池のある公園
秋の午前の涼やかな公園で、
色褪せた木々と、たなびく緑の池を眺めながら、
あぁ このまま死んでいくんだな、
と、ぽつり思った。
他人の悲しみも知らず、誰も救えず、
ひとり自分だけの世界を生きて。
もし隣に君がいたとしても、
僕は頭の中でセントラルパークの風を浴びていて、
君がスワンボートの和やかな家族に二人の将来を重ねても、
僕の目にはホットドック売りのアラブ人が見えている。
きっと、スワンボートの家族も君と僕のように、
また全く別の風景の中にいて、
誰一人同じ空間にはいない。
あるいはむしろ、
屋台のアラブ人とベンチに佇む僕の方が、
より近い風景の中にいるのかもしれない。
電車に揺られる君を忘れて、
僕はホットドックを買いに腰を上げる。
秋の香りは僕らを繋いでくれているだろうか。
2019.10.09
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