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2021年度薬ゼミ全統III(248回) 雑感とか

模試は大学や地域によって受ける日時が違うようなので、Twitterを避けてこっちで書いています。ということでネタバレ注意です。

また、あくまで独断と偏見による雑感であることをご容赦ください。何かあればコメントかTwitterのほうでよろしくお願いします。

今回は全問やってると時間がかかってしまうので、気になったところ(新傾向と難問系)だけ抜粋して書くことにします。もしかしたらカルテが見れるようになった段階で正答率を見ていろいろ追記するかもしれません。



感想

物化生は前回(統一II)が難しすぎたのでそれよりは…という感じでしたが、その分理論衛生がとてもきつかったです。あとは理論病態と実践薬剤がやや難しく感じたほか、理論化学・理論薬剤が解いた感じより点が取れなくてうーんという感じ。ただ前回の1日目が厳しかったので、全体としては前回並みの難易度だったのではと思います。

あとTwitterで個人的に問題を作ったBOT療法や4つの助やテノホビルの構造問題が出ててラッキーでした。スタンダードな問題はたくさんの方が出されているため、出てないけど出そうなものを考えて作問することは結構意識してるんですが、やっぱりそういう風に問題を分析するのも大事だなって思いました(ただし模試に出ても本試に出ないと意味がない…)。

必須

物化生

簡単な問題と難しい問題の差は国試以上なのは相変わらず。模試用問題入れるのは賛否あると思いました。でも個人的には統一IIよりは少し楽な感がありました。

1: 屈折の話はいかにも模試用というか、国試ではあまり出ない気がします。屈折率とか言葉の定義は大事だとは思うんですが、別に解けなくても…

7: 必須では難問のはず。ただBとCはどちらが安定かわからなくても3つ目以降がA>Dなので答えが絞れます。

9: これも高校化学的な問題。ただ酸化数は101・105回で登場してます。正電荷の考え方まで覚えてる人は少なかったのでは…

11: 個人的にはこういうのが出ても答えられるように、よく出る代謝物の構造はセットで覚えるようにしてます。構造をなんとなく覚えてるだけでも結果的に化学の点にも薬剤の点にもつながってくるので。

12: 終止コドンはどれか。という問題をこういう出し方してくるのは面白いなと思いました。それが必須問題かどうかは…

衛生

18: 実は健康日本21第二次の目標項目はたくさんあるので、細かく聞かれると難しい問題。

24: 環境基準法の基準項目ではないのが曲者。

薬理

26: pKaなどから類推できないとしんどい問題。

27: AChE阻害薬がどう作用するかを化学的な観点から見た問題。こういう問題も普段から構造を意識してると楽です。ただこの問題が必須レベルかどうかは…

薬剤

41: 上皮細胞が薄いものが分子を通しやすいことを知ってても肺か鼻で迷う問題。どれくらいの人が丸覚えで知ってるかわからないんですが、これは知ってないとどうにもならない気がします。

45: 腎抽出率Erを肝抽出率Eh=CLh/Qhから類推できるか、という問題。難しめだと思います。

47: 必須としては専門的なものの、知ってて損はない語句。

54: 固体のものは固体が入らないように、液体のものは液体が入らないように…という分類で特殊なもの以外はは大丈夫です。

55: 消去法で選べないこともないと思うんですが、全く知りませんでした。

病態

56: マイナーな感じがあるので難しめだと思いました。

60: 正答率が低めだったので追加。-gest-は卵胞ホルモンの薬です。ホルモンの働きを知ってないと解けないことには変わりないのですが…。

62: いちばん厳格に管理する必要があるのは?という考え方ができればOKなはず。

64: ラノコナゾールが選択肢では浮いているとはいえ聞いていることはやや難しめ。

65: 細胞内寄生菌→油っぽい薬が効く、という風に覚えてます。

66: 106回実践で出たとはいえ悪液質を必須で解かせるのはしんどいような。

67: ES細胞は国試で出てるのでこっちもあり得そうな問題。

法規

80: 問題作っておいてよかったと思ったやつ。今回は共助についてでした。

実務

84: 医療器具の消毒は内視鏡をグルタラールに突っ込んでおくのが一つの基準と覚えてました。

86:  乳酸の代謝を覚えてなくても丸覚えで解けるっぽいですが、なんで乳酸イオンでアシドーシスを補正できるの?と考えるのは大事なことだと思います。自分は忘れてました…。

87: 実習時はコロナで医療資源が限られてたこともありイメージしにくい問題…。

89: 解説を読んで一定の納得はしたんですが、解いてるときは臨床検査技師の試験じゃないんだから…と思ってましたし今も少し思ってます。国試には出ないタイプの問題だと思います。

理論問題

物理

91: 分子間相互作用は他の科目でもめちゃくちゃ大事なので絶対に解けるようになっておきたい問題だと思います。

92: 数式からそれが何を意味するのか、グラフだとx軸y軸傾きが何を意味してどういう振る舞いをするのか、それを日本語で説明できるようにしておくことがこういう問題を解くにあたって大事なように思います。

94: この問題さっぱりだったんですが、確かに次数を求めていく実験をすればこうなるって授業でやったなーと解説読んでうっすら思い出しました(解いてた時は擬0次反応とかそういう話かと思いました)。ただやっぱり化学量論係数と次数が一致しないパターンはコアカリキュラムの中ではかなりイレギュラーだと思うので、解けなくてもいい気がします。個人的には102と並ぶ難問だったんですが、正答率が割とあってびっくりしました。

95: 3はあまり使われないと思います。はじっこがアミドだと加熱+加水分解で確かにカルボン酸とアンモニアになるんですが、そんなの試験中に思いつきもしないので正解の4,5をさっと選ぶ問題だと思います。

120: 4が難しい選択肢なので正答を迷いなく選んでおきたい問題。

化学

99: 水を使う順番に気づけないと即終了します。何気に出来たと思って間違えた人いるのでは…(間違えました)。

102: 本来ナフタレンの反応性をいうには解説のような有機電子論では限界があり(1位と2位の電子密度に差がないため)、フロンティア軌道理論をもとに機械計算させる必要があります。ただナフタレンに関しては教科書にも載っていて国試でも一応出ているので(98-102)、丸暗記しておけと言われればそうなんですが…。個人的には捨て問です。正答率も驚異の低さで安心しました…。

108: 薬ゼミは模試3回とも合成経路単問で出していますが、106回の傾向を見る感じ合成経路はもう単問で出ない気がします。出たらすみません…。

生物

113: 骨についての結構細かい問題ですが、ここら辺は薬理と病態と密接に関係してくるので深堀りしても特になる範囲だと思います。

115: 2と3が少し細かいかも。今のところ国試ではディフェンシンやパーフォリン、グランザイム(こっちは問116)のような抗菌に関連する細かいタンパク質は聞いてきてないようです。

衛生

今回の個人的最難関はここでした。

122: 実質膵がんについての理解があるかどうかの問題。病態に近いです。

125: 3が切りづら過ぎる問題。正答に自信がなければしんどいと感じました。

126: こういう尋ね方の問題は国試でもありそうですが、やや選択肢が難しく感じました…。

127: 5が選びにくいので他の選択肢に自信を持ってないと少ししんどい問題だと思いました。

129: 選択肢全てを吟味するとCは油っぽいから油に使う酸化防止剤、Dはアゾ系の色素→タール系→水溶性の一部はOK、という風に高度な類推が要求されるので、正答を当てに行きたいところです。

130: 農薬取締法ってどっかで見たと思ったら使用と販売に関する法律だと青本の端っこに書いてました。4が自信なくてつられました。

133: 難問。ヒ素は3価が毒性高くてメチル化で無毒化される、コメとヒジキが主な由来くらいの認識があれば十分だと思います…。

136: 2と4がSN2反応、3はエポキシドが発がん性、という消去法が現実的なように思います。もちろん丸暗記できればそれが一番強いんですが。ただ1からできるヒドロキシルアミンの硫酸抱合・アセチル抱合による活性化を理解することは大事なように思います。

139: これも難問だと思います。AgNO₃を添加してるだけに2と3で迷った人も多かったのでは…。

法規

141: 出ません。

148: DPCの詳細はちょっと踏み込んだ内容に感じました。

薬理

今回は臓器の作用と受容体の作用が片方だけ正解で、全体として矛盾しているものが結構多いように感じました。どちらかのみを頼りに覚えてる人は多く引っかかるかも。

152: あまり出ない範囲なのに細かいので出来なくても…。

153: 消去法が楽。

158: 5が少し意地悪な選択肢だと思いました。

161: 今回の中ではマイナーな範囲なので比較的難問だと思います。訂正にもありますが、解説のバシリキシマブはIL-2ではなくIL-2Rに結合なので注意。

163: 4と5がややしんどい問題。抗生剤と抗がん剤は範囲が広いので深掘りするメリットがあんまりないんですよね…。

薬剤

168: 能動輸送時の膜透過速度がMichaelis-Menten式に従うというのはまだ出てきてないので(必須問題に類題がありますが)、盲点といえば盲点です。

169: Scatchardプロットの式、導出しにくくて丸暗記しても何回も何回も忘れちゃうのは自分だけですか…ちなみに今回は覚えてたんですけど早とちりで間違えました。

172: 4の尿中総代謝物量(未変化体換算量)という表現に注意。未変化体の量だけを求めるのではないです。見事に引っ掛かりました…。また5も間違いやすいので気を付けたい問題。

173: ヒントが少ない難問。勘で当てたって人も多いと思います。

175: Noyes-Whitney式の前提条件が拡散律速であるということはかなり落とし穴かなと思いました。

176: ホフマイスター順列、陽イオン陰イオンどっちがどっちか一生覚えられないんですがなんかいい語呂ありますか…。

178: 解いてて頭がおかしくなりそうになりましたが、理解を問う問題としてはありなのかなと思いました。

180: 2がそれっぽく書いてあるのでやや切りにくい問題。

病態

186: 国試の「1つ選べ」は得点をあげるための調整が多いように思うんですが、模試のそれは選択肢が難しいから1つになってる、ってことが多いように思います。

187: 3が難しいので自信をもって正答を選びたいところ。

191: マイナー疾患は必ず国試でも1問出るんですが、範囲の広さを考えると切ってもいい気がします。

192: カルシトニン製剤も破骨細胞抑制効果はあるんですが、適応はもっぱら疼痛のようです。

194: 今回の統計問題は実践含めちょっと難しすぎる気がしました。イベント発生のためのKaplan-Meier法は生存時間解析に比べると少ないですし、Cox回帰なのに「治療効果の差の大きさ」という書き方には引っかかりました。確かにHazard比を求めるということは発生率減少が求まり、何%の差があったか求まるということなんですが…。

195: 実質生薬の効能を聞いている問題なので、どっちかというと化学の生薬の範囲よりに感じました。国試では106回のように症状と一対一対応で出るのかな?と思います。

実践問題

個人的に手ごたえはすごい良かったんですが、点数はそんなに…という残念なパターンでした。選択肢の吟味だいじですね…2択になった以外の選択肢や問題文を読み直すとか、選択肢ごとに優先度をつけていくとか。

物理

196: これを1ページ目に出さないでください…(ページをめくりまくった挙句あわてて間違えた…)。

197: 多段階解離の酸塩基の場合、pHと解離曲線の表を書くのが一番手っ取り早く確実だと思います。表を書いてみたらHenderson-Hasselbalch式もどっちが分母だったか思い出せるので(プラスかマイナスかがわかるので)。

199: パルスオキシメーターは出るかもしれないと思ってます。

204: テオフィリンと横紋筋融解症がどうしても結びつかず忘れてしまう人いますか…。個人的に3回ぐらいやらかしてる問題です。

205: こういう問題は今の国試が好きそうだなと思いました。プリン骨格→核酸塩基を想像すれば15度では固体、吸光度は260nmが基準と類推できます。

化学

213: リン酸アミドがどこで加水分解されるかはリン酸エステルとの比較でわかります。自分も問題を作ってなかったら怪しかったと思います。

生物

217: 脂質代謝は作用する場所を覚えていなければならないのが難しいところ。3はコレステロールエステルじゃなくてトリグリセリドなので見落とし注意。

220-221: これ生物はさすがに無理やりなのではと思いつつも、出やすい問題なのでどうしても入れたかったのかな…と思いました。解説の訂正の通り色素については記述がないです。

衛生

227: 4がやや専門的に感じます。自信をもって2と5を選べるかどうかと言われると…。

228: 3か4で迷うところ。人間ドックの意義を考えると4を選びやすいのかなと思います。

233: 1が見事な罠選択肢だとおもいました。ひっかかりました。

236: 大麻所持犯が増えているのは時事的に結構有名だと思います。4の通称エクスタシーのMDMAはメタンフェタミン類縁体なのですが、覚せい剤ではなく麻薬管轄というのがまた…。ずーっと4と5で迷う羽目になりました。

237: テトラヒドロカンナビノール(THC)とアンフェタミン系は代謝において対照的なので、どちらかを正確に覚えているといいと思います。THCがすぐ代謝される一方、アンフェタミン系はほぼ未変化です(そのため毛髪から検出できます)。

243: 1と5がややふんわりとした選択肢ですが、CO₂の基準は法律でいろいろ異なることから毒性によるものではないと判断できればいいのかなと思います。

薬理

相変わらず完全連問形式がかなり多かったですが、最近の国試は問題で処方された薬+選択肢の薬の薬理作用を聞くとかで前問を落としても回答可能になっているものが多い気がします(その分一対一対応でなくなるのですが)。

252: 選択肢見てからクロピドグレル見て、2C8阻害だ→セレキシパグって基質だったような…!→硝酸を見落とすってやった人いますか…。ちなみにリオシグアトも2C8基質でした(どちらも併用注意などはなかったです)。

257: カナマイシンまでは覚えててもリファキシミンを忘れてて答えにたどり着けなかった人もいるのでは…。

薬剤

266: メタ読みすれば解けるんですが、フルコナゾールにアスペルギルスの適応がないのは少しマニアックな気がしました。

269: 厄介なのはMATE1はふつう有機カチオンを輸送しアシクロビルは例外的である点、そしてMRP2はふつう有機アニオンを輸送するという点です。MRP2が胆汁排泄に関わるトランスポーターと覚えていれば消去法でなんとかなるかもしれないですが、かなりの理解を求められる問題な気がします。

272-273: 難問。カルバマゼピンのp-gp誘導は落とし穴的な知識じゃないかなと思います。水酸化マグネシウムもキレートじゃないのが難点。

276: ダプトマイシンが肺炎に使えないのは有名になりましたが、リネゾリドが感染性心内膜炎に使えないのはまだ盲点だと思います。リネゾリドが静菌的というのはひとつポイントなのかもしれません。

280: バロキサビルに体重の区分があることは結構知られてるはずですが、80kgで2錠→4錠にすることまで覚えてる人は少ないのでは。2の選択肢も表現が微妙で(確かに添付文書はこの通りなんですが)、1と2で迷った人が多かったのではと思いました。

281: 製剤試験に対して結構深い理解が求められる問題。ここまで覚えるべきなのかはちょっと自分にはわかりません。

282: メサラジン製剤の使い分けは作問しやすいと思うのでチェックしておきたいところ。

285: 忘れてても知らなくてもホスホコリン類が入っていることからリン脂質のリポソームを作るのかなということが推測できます。

病態

291: 血管外漏出へのマッサージは含糖酸化鉄特有のもののようで、かなりイレギュラーなので消去法になります。コロイドを覚えていればなんとか…という感じ。

292: TTPの病態は結構マイナーな範囲だと思います。

295: どの選択肢も対応できるようになっておきたいところ。

296: これも細胞内寄生菌なので油っぽい抗菌薬を選ぶと正解できます。

303: 理論に続いてかなりの難問。多重比較検定だけだといっぱいあるのですが、「対照薬であるA」と「後発医薬品B薬及びC薬」に差があるか、というところから「AとB、AとCをそれぞれ比較した手法」ということを読み取り、それでようやくDunnett法だとわかります。そこからさらにDunnett法だけでなくANOVAの理解をしていないと4の内容や5の等分散性のために事前にF検定を行うことなどがわかりません。正答率どんな感じなんでしょうか…。

法規

319: レスパイトケアとは何か、っていう問題は出てもおかしくないと思います。

324: お正月に数の子のプリン体が少ないって問題を作って遊んでたのに間違えました…。

実務

333: ちょうど抗アルドステロンが2つなので雰囲気で解ける問題。

335: テリパラチドは顎骨壊死が起きないというのが売りになってたりするらしいです。

337: テスト中に2時間後っていうのを見ておきながらフルオロウラシルとイリノテカンからどう絞るの?って思ってたんですが、2時間後って普通にイリノテカン静注中でした…。

340: 意識的に避ける必要がないものを選べ、って頭が混乱しませんか…?

341: BOT療法を作問してたので自分で助かりました。グラルギンってA鎖がGly、B鎖がArgで終わるよう修飾されてるからグラルギンって名前なんですね…。

345: コデイン類は意外にもドーピング対象外です(ただしモニタリング対象)。ステロイド系が使えるのは皮膚用のみ。

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