阪d…いやあ、この話はやっぱりやめときましょう。しかし、あれだけ政治的な含みをもつ一節を選んだというのは、なかなか「攻めている」なという印象はもちます。
さて、みなさんの人生にとっての案内人とは誰(何)でしょうか。
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