小論文とその他の教科との違いは?Part2

かなり間があいてしまいました。すみません。
小論文とその他の教科との違いについてです。

Part1は
編入科目(例えば小論文)と大学入試の科目学習の違い|宇賀神京弥(UGAJIN Kyouya) Twitter:@ugajin_kyouya|note
↑こちらからどうぞ。

たとえば、以下のよう問題が出たときはどうでしょう。

問題:子どもの貧困について論ぜよ。

この場合、まず「貧困」とは何かについて説明した上でとりわけ「子ども」の貧困とは何かについても説明をすることになります。その次になぜ「子どもの貧困」が生じたのかについて説明する必要があります。ここまでは、暗記で対応できますし、むしろ暗記していないと答案を書くのは困難です。

しかし、ここから先の答案はどのように書くべきでしょうか。
なぜ「子どもの貧困」は問題なのか。特に、大人も含めた貧困ではなくとりわけ「子ども」の貧困が問題とされるのはなぜなのか、という切り口もあるでしょう。あるいは、「子どもの貧困」の現状について指摘することもあるかもしれません。さらに、そもそも日本に「貧困」状態の子どもはいるのか、といった議論もあるかもしれません(あくまでも可能性の話で、子どもの貧困は存在し、深刻であるというのが一般的な考えです)。

このように、あるテーマについて「論ぜよ」と言われた場合、どのように「問いを定める」のかというところから始める必要があるのです。つまり、「〇〇について論ぜよ。」とされた場合には、〇〇の何を、どこを、どのように論じるのかは受験生が定める必要があるのです。

また、別の問題もあります。それは、字数制限です。
上の問題について、800字程度で論じるならば、先ほど書いたことについて1つあるいは2つ議論することは可能でしょう(「多角的に論ぜよ。」等の指示があることが多いです)。しかし、「子どもの貧困」について200字程度で論ぜよと言われた場合には、「論ぜよ。」となってはいるものの、「子どもの貧困」という言葉の説明しかできないし、それだけが求められてい
ると考えることになります。つまり、字数制限によって書くべきことも違ってくるし、書くととしてもどの程度の深さで議論するかも違ってくるということです。

そうすると、「子どもの貧困」という問題についてあらかじめ「模範答案」を暗記して書こうにも、字数制限によって書くことやバランスも問題によって変わってくるため事実上不可能なのです。
そもそも小論文に「模範答案」などないと思っています。せいぜい、「望ましい解答」か「答案例」といったものでしょう。私が予備校等で小論文の指導をする際にも、「模範解答」という言葉は使いません。

とはいっても、試験である以上覚えていないと書けませんから、暗記が不要と言っているのではありません。暗記「だけ」で乗り切れるものではないですよという趣旨だととらえてください。

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