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論文マラソン45 安村敏信「石崎光瑤と若冲」

お次は、安村敏信さんの「石崎光瑤と若冲」(『若冲と光瑤』展図録、石川県立美術館、2018年)です。

目次構成
はじめに
一.若冲筆《仙人掌群鶏図襖》に至る道
二.光瑤が西福寺障壁画発見に至る道
三.光瑤が若冲金碧画に見たもの

ここでの問いは、「琳派の画家で装飾的な画風を探求し続けたであろう光瑤が、琳派とは全く関係のない若冲作品の模写をなぜ行ったのか」「その結果として第七回帝展に出品されたと思われる《家鶏二図》は、光瑤の画業の中でどう位置づけられるのか」である。

若冲は《仙人掌群鶏図襖》において、「琳派の金地に対し、若冲独自の極彩色の緻密な鶏図を描くことによって、琳派の装飾性とは次元の異なる金碧画の世界を提示してみせた」。「光瑤は、その本質に触れ、若冲が琳派の装飾的・抽象的な金碧画を乗り越えた要因として緻密な描写と独特にデフォルメされた鶏の描写をみい出した」。

「光瑤が若冲画の中に見い出したものは、抽象化に偏することなく、そこに独自の写生的な細密描写を含ませる、ということではなかっただろうか。」とのこと。

15分

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