チュヴァシ語、なるほどわからん
先々月(って、もう1月が終わってしまったというんですから時間が経つのは早いですね!)、こんな記事を書きまして…
誰かが企画したイベントに参加して記事を書くと、こんなに反響があるんだというくらいのリアクションをもらえたのは収穫でした。で、チュルク諸語がどれくらい近いかという話になったときに話題によくあがるのが、チュヴァシ語という言語です。ロシアのチュヴァシ共和国で話されている、テュルク諸語の中ではオグール語群に属するとされています。
上記ウィキペディアには、すごいことが書いてあります。
そう、音韻の対応関係はあるものの、子音のタイプが全然違うという。ほかのテュルク諸語から分岐したのも相当早いようで、紀元前500年ごろと推定されているのだとか(同じくWikipediaの別ページからの情報なのでちゃんと資料にあたっていないことは差し引いていただければと思いますが)。
そんなチュヴァシ語ですが、初めて触れたのは昨年秋。そう、例の『星の王子さま』案件です。
フフフ手に入れてたんですよ…チュヴァシ語版『星の王子さま』…!noteに書いてこそいなかったけれども!
それで、先日「テュルク友の会」でタタール語のことを質問しようとしまして、同会のメンバーたるboltwattsさん(タタール語の先生で界隈では知られている方ですね)に「大切なものは、目では見えない」のタタール語訳文はどういう分析ができるのか、とおたずねしたところ、
明快なお答えをいただいたときに、「ちなみにチュヴァシ語はどうなっていますか」と聞かれたのです。
そう、彼はチュヴァシ語も扱う男だったのですね…(恐ろしい男だ…!)さっそく手元の訳本から、それらしい箇所を探してみます。それが以下例(1)。
は?って感じがしません?いや、キリル文字で書くから…という話はもちろんあるわけです。ざっくりとですが、ラテン文字表記に転写してみましょうか。そのうえで、形態素ごとに分解してみます。以下、boltwattsさんに教えていただいたことを参考にしています。
不定詞とs'uk(「ない」)が組み合わさると、「不可能」の意味になるのだそうです…知らないとわかんないですわ、それは。
いやーこれ、当然のことながらトルコ語からの類推はまず無理ですね。ウズベク語などから類推してみたとしても同じことでしょう。トルコ語とほかのテュルク諸語でも難しいところ、チュヴァシ語ならなおさらという感はあります。本当に。
そんなわけで、ともかくテュルク諸語のなかでは異色の言語というチュヴァシ語に、昨年秋に私も生まれて初めて触れていた、というわけです。
サハ語もたいがいわからなかったですが、チュヴァシ語も相当。テュルク諸語の多様さを心底感じられる言語というのもあるというのがまた、テュルク諸語の面白い理由の一端としてきっとある、ということでしょう。
なんせ、トルコ語のカンがきかないんですから。これ、文法書必携です。当然のことながら。辞書も…いやしかし、辞書ってあるんでしょうかねえ…?
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