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論文メモ6 三浦篤「西洋留学と明治洋画」

朝から出かけていて、アップが遅くなりました。今日の論文は、三浦篤先生の「西洋留学と明治洋画」(『國華』1467号、2018年1月)です。

目次構成:
はじめに
(1)明治期に留学した洋画家たち
  明治初期の留学生たち
  工部美術学校出身の渡航画家たち
  1880年代の留学生たち
  1900年以降に留学した画家たち
(2)留学期の西洋絵画受容
  西洋絵画の状況
  教師の選択
  絵画教育と写実技法
  歴史画との葛藤、幅広い受容
  展覧会への出品
  ジャポニスムと洋画家たち
おわりに

いろいろな人の研究成果を踏まえて、総合的に明治期に西洋留学した洋画家たちの分析をされた、総合的研究。

明治の渡欧画家が日本近代洋画にもたらした二つの流れとして、「アカデミックな写実技法から外光派、印象派の近代的な様式に近づいていく系譜」と「日本の歴史画(理想画、寓意画)を実現しようと苦闘しつつも構想画へと移行していく系譜」をあげ、両者が絡まり合う中で日本近代洋画史が展開していくと、すっきり整理されている。

当時のヨーロッパで流行していたジャポニズムのために、川村清雄が和と洋を融合したような油絵を描くようになったと考えられるとか、藤雅三や浅井忠が留学中に絵画から工芸へと関心を転じたのではという指摘が、面白いと思いました。

43分

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