クリープハイプが綴る本音と建前

クリープハイプが好きです。最初は聴かず嫌いしてたんですが、なんとなく聴くようになって、離れられなくなりました。クリープの世界は日常に沿っています。恋愛とか生活とか、誰にでもあるものを綺麗に歌おうとせず、汚い部分も全部ひっくるめてぶつけてくれます。

そうなったとき、言葉がまっすぐに刺さりすぎたり、人を傷つけるものになりがちなんですが、クリープの歌詞はそれとは少し違っています。といっても、まとめる気があるわけでもなく、なんか釈然としないものが残るんです。

愛の標識「一瞬我に返る 君が居ない部屋に1人だった」「君の故郷を代表するあの銘菓は たまらなくこのうえなく甘かったな」

イノチミジカシコイセヨオトメ「明日には笑えるやろか 札束三枚数えては いつかは言えるか スキキライスキ」

バンド「だから愛しているのは自分自身だけで馬鹿だな だから愛されなくても当たり前だよ糞だな」

リバーシブル―「いつも 会いたくない会いたくない会いたくない そんな気持ちとは真逆の気持ち」

尾崎さんの歌詞で、僕たちがどこかで感じたことのある気持ちのがものすごく身近に感じられるんです。※カオナシさんの歌詞はまた別。夜の逆襲のエモさは語りつくせない

尾崎さんの世界は現実の世界。現実の世界は僕たちの世界。僕たちと言っても、理解できるのは多分若い人たちが多いのかもしれない。必死こいて生きてたり、上手くいかなかったり、付き合って振られたり。

そんな中で誰にでもあるのが本音と建前。バランスを壊すと生きにくくなるから、いつもは隠してて誰かに相談することも出来ない。でも、心の中ではもやもやしている。尾崎さんが意図しているは分かりませんが、その気持ちを代弁してくれているように感じます。

誰もがきれいに生きていたいけど、そうなれないから悩むし、自分を取り繕う。現実と理想とのギャップに悩む。誰もよりもかっこよくて(可愛くて)お金持ってて、可愛い(かっこいい)彼女(彼氏)がいて、仕事も充実してて、周りに羨ましがられるようにしたい。

でもそんなこと無理です。現実は正直汚い所があるし、その中で自分が汚くなることもある。そんな後悔をいくつも抱えて、悶々と今を生きていく。決してネガティブとかじゃなくて、それが現実。そんな現実が嫌いな人も、どうでもいいやって思ってる人も、敢えて考えないようにしている人も、クリープを聴いて気付くのは、自分自身の本音と建前。

本音だけでも建前だけでも生きられない。本音の時の建前、建前の時の本音。このアンビバレントな人間の感情を表しているのがクリープだと僕は思います。

擦れて高い高音は僕には歌えませんが、その歌で救われる時があります。


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