見出し画像

『ハリエット』シンシア・エリヴォ、モーゼと呼ばれた奴隷解放者へのハマりっぷり 6/5(金)〜公開

画像1

原題:HARRIET  ★★★★☆4.5

皆さんはジョン・ボイエガくんのエモーショナルで、力強い抗議のメッセージご覧になりましたか? 心揺さぶられましたよね。ぜひジョーダン・ピール監督らといい仕事してほしいです。

そして、彼女です。彼女もまた、エモーショナルで力強いのです。生き抜く厳しさを誰よりも知る、カリスマ性と勇気を持つハリエット・タブマン。新20ドル札の顔となるはずだった実在の女性奴隷活動運動家を、トニー賞受賞のディーバ、シンシア・エリヴォが演じます。

彼女が手がけ、歌い上げる主題歌「スタンド・アップ」は、コロナ禍にいろいろ重なった私自身のテーマソングにもなっております。

幸運にも日本での公演、「glee/グリー」マシュー・モリソンと三浦春馬と共演したミュージカルコンサートに行くことができまして、直に彼女の歌声を聴いたわけですが、もうそれ以来、ひれ伏しています。

体格こそ小柄ではありますが、どこからそんなパワーがみなぎるのか? そう思わせる信念がシンシア自身にも覗きます。

(それでいて、歌い終わったら恥ずかしそうにニコニコッて、するんですよ〜)

シンシアは名門・王立演劇学校(RADA)の卒業生! 「シェルプールの雨傘」や「天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜」などを経て、ミュージカル「カラー・パープル」の主演でブロードウェイ・デビューを果たし、2016年のトニー賞主演女優賞、グラミー賞、エミー賞ほか数々の賞を総なめに。

映画は『ホテル・エルロワイヤル』『ロスト・マネー 偽りの報酬』(WIDOWS)に続き、3作目となります。スティーヴン・キング原作の「アウトサイダー」という海外ドラマにもキーパーソンで出演しています。

彼女が演じたのは、日本ではほとんど知られていないハリエット・タブマンではありますが、映画は、ある意味教科書のようにとてもかみ砕いてあり、本作で彼女についても、奴隷制度についても、その解放についても知るきっかけとなるでしょう。

また、ハリエットが特異な存在なのは、13歳の時に奴隷主から頭がい骨陥没の重症を負わされ、突然強い眠気に襲われる睡眠障がい、ナルコレプシーの持病があったことも大きいかと思います。

夢うつつの中で、神というべきか、“何か”に導かれるのです。

「あなたがそう言うのなら…」と、どんなに困難に見えてもついて行きたくなる何かが、確かにハリエットにはあったのです。

いつしか「モーゼ」と呼ばれるようになったハリエット。ハマり役となったシンシアをぜひ。

そして、ハリエットを手助けするフィラデルフィアの自由黒人の女性を演じた、ジャネール・モネイも相変わらず素晴らしいのです。

加えて言うなら、奴隷主の息子役を演じたジョー・アルウィンにも注目。Netflixドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』で大きな変化を見せたティラー・スウィフトを支えている恋人として知られていますが、こういう役や『ある少年の告白』などの役を臆せずに引き受ける彼にも感服します。だから、“今の”テイラーともお似合いなんだと思いますね。


シンシアについてはこの記事でも紹介しています

「フローレンス・ピュー&ジェシー・バックレイら2020年絶対に覚えておきたい注目女優たち」
https://www.cinemacafe.net/article/2020/04/01/66534.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?