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日本人とお酒

日本人は遺伝的にアルコールに弱い「下戸遺伝子」

日本人はお酒に弱い体質の人が増えるように数千年かけて進化してきた。なぜ選択的にお酒に弱い方が有利に生き残ったのか詳しくはわからないが、一説にはお酒に弱いことで防げる感染症が蔓延していたからではと言われている。

江戸時代は主に日本酒の水割りだった

「江戸っ子は酒飲み」と思われているが、江戸っ子は日本酒を水で割って飲んでいたと思われ、アルコール濃度としては5%ぐらいだった。

戦国時代は一年中熱燗でアルコール度数を飛ばしていた

また、水で薄めない原酒も、冷では飲まずに冬だけでなく夏も熱燗で飲んでいた。アルコールを蒸発させて飛ばし、度数を薄めていたと思われる。戦国時代に来日した宣教師ルイス・フロイスが記した「日欧文化比較」には、日本人は一年中酒を温めて飲んでいるという記述がある。

鎌倉時代に発令された「禁酒法」

元来特別な神事のお供えや、一部の貴族階級だけの嗜みだった日本酒が、一般的にも広まりはじめたのは鎌倉時代。これにより、二日酔いで体調を崩したり酔っ払って殺し合いをはじめたりする武士が後をたたなかったため、鎌倉幕府は1252年に「沽酒禁令」を制定。酒蔵を規制し、酒甕は一家に一壺までと定めた。しかし、のちに朝廷による徴税のために禁令が蔑ろになり、室町時代に廃止される。

まとめ:日本人はもともと酒を飲まない人種

縄文遺跡から「果実酒の痕跡」が一部出土しているものの、農業を行っていない縄文時代にはお酒は常飲されていなかったと思われる。加えて、お酒に弱い方が生存確率が高かったため、日本人はアルコールを好んで飲む人種ではなかった。その後弥生人が米と一緒に日本酒の醸造技術を持ち込んだが、鎌倉時代に一般的に広まるまでは庶民が日々飲むものではなかった。

庶民も手軽にお酒が飲めるようになった江戸時代においても、熱燗にしてアルコールを飛ばしたり、水で薄めたりして大量にアルコールを摂取しないように気をつけていた。

ここまで一般的に庶民も毎日お酒を飲み、しかもストロング系などアルコール度数の高いものを摂取する生活は建国以来日本史上初の習慣であり、本来日本人に合わない。しかも、バブル崩壊とともに日本人のアルコール消費量は年々減少している。

平成4年度の101.8ℓをピークとして平成28年度には80.9ℓとおよそピーク時の8割程度に減少しており、全体的にはアルコールの消費量は減少傾向

お酒に対する規制も厳しくなるし、若者もお酒を飲まなくなってきているので、このままお酒はどんどんニッチな趣味になっていき、2030年までにはついに公の場で飲むことも憚られるようになり(打ち上げや納会でビールで乾杯することはハラスメントになる)、一部の人がひっそりと楽しむようになっていくだろう。

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