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2021年度薬ゼミ全統I(246回)雑感(実践2)

模試は大学や地域によって受ける日時が違うようなので、Twitterを避けてこっちで書いています。ということでネタバレ注意です。

また、あくまで独断と偏見による雑感であることをご容赦ください。何かあればコメントかTwitterのほうでよろしくお願いします。

最近の国試の薬理の話になるんですが、特に105回は多疾患罹患・106回は多剤併用に焦点が当たっていた感じがありました。それに比べると今回の薬理はずいぶん簡素というか、情報量が少ないというか…。正直実践薬理はあまり今の国試の参考にならない感がありました。

あとは成績が返却されてきたので禁忌肢についても。今のところ国試において、薬物治療関係の分野では問題の難易度からかヤバい組み合わせを選んでも禁忌肢になってるのを見たことはないです。なので実際は衛生・法規・実務あたりで患者にヤバいことをさせる・触法性があるというところのみにしばらくはとどまると思います。今回の模試もそれに準じて作られているように思いました。

実践薬理

246. 問題設定がやや不思議というか、統合失調症の中核症状である連合弛緩から被害妄想などが二次的に起こるはずなのに、その状況で不安になり受診ってあるんでしょうか。専門でも何でもないんでなんともいえないんですが…。問題自体は高血糖症状を知っていればOKです。

247. ただアリピプラゾールの作用点を答えるだけ。セロトニンの方の部分刺激は5-HT1Aである点には要注意。

248. インフリキシマブはメトトレキサートと併用必須なので使えないというだけの問題。

249. ただ薬理を問う連問。前問が答えられていたら問題ないはず。

250. WPW症候群は割と珍しいような気がします。正直波形などからはいまいち掴みどころのない疾患ですが、一番大きな原因はほとんどの場合Kent束が副伝導路になってリエントリを起こすことです。そこさえ分かっていれば不応期を延長させてやればいいのかな、という感じでジソピラミドを選びやすいと思います(Ia群はNaチャネル遮断よりKチャネル遮断を把握しておくことが大事だと思います)。またPSVTの一種、つまり上室性なのでメキシレチンは効かず、房室結節を抑えると副伝導路が相対的に強くなるのでジゴキシンは禁忌です(問題の難度上禁忌肢には入ってませんが相当まずいと思います…。)

251. これは前問を正解できるかによるので省略。

252. 1秒率60%→COPDとして安直にLABAを選べばいいんですが、4のイプラトロピウムがSAMAであることが厄介だと思います。

253. これも前問の正誤で決まっちゃう問題。こういうのは少なくするように注文があった気がして、それに応じて今の国試ではもう少ない気がします。

254. 切迫早産といえばリトドリン。最近はリトドリン長期維持はやめようみたいな話もあるようですが…。この中で一番まずいのはジノプロストンで、これくらい不味いと薬理で禁忌肢というのもあるのかもしれません。

255. β₂刺激に異化亢進のイメージがあれば何とか高血糖につなげられたのではと思います。

256. 酸化マグネシウムの薬理って案外落とし穴だと思います。また時系列の把握が必要なことも正答率の低さにつながってる気がします。ファモチジンの併用がなぜ良くないかは解説書のとおりです。

257. 恐らくこの選択肢を先に与えられていたら、どうして処方変更になったのか気づいた人もいたのでは…実践薬理はこういうパターンの問題もあるので、解けないときは連問すべての情報を活用したいところ。

258. 過去問にも何度か出ている基本の処方選択問題。押さえておきたいところだと思います。選ぶのは禁忌の薬の薬理というところが嫌らしいなーと思うのは自分だけでしょうか…国試はここまで意地悪な引っ掛けは出してこないと思います(文句が付くので)。

259. 前問が出来ていたら問題ないはず。

260. プロラクチンだけ高いことを基準値から丁寧に教えてくれています。この時点でD₂刺激の3と5に絞られるんですが、麦角アルカロイドといえば心臓弁膜症くらい大事な副作用なので絞れるだけじゃなくて答えたいところだと思います。

261. 前問が出来ていたらこれも問題ないはず。実質連問ばっかりですね…。

262. 3と4まではすぐわかるものの、そこから切るのが難しい問題。自分はNS5b阻害の方が使われてるかなーって適当に選んじゃいました。肝炎ということは肝硬変の可能性は当然あるわけで、そこの使い分けは余裕があったら覚えておくといいのかもと思いました。

263. 前問が出来ていれば…ですが2と3は間違えないようにしたいところ。C肝はRNAウイルスなので3です。

264. いわゆるロイコボリン救援療法はメトトレキサートとの話で、フルオロウラシルの場合のレボホリナートは違う使い方になることに注意。あとはレジメンを見たことがあれば1と4を切れると思います。

265. EGFR阻害剤とVEGF阻害剤は使い方が似ているので、そういう感覚があれば答えられたかなと思います。

実践薬剤

266. わざわざ構造式を書いてくれているので、消去法より正答2つを当てに行った方がいいと思います。

267. 前問の2を理解していれば特に問題ないはず。1がレボドパ、5がバラシクロビルなのは構造から分かるようにしておきたいところだと思います。

268. 国試ではあんまり2のような具体的数値での聞かれ方はしないと思います(捨てていいと思います)。実際は解説のように丸暗記ではなく表のパラメータからちまちま式変形していくことが求められるので大事な問題。F≒1であることからFh≒1であり、また肝固有クリアランスをCLinth、薬物タンパク非結合率をfbとおくとEh=CLh/Qh=(fb*CLinth)/(Qh+fb*CLinth)になります。ここでEhはFh≒1から限りなく小さく、fbは0.9以上、かつ全身クリアランスの小ささからCLhやCLinthもQh(80L/hくらい)と比べてとても小さいことがわかります。よってQh≫fb*CLinthであり、QhではなくCLinthの影響を大きく受ける、が正しい記述になります。説明は長くなっちゃいましたが、ポイントはCLh=Eh*Qh=(Qh*fb*CLinth)/(Qh+fb*CLinth)の基本式をしっかり理解しておくことにあると思います。

269. バルプロ酸とラモトリギンの併用はよくあるので大切な問題。UGT代謝の競合による相互作用と回避方法は知っておきたいところだと思います。問題になるのはラモトリギンの皮疹なので、それを回避するためにラモトリギンを少なくします。

270. フェキソフェナジンとマグネシウムの相互作用は過去問でもありましたが、吸着によるものというところも押さえておきたいところです。

271. 比較する併用時のパラメータのうちAUCpoがわかっているので、通常時のAUCpoを出して比較すればOKになります。

272. 基本的に酸性飲料はコーティングをはがすので良くないです。アンサングシンデレラにもあったような…。

273. 5を選びにくく消去法になりがちな問題。1,3は切りやすいものの問題は2,4。濃度依存性はニューキノロンとアミノグリコシドのみで、あとは時間依存性。そのうちPAEがあるものは効果指標にAUC/MICを用います。マクロライドの化学構造を知っていれば4はちゃんと切れると思います。

274. ポリカルボフィルは少量で吸水、多量で便軟化作用を持ちます。またイオン状態でないとこれらの効果が起こらないことに注意したいですが、なかなかそこまで覚えている人は少なかったのでは…。この問題自体は前者の知識のみで解けます。

275. 前問の後者まで知っていないと解けない問題。

276. エタノールの有効濃度は必須問題。

277. 丸暗記ですが、雰囲気で怪しい選択肢を消していっても解ける問題だと思います。

278. 実習でキサラタン*を扱ったことがないとやや厳しい問題。後発品のなかには室温保存できるものもあるので、1が国試に出るかというと…。

279. 半分暗記半分理解の問題。水性点眼液なのを問題文から把握できればOKだと思います。

280. 地味に難しい問題なような。一時的な血糖値上昇がみられるのは血中濃度推移がより平坦になることで、ピークの時間が少なくなるためのようです。またランタスXR*の1単位あたりの注入量はランタス*の1単位あたりの注入量の1/3になるため、単位は変更しなくていいそうです。これは仮に国試に出ても捨てます…。

281. インスリンの製剤ごとの違いは把握しておきたいところ。特にグラルギンは特徴的です。

282. 2の選択肢が割と謎ですが次の問題にOROS製剤の説明があるのでなんとかなるはず。パリペリドンについて知ってたら4に迷っても他を正誤判断できると思います。

283. OROSは過去問にもあるので、解いて理解していれば問題ないと思います。逆に知らないときついかも。

284. いろいろ書いてるけど普通にCockcroft-Gault式を使えれば正解にたどり着けます。

285. リポソーム製剤をBolus投与は考えにくいので1と2は切れます。3もアムホテリシンBには5%ブドウ糖なのは結構有名なはず。ということで消去法で4,5になるんですが、4も正答として選びにくい選択肢だと思います。


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