「新訂版 教育相談基礎の基礎」を読んで

読書日記第7弾。
今回読んだのはこちら。

学校教育相談の基本的な知識や組織的展開、さまざまな心理学的技法まで、実践例を交えて網羅しており、学校教育相談に関わる先生だけでなくすべての先生に非常に役に立つ本です。

まず第1章で学校教育相談の定義や歴史から入っていますが、「教育相談」と「生徒指導」の対立構造が教育相談の広がりを阻んでいると指摘しています。
生徒指導は言って聞かせる訓育的・管理的側面、教育相談は生徒の話を聴く受容的・援助的側面のイメージが強いと思います。
このことがお互いを悪者扱いして両立を難しくしているのではないか、と指摘しています。
生徒指導も教育相談も「目の前にいる子供の幸せを最優先する」という姿勢は共通していて、そのアプローチの仕方が違う、ということです。
だから、どちらか片方だけではダメで、状況に応じて使い分ける必要があるのだと思います。

またこの本では「教員採用試験で勉強したな~懐かしい~」となるような心理学的手法がたくさん紹介されています。
短期療法とか、ライティング・メソッドとか、ピア・サポートとか、ソシオメトリック・テストとか。
まあ正直あんまり覚えてなかったので復習の良い機会になりました。
でも「心」と「技」のバランスが大事で、覚えて技に走るのが良い訳ではないと思います。

「この部分は使えそうだ」。そう思ったことを「つまみ食い」すればよいのです。教員の多忙化が社会問題化する中、分厚い専門書と向き合うより、目の前の子どもに一声かける方がより現実的です。

嶋﨑政男著「新訂版 教育相談基礎の基礎」(学事出版)p.173

この記事を書いている今日も目の前の生徒に一声かけて本当に良かったなあと思います。
先生と生徒、大人と子供、そういうの関係なく、人間同士の関係って、支え支えられ、励まし励まされ、って感じなんだなあと思いました。

また、カウンセラーなどの専門職との連携については、専門職が縦横無尽に活躍している学校では、教員のコーディネーターとの見事な二人三脚ぶりが目立つ、とありました。
会議の日程・時間調整や研修会の企画などはもちろんですが、不在日が多い専門職なので、不在日の学校状況や関わりのある生徒の様子の報告などが非常に重要になってくると思いました。

あとひとつ、参考になるのがライティング・メソッドの運用について。
書くことを通して表現力や自己洞察力等の向上を図る取り組みです。
この取り組みは教師のコメントが成否を分けると書いてあり、改めて身の引き締まる思いです。
受容・繰り返し・要約・明確化といった教育相談の技法は「書くこと」になっても同じ。
対面で教育相談するときは意識していても、書くことになると忘れてしまいがちだなと思いました。
幸い自分はこういうのは好きで得意分野だと思います。
学級日誌や手帳、授業の振り返りシートなどにつけるコメント1つ1つを、もっと考えて書きたいなと思いました。

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