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せーの、で 飛び込め!

大学生の夏。
Tシャツと短パンの
夏らしい格好をした自分は
川の真ん中に立っていた。

暑いジリジリとした日差し。
それなのに川はとても冷たい。

周りには先輩たちが居て。
小さい子のはしゃぐ声がする。

水の中にいる時みたいな音。
暑くてぼーっとしてるのかな。

そんなことを思って、
目の前の先輩を見る。

「おーーい、いくぞー」

そう言って、先輩は途端に走り出して。
そして、一瞬で自分の視界から消えた。

ビル3階ほどもありそうな高さ。

見下ろしたら、さっきまで
目の前に居た先輩は、ずっと下の
水面にぷかぷか浮かんでいる。

(あー、ここから飛び込むのか。)

いつの間にか、列の先頭に自分は居て。
目の前には誰も居なくなって。
後ろからは、こわがる人。
楽しそうに話す人。
子供の声が聞こえて。
滝の音が耳鳴りみたいになる。

まぁ、大丈夫。
他の人が飛び込む位置なら
そこは絶対に深くて足は打たない。
体は真っ直ぐにしておけば問題ない。

そう、考えた瞬間に目の前の
何にもない空間に向かって走る。

何回も下を覗き込むから怖くなる。
大体のアタリをつけて後はいくしかない。

落ちるのはあっという間だろう。

心の中で、自分に話しかける。


せーの、で 飛び込め!



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