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2021年度薬ゼミ全統I(246回) 雑感(理論1)

模試は大学や地域によって受ける日時が違うようなので、Twitterを避けてこっちで書いています。ということでネタバレ注意です。

また、あくまで独断と偏見による雑感であることをご容赦ください。何かあればコメントかTwitterのほうでよろしくお願いします。

全体としては物化生、特に物化はしっかりやれば点数は裏切らないなと思いました。逆に衛生はその年の流行りに左右される項目、範囲がかなり広い項目があるので上振れ・下振れに注意したいですが、今回の理論衛生の範囲はブレずに取りたい問題が並んでいた気がします。特に疫学・毒物関連・環境学あたりは「比較的信頼できる範囲」だと思います。法規はできない場合はみんなできないので、基本的なことをちゃんと覚えておけばいいかなくらいの認識です。

物理

物化生でも特に物理は最近の国試でも容赦なく難しいままなので、それに比べるとやや易しかったように感じました。分析科学もこの難易度は取っておきたいところだと思います。あとは特に93のような相図は国試で最近出てないのでそろそろ…という気がします。

91. 1~3は高校化学の延長線上。ただJ/m³とJ/Lの変換など、ちょっとややこしいだけの単位変換はあんまり最近の国試では見ない気がします。残りの4と5のうちどちらかがわかればOKで、熱力学をちゃんとやってた人は4、ファンデルワールスの状態方程式を覚えてたら5の正誤が答えられます。ただ状態方程式を丸暗記しても苦労のわりに仕方ないところがあるので、イメージとして圧力→分子が外壁へ与える力→内側から分子間引力があると弱まる、というのを持っておくといいかもしれません。

92. 国試106-178を物理で尋ねたような内容。ファントホッフプロットを覚えるのは割に合わないので、ΔG=-RTlnK=ΔH-TΔSだけ覚えて式を整理したほうが楽です。注意したいのは傾きにマイナスが含まれているので、ΔHの符号とグラフの傾きは逆になるところ。

93. 水と均一な溶液となる→水和物となる、水和している→水素結合が関与している、ということが補足としてないと1の解説は分からない気がします。あとは相図の基本的なこと…と言いたいものの、いろんな相図があるのでその理解がとても難しい分野だと思います。個人的には物理化学では捨てたい項目No.1です…。

94. 個人的には解説を見るまで何をやってる問題なのかよくわかりませんでした。言われてみれば、なんですが…。それぞれが単独で存在している場合の蒸気分圧が理想溶液(活量1)の時のものだ、という認識ができなければそこでどうにもならない問題。

95. 定性試験の基本。4-アミノアンチピリンとかは覚えにくいので反応から呈色の仕組みを調べてみてもいいかも。

96. IRの基本。これは正解したいところ。

97.「以下は日本薬局方における、~」の問題は何を問われているのかが様々で複雑そうに見えるので、苦手な人も多いのでは…。この問題については原子吸光光度法についての問題ですが、国試でも1つか2つの試験法について問う問題がほとんどなので、そういう意識を持てればいいかも。

98. 5がなんか他と比べてかなりよくわかんない選択肢なんですが、SDSが何の略かわかっていて、あとは泳動の基本がわかっていれば消去法で正解できます。

99. 核反応は新鮮なものの陽子と中性子の計算をしたらあとはC¹¹についての問題。α線はHe⁴ですが、陽子と中性子は2つずつなので計算するときに間違わないように注意(まちがえました…)。4を知らなくても2はPETに使うことを考えるともっと短いかなーってイメージがあれば強いと思います。

121. アフラトキシンの複合問題のうち分析の部分。3だけ選択肢の難度が高いですが、1245を理解しておけば問題解けるし知らなくてOKだと思います。

化学

全体としては106回と比べてそれほど難しくなかったと思います。106回から反応で難しいものが範囲外になったため、いかに医薬品や生体内物質の構造を知っているかの比重が大きくなったような気がします。年々各科目でも構造に関わる問題は多くなっているので、漠然としたイメージでもいいのでひとつひとつ持っておきたいなと思いました。あと今回はファーマコフォアやバイオアイソスター、アナログといった概念は理論で出ていないので、その辺は注意したいです。

100. 配座の基本的な問題なので得点したいところ。

101. 簡単そうに見えてしっかり反応を書けないとしんどい問題。ただ3~5が比較的楽なうえにアキラルだとわかるので、ややこしい1を考えなくても答えられるのは救いかも。(追記)2のヒドリド転位は全く気づきませんでした。

102. 葉酸の構造を機能のついでに覚えていた人はあまり問題なかったのでは。逆に知らないとほぼどうにもならないです。

103. これもAC系の反応を構造から知っていれば問題ないはず。逆に知らないと102同様厳しいです。

104. 基本的な分子間相互作用と骨格についてのこういう問題は最近よくあるので答えたいところ。クライゼン縮合は反応としては似ているもののエステルが付いたり外れたりするところが違います。

105. マイトマイシンCの反応のうち共役付加反応は範囲外かも?と思うので、あんまり復習の優先度は高くないと思います。ただ酸化還元・E2脱離・アルキル化の意味を理解していれば、問題の文面から正誤は判定できると思います。

106. 普通のメチル基が1ppm~2ppmにあることを覚えていなくても、カルボニル基に隣接した炭素の水素はすこしひっぱられること、ベンジル位についた水素はベンゼン環に大きくひっぱられることの2つを知っていれば正解できます。

107. 生薬は覚えたい人のみ覚える、でいいんじゃないでしょうか。ただ漢方薬については新カリから処方が出るようになったみたいなので、局方に乗っている重要なものは押さえておきたいです(局方外の漢方は範囲外です)。

108. 新カリになってから106回では合成経路の代わりに天然物についての問題が出ました。生薬と違いこういう感じの問題は答えやすいので押さえておきたいです。

118. アフラトキシンの複合問題のうち構造について。答えやすい順に3>1,5≫2,4だと思いました。5についてはケトンとメトキシ基が目立つやつはポリケチド経由かなーって目星がつけばいい気がします。2,4は知らなくていい気がしますが、だいたいこういう多環構造のものは熱に強く難分解性なので環境や人体に問題になるという感覚があるといいのかもしれません。

生物

生物は範囲が広すぎるので、得点を期待して勉強する段階になるまでが大変な気がします。でも遺伝子・生理学・免疫学は得点源になる(と思う)のでやっておきたいところ。個人的には生物も化学のように構造を意識することが大事だと思います(特に代謝)。少なくとも薬理に繋がる面もあるので。

109. 1のInduced-fitの概念は覚えておいた方がいいかも。あとは競合阻害と非競合阻害の仕組みを理解していればOKなはず。

110. 代謝関係はどういう反応の流れかもそうですが、「どこで」行われるかを知っておくのが非常に大事だと思います。2の炭酸固定はほぼ確実にビオチンを補酵素として使います。3,4は図を見ればよく、5はパルミチン酸とステアリン酸の炭素数を知っていればOKです。ただ1,2,5の知識をすべて知るには結構幅広い学習が必要な気がします…。

111. 正答の3,4は結構難しい気がします。自分は忘れてたので1,2,5を切って答えました。

112. 筋組織の話は薬理にも深く関わるので、この問題ははっきり答えられるようになっておきたいところ。

113. これも薬理に深く関わるのでしっかり答えられるようにしておきたいところ。

114. 補体は細かく覚えると大変なので、古典経路についてとオプソニン、アナフィラトキシンがだいたい分かっていればいい気がします。それ以上に細かいことは国試にはほぼ出ていないような。

115. 抗体については詳しく知っておきたいところ。ただ選択肢5のパパインは知らなくていい知識だと個人的には思います。教科書には確かに載ってますが…。

116. 国試の実験問題は「実験法を理解していれば何となくわかる」問題になっていますが、この問題の3~5はモノクローナル抗体作製について一度学習してないとどうにもならない気が。ただモノクローナル抗体がこうやって作られているという流れを知っておくことは割と大事な気がします。

117. ウイルスに関する基本問題なので正解できるようになっておきたいところ。

120. アフラトキシンの複合問題のうち生物の範囲。それぞれの遺伝子の名前だけでなく、どういう経路に働くのかは知っておいた方がいいように思います。3~5はどちらかというと化学に近い問題なので構造の理解が試されます。

衛生

問119がちょっと難しくてびっくりしたんですが、全体を見ると定番の問題が並んでる気がします。119以外は国試に出てもきちんと答えられるようにしておきたいです。

119. 連問の中では一番の難問だと思います…。答えやすさ順に3≫1,2,4≫5でしょうか。1~4をすべて知ってて辛うじて、なんでしょうか。とはいえ1,2,4はできれば知っておきたいところなのかも。

122. 完結出生児数を知っていないと詰むんですが、問題としては大事だと思います。

123. 出生・死亡に関する統計は割と定番なのでしっかり答えたいところ。

124. これも疫学研究の基本。疫学はそれほど難問を作りづらい気がするので、得点源になる項目だと思います。

125. ロタウイルスのワクチンと接種間隔の改訂は押さえておきたいところ。ワクチンも細かい取り扱いとかでなければ得点になる項目だと思います。

126. TORCH症候群の5つの頭文字は全て何の略か知っておきたいところ。OはOthersというくくりです。

127. 代謝の中でも糖代謝は特にどこで何が行われているかの理解が必要。5のホルモン感受性リパーゼはリポタンパクリパーゼとの対比が重要。またグリコーゲンだけではエネルギーとして足りないから栄養or糖新生orβ酸化が必要という流れも大事。難問マークがついていますが国試でも結構出てる範囲な気がします。

128. 計算するだけ。

129. 油脂の変質については何回覚えてもごちゃごちゃになるのは自分だけでしょうか…ただ4以外は基本的なことだと思います。

130. Eがやや難しいような。ほかの選択肢で絞りたいところ。金属封鎖型は金属が酸化を触媒するのでキレートで封じ込めるものを指します。

131. 食中毒についてはこの1問しっかりやっておくだけでもだいぶ答えられるような。難しい問題扱いされてますが、重要だと思います。統計を見たことがある人には楽な問題。

132. パラコートはやや難しい問題なものの、構造をぼんやりとでも知っていればできると思います。他も有名どころしか出ないので、この分野は意外と得点源にしやすいです。

133. 活性酸素についても国試の出題頻度が高いうえ、しっかり学習していれば安定した点が見込める項目だと思います。(自分はメタロチオネインについて重金属のみの作用しか知りませんでした…。)

134. これは過去問やっていればできる問題。ただ今後の国試に出るかどうかは…。

135. これも過去問準拠。国試ではそれぞれの試験について丸覚えじゃなく理解するように、という方針なんだと思います。ただrecアッセイはずっと出てないので覚えなくていいと思います。

136. 放射線の基礎問題だと思います。ここも勉強すれば得点しやすい分野。実践の放射性医薬品各論になると覚えることが多くて難しくなるのですが…。

137. 化審法、化管法、POPsの括りは本当にややこしいので違いをしっかり把握しておきたいところ。

138. 下水処理は知ってれば解ける問題しか出ないので、一度しっかりやっておくと得点源になります。5がやや難しいかも?

139. 水質汚濁も範囲が決まっている得点源。なぜそうなるのか?の理解が肝要だと思います。たとえば海域でCODが指標なのはBODだとCl⁻の影響があるから、など。

140. これも難しい問題に分類されてる割に、選択肢3のPM2.5に詳しくなくても1245を答えられるのでそこまで難しくないと思います。また選択肢5のように理由をしっかり覚えておくことが定着において大事だと思います。丸覚え一辺倒では難問、ということなんでしょうか。

法規

どの問題も国試に出やすい大事な問題だと思いました。解いてるときは手応え無くて怖かったのですが…(実力不足)。

141. 薬害は範囲が狭いので落とせないところ。それぞれの法律制定には必ず流れがあるので理解しておきたいところです。

142. 3だけ難しめですが他4つの正誤判断で答えられる問題。

143. 臨床研究と法律は106回で臨床研究法が出たように、新しく重要なトピックなのでなので国試でもまたすぐ出るかもしれない気がします。

144. 消去法では少し厳しいかも。介護医療院は新しいものなので要チェック。文書同意は法律には書かれてないのが少し嫌な問題。

145. 治験が苦手でもこの問題レベルは押さえておきたいところ。

146. 基本的に急いで報告する必要があるのは企業です。あとは基礎的事項。

147. 薬局方に入っていれば医薬品。2~4のうちどれか一つわかんなくても解けるので、難問マークというほどではない気がします。

148. 2がややマニアックなものの、ほか4つは基本的なので押さえたいところ。

149. 各モデルは画像検索などで大体の図を見ておけば忘れない気がします。あとは薬剤経済分析をなぜ行うのか?という話なのでこちらも重要かも。

150. ホットトピックなので基本的なこと(1,3,5)は押さえておきたいところ。2は何となく違和感があるので切れるかなと思います。

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