副業PdMの活かし方

2021年5月からカウシェで副業していて、振り返ってみると進め方など反省する点も多く、副業PdMの働き方の解像度を自分としても上げたいし、他のスタートアップでの副業PdMの活用の一助になれればと思い記事にしてみます。

副業PdMの難しさの背景

副業PdMの難しさは変数の多さがあると思います。

まずはPdMの仕事の幅が広すぎるし、特性も人それぞれです。採用する側のPdMの理解度もまちまちだと思うので双方の期待値がズレがちです。mini CEOを求めていたり、一開発ディレクターを求めていたり。

副業の時間の使い方も変数です。毎日少しずつ手伝える人、週2手伝える人、週末だけ動ける人によって持つべきタスクの性質は変わるはずです。

その会社に他のPdMがいるか、シニアPdMの下で働くことが求められているのか、シニアPdMとして動くことが求められているのかも変数です。

事業フェーズも変数です。ゼロイチで求められるものと既存で求められるものは違います。

副業PdMが十分担える仕事

一番難易度が低いのは、シニアPdMの下で緊急度の高くない開発案件の検討・仕様書などの作成タスクをアサインしてもらう仕事でしょう。

もう一つ簡単なのはシニアPdMがすでに定めた戦略・ロードマップに沿って、どういう開発案件が考えられるかなどをリサーチ・検討してバックログアイテムに追加していく仕事でしょう。

次点で副業PdMの時間の使い方がある程度フレキシブルであれば、実際にエンジニア・デザイナーとともに開発案件を進めることも可能だと思います。ある程度の同期性が求められるので週末しか動けません、というケースでは難しいですが。

その他企画や施策の分析、インタビューなど持っているスキルによっては拾いやすいタスクもあるでしょう。

要はシニアPdMがすでにいて、その下で与えられた仕事をこなす副業PdMは時間軸を考慮すれば十分ワークすると思います。

また、開発プロセスが未整備でスクラム、スプリント、ドキュメンテーションなどに課題があり、それにアドバイス・取り組むといったこともPdM経験者ならば一定できると思います。

しかし実際多くのスタートアップの課題はシニアPdMがいないことで、会社のビジョン・戦略をプロダクトに落とし込めない、経営側と現場側をうまく繋げない、コアバリューや提供したいUXの定義ができない、ロードマップが引けない、PMFできない、といった点です。

副業PdMがシニアPdMとして動けるか

まず副業PdM1人でPdMとしての働きが100%できるかでいうと無理です。複数の開発案件のディレクションだけでも副業では無理です。絶対にスピードがでません。ジュニアPdMやエンジニア・デザイナーでも誰かしらフルタイムの方のヘルプが必要です。

またシニアPdM=基本的にはプロダクトの責任者であることが多く、プロダクトに関する意思決定者だと思います。副業PdMが意思決定者になれるかはその人の能力と会社がどこまでその人を信用するかがありますが、べき論としては副業PdMは意思決定者にはならず意思決定のサポート側に周り、代表または社内のジュニアPdMの方に意思決定の訓練をしていただくのが組織の成長を考えるとベターだと思います。いずれいなくなってしまうかもしれない副業PdMが意思決定者になるのは会社としてはリスキーです。

副業PdMがサポーターとしてシニアPdMの穴埋めをできるか

自分の考えでは一定できると思いますし、そういう活用を企業側に検討してほしいなと思っています。

先程挙げたスタートアップの課題はざっくりまとめるとほぼほぼロードマップが引けない問題に集約されます。ロードマップを引くためにマーケットやユーザ、競合の理解、経営戦略の理解、提供したいコアバリューの設定とそこまでのオンボーディングやユーザ成長モデル、優先順位を考える必要があり、これらはロードマップ検討プロセスに含まれるからです。

就活中に話した50社近いスタートアップも9割がたロードマップに課題を持っているように感じました。

ロードマップを描く手前の重要プロセスとしてコアバリューの定義があり、誰にどんな体験を提供したいのかを検討します。その後、そのコアバリューの実現ステップとしてロードマップが描けます。

カウシェで副業を開始したDay1に自分はコアバリュー定義の必要性とカウシェでのコアバリュー検討の素案を持っていき、そこから経営陣・主要開発メンバーと一緒に一ヶ月ほどかけてコアバリューの設定をしました。

ロードマップやコアバリューの設定は副業でシニアPdMを採用することで解決することができるという1つの事例は作れたと思います。

またプロダクトバックログリファインメント、要はどういう優先順位で開発を進めていくかの検討会議において、社内PdMが足りない・弱い観点をサポートすることはできると思います。誰もがビジネス・エンジニアリング・UXすべてのプロではなくPdMになる前のキャリアに基づく強み・弱みがあると思います。例えばエンジニア出身PdMだとビジネスやUXの面は弱いかもしれません。そこに副業PdMが違うスキルセットを持ってアドバイスできれば価値があると思います

おわりに

最近需要が高まっているPdMに関して企業側の理解が追いついていないケースもまだ多いですし、副業でも人は欲しいけどうまくワークするかわからないと思っている企業が9割以上だと思います。

ジュニアPdMもシニアPdMも副業でどういうタスクや社内リソースとのマッチングであればワークしそうか少しでもイメージが伝われば幸いです。

一方、正直カウシェでの副業PdMでやり方失敗したなぁと思うところも多いので次回「反省編」も書きたいと思います。

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