決算ウォッチ アサックス、JMDC、ツカダ・グローバル、シュッピン、GMO TECH

アサックス


[企業概要]

首都圏を中心に一般事業者・個人向けに資金使途自由な不動産担保ローン融資。
貸倒少なく、安定経営。自己資本比率43.1%と高い。
[決算概要]
売上9.3%増、営利10.3%増、経常17.8%増で着地。
営業キャッシュフローは36億円のマイナス。営業貸付金が増加したことによる。
今期好調の理由は23年3月期に購入した賃貸不動産の賃料収入も一つの要因。
不動産販売と同じで、売上成長するときは営業CFがマイナスになるビジネスモデル。
次期は営業収益7.2%増、営利5.4%増、経常1.1%減の予想。
決算と同時に18円から20円に増配。

JMDC

決算日 コード 銘柄名 株価 5/7 4483 JMDC 3272円

PER PBR 配当 Q 進捗率 評価 時価総額 34.5倍 3.03倍 4 78.9% △ 2138億


[企業概要]

医療データサービス会社。医療ビッグデータの解析情報などを製薬会社、大学、官公庁などに提供。
遠隔医療サービス、調剤薬局支援も。オムロンの子会社。


[決算概要]
今期は売上16.4%増、営利18.2%増で着地。
次期は売上32.8%増、営利32.7%増の予想。
今期の成長は物足りなく見えるが、Q1に子会社譲渡した影響もある。
主要セグメントのヘルスビッグデータでは売上+30%、EBITDA+29%。
次期はヘルスビッグデータが売上+44%、EBITDA+33%と業績を牽引する見込み。
これは今期に子会社化したキャンサースキャン社の貢献も含む。
キャンサースキャン社は官公庁向けのため、2Q,3Qが黒字、1Q,4Qは赤字とのこと。
業績予想にはM&Aなどは含まず、オーガニックグロースのみ。


[株価バリュエーション]
超優良グロースとみなされていたので、ヒストリカルPERは極めて高い。
29倍~168倍で推移。
それから比べると現在のPER35倍は安く見えるが、利益成長が32%見込みなのだからPEGで1倍程度。
フェアバリューぐらいのところに見える。
今後、何かの上振れ要素があるのを確信できるか、それとも株価が下がってPER25倍程度になるか、
そうしたなにか、明らかに安いと思えるものがあれば買えるのだが。

ツカダ・グローバル

決算日 コード 銘柄名 株価 5/10 2418 ツカダ・グローバル 488円

PER PBR 配当 Q 進捗率 評価 時価総額 5.4倍 0.86倍 2.05% 1 21.6% ◎ 218億


[企業概要]
ウェディング企業。ゲストハウスウェディング施設を全国で運営。
他にホテル運営、温泉施設も。


[5/8に上方修正の発表]
中間決算を従来予想から売上1.1%+営利21.9%+経常67%+純利57.2%+に上方修正。
通期決算を従来予想から売上4%+営利7%+純利5.75%+に上方修正。
修正理由は宿泊稼働数、
宿泊単価が予想よりも微増になっていて、今後もその傾向が続くと予想されるため。
また営業利益については変動費割合の低い宿泊売上高が増加する見込み、
婚礼の内製化も利益率上昇に寄与したとのこと。
営利に比べて経常が大幅上昇しているのは為替差益の分。

[5/10に1Q決算発表]
1Q決算前に上方修正が出ていたので、例年赤字の1Qが黒字化しているのだろうとは予想していた。
が、7.4億も営業利益が出ているのは想定外。
前受金が前期比で13.8%増えている。
おそらく婚礼の前払金だろうが、受注残高に関しては、ほぼ横ばい(微減)。
ということは1件あたりの単価があがっているのだろう。
実際、今期の1Qの婚礼1件あたりの単価は388万円で、前期の332万円から16.9%上昇している。

次に所有ホテルの料金の相場を調べてみる(一人一部屋の場合)。
名古屋ストリングスホテルの宿泊費は1.3万円~1.7万円。
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ 4万円~9万円。
ストリングスホテル東京インターコンチネンタル 6万~10万円。
キンプトン 新宿東京 6万円~13万円。
以前の価格を調べていないので、正確なことは言えないが、東京の3ホテルは高価格帯のため、
インバウンド需要、最近の円安傾向に対応して、外国人向け料金で単価を上げているのかも?
ホテルの利益率は前期の4.9%に対して、10.2%に向上している。

東京のホテル価格推移を調べてみると、2024年3月までのデータしかなかったが、この記事を見つけた。

2024年は2023年に比較して25%~30%ほど上がっている。
ホテル料金が上がっているのは、物価高により各種経費が上がっていること、インバウンド需要、
また、部屋の稼働率よりも収益性を重視した経営をとるホテルが増えていることが、原因らしい。
最近の円安傾向などもあり、当分はホテル料金が高止まりする可能性。
ホテル料金が20%上がって、その他条件が同一の場合、売上原価、販管費は変わらないのだから、
売上が20%上がったのに対し、利益は2倍になったりする。
実際、今期1Qのホテル売上は前期比で19.8%増、利益は2.4倍になっている。
[今後の業績推移]
季節性として4Q>2Q>3Q>1Qの傾向。
毎期、赤字の1Qで7.4億の営利出ている。上方修正後の中間決算は営利で18.1億の見込み。
前期の2Q単体の営利は14.3億。今期2Qは上振れるだろうから、2Qでまた上方修正出るという想定で間違いないか?

[株価バリュエーション]
今後、上方修正が出ることを前提にすればPERは4倍前半か。3倍台かも。
PBRでは0.86倍と特に割安感はなし。
PER4倍は1Qで上方修正が出ている業績好調な会社のバリュエーションとしては安すぎと思う。
ただ、ウェディング業界は軒並みPER10倍以下で評価されている点は留意する必要。
コロナで悪影響受けた業界は多々あるが、ウェディング業界は需要が戻っていない印象。
「そもそも結婚式なんて必要ないよね」という認識をコロナが後押ししたという感すらある。
コロナ前よりも売上を増やしているのはアイケイケイとツカダグローバルしかないのでは?_
ウェディング業界が衰退産業であるのは間違いなく、バリュエーションは割り引かれて評価されて仕方ない。
とはいうものの、業界リーダーのT&GニーズがPER8倍、直近業績の悪いブラスがPER7倍。
その比較では、さすがに割安感あるし、またツカダはウェディングとホテルの売上比率が3:2ぐらい。
半分ぐらいはホテル銘柄として見れば、バリュエーションの是正はあっておかしくない。

[リスク]
この会社は同族経営。大株主にして社長の塚田正之氏はかなりの高齢。
相続のために、株価は低いほうがいいと思っている節が見受けられる。
今後、好業績になったとしても、過去の配当推移を見れば増配は期待できない。

いくら業績がよくても株主還元されないのなら意味ないのでは?という視点は当然必要。


シュッピン

決算日 コード 銘柄名 株価 5/9 3179 シュッピン 1390円

PER PBR 配当 Q 進捗率 評価 時価総額 11.1倍 3.56倍 2.88% 4 108.2% 〇 323億


[企業概要]
カメラ・時計・筆記具・自転車の4分野製品をECサイトを主軸に、併せ実店舗を運営。

[決算概要]
今期は売上が前期比7.1%+で着地。
次期は売上15.9%+営利15.3%+経常14.4%+純利13.6%+の予想。
ロレックス価格の暴落が2022年半ばからあり、シュッピンの株価もそれに連れて暴落したが、
現状は、だいぶ価格も持ち直した模様。
シュッピンの業績も底打ちし、再び上昇路線に復帰しているように見える。
AI・LINE配信数、YouTubeからの流入がうまくいって、EC売上高は過去最高を更新。
次期にあたる4月の月次売上は127.3%。ガイダンスが売上115.9%なので、かなり好調な滑り出し。
決算と同時に2027年3月期までの中期経営計画を発表。
27年まで年あたり14%売上成長、20%利益成長の見込み。


[株価バリュエーション]
2021年ぐらいはPER20倍ぐらいで評価されていた。
ロレックスの暴落もあり、売上成長率も一桁台に悪化したことで、PERは10倍まで落下。
それが今回、売上成長14%強で示されたことにより、
株価のバリュエーションも再評価されるんじゃないかという予感はする。
現状、4月の月次がガイダンスより上振れているので、今後の月次次第か。

GMO TECH

決算日 コード 銘柄名 株価 5/8 6026 GMO TECH 7680円

PER PBR 配当 Q 進捗率 評価 時価総額 12.8倍 10.3倍 3.82% 1 26.5% 〇 85億

[企業概要]
SEO、MEOコンサルティング、アフィリエイト運用支援。
不動産テック事業(電子契約サービス)をSaaSで提供。


[決算概要]
SEO、MEO(googleマップで上位に表示させる)等の集客支援事業が売上39.3%+、利益73.4%+。
集客支援事業は好調なものの、SEO、MEO、アフィリエイトといった事業内容だから、
あまりビジネスモデルを高評価されることはなさそう。
不動産テック事業は赤字継続なものの、ストック売上が伸びる。
6四半期ぐらいたてば、黒字化できそうなペース。
不動産テック事業はSaaSなので、高評価されてもいいのだが、
少し見たところ、そんなに大したサービスのようにも見えない。
もろもろ見てみるとPER高めに評価されることはなさそうだが、配当性向50%を謳っているので、
業績好調が続けば、それに応じて株価上昇は見込めるか。
当分の間、業績拡大は続きそうではあるし。

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