熱い秋がやってきた

 久しぶりに母校アメフトの試合を観に行った。

 最近めっきり行かなくなった駅で降りると、再開発が進んだ駅前は学生時代とは全然違うものになっていた。駅の階段を降りるとあったパチンコ屋が無くなり、大きなロータリーが出来ていた。少し歩いて駅に向かうと、試合の後や休みの前に皆で飲んだ居酒屋がちらほらと残っていた。

 坂を上って通りに入る。僕が住んでいた大学徒歩5分のアパートはあったけど、徒歩3分のセブンは無くなっていた。

 校舎を横目に歩いて少し新しくなった大学のグランドに着いた。懐かしい横断幕、メットにショルダー。大学アメフトのシーズンは秋に始まり、冬前に終わる。入替戦までたどり着いてやっと最後の冬へのチケットを得る。一年間、本気の公式戦は3か月しかない。その為に残りの9か月を費やす。夏の暑さを乗り越えて、いよいよシーズンを迎えるんだ。

 初戦はまだ暑い。人工芝に照り付ける日差しが上からも下からも焦がしてくる。黒いスパイクで火傷したことを思い出した。あの頃はたしかDSLIGHTを履いてたっけ。軽くていいシューズだった。

 自分とは全く被っていない、顔も名前も知らない子達だけど、同じ名前を背負って戦っている彼らを見て胸が熱くなった。ワンプレーワンプレーに意味がある。一つの失敗が命取りになる。体のぶつけ合いと確かなスキルと頭の読み合い。そう、アメフトはフィジカル×スキル×タクティクスのスポーツだった。プレーヤーだけでは絶対に出来ない。選手、コーチ、スタッフがそれぞれの任務を遂行して初めて勝てる。アルティメットスポーツとはよく言ったものだ。あの中で自分がプレーしていたことが信じられない。

 無事に勝利した母校。嬉しそうな顔を見て、僕も嬉しくなった。頑張れ。すぐに寒くなるよ。

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