見出し画像

歩いて帰ろう

 散々飲んでよし今日はお開きと飲み会が終わった後、最寄り駅への終電を逃したり乗り換えがめんどくさくなったりする。そんな時は歩いて帰ろう。

 今はもう知らない人も多いかもしれないけど、ポンキッキーズのオープニングは斉藤和義さんの「歩いて帰ろう」だった。

 走る街を見下ろして のんびり雲が泳いでく

 この歌は多分に夕方から夜になる前の歌なんだと思う。仕事終わりや授業終わりに皆それぞれ家路につく街の様子と僕自身。雲が見えるうちに僕も帰ろう。だから歩いて帰ろう。の、だからが好き。数えきれないほど多くの人がそれぞれの事情を抱えて今日も生きていく。だから「僕」も歩いて帰ろう。吉野源三郎さんの「君たちはどう生きるか」で、コペル君が人々を見て考えた原子の考えに通じる、そんな歌だと思った。だから、は肯定とか強制ではなく、僕も、という承認や共感だと感じた。

 でも、終電間際の夜の街で、飲み会終わりに一人帰路につくあの時間も、「歩いて帰ろう」ってなることに最近気付いた。

 最寄りは違うけど、新宿周辺であればそこそこ近い所に住んでいる。だから酔い覚ましがてら、30分くらいなら歩いて帰れる。昼間はジョギングで通った街が全く違う姿を見せてくれるから面白いんだ。

 まだまだ飲もうとしている千鳥足のお父さん。終電が無くなってカラオケに行くか居酒屋に行くか相談している集団。多分飲み会を抜けてきて、いい感じになっている男女。タクシーを止めようと道路で手を挙げる人。客引きのお兄さんと綺麗なお姉さん。ああ、なんか皆楽しそうだな。そんなことを考えながら、僕は僕の時間を一人で家に向かって歩いていく。

 勝手に作ったプレイリストがある。

 クリープハイプ「月の逆襲」
 サカナクション「夜の東側」「アルクアラウンド」 
 go!go!vanillas「雑食」「Do You Wanna」「サウンドエスケープ」
 androp「Bright Silen」
 MONDO GRASSO「ラビリンス」
 宇多田ヒカル「虹色バス」
 東京事変「SSAW」
 yonige「センチメンタルシスター」

 夜の街を歩いて、家に着くまでの時間を彩る音楽。最後は「歩いて帰ろう」。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?