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『クワイエット・プレイス』劇場も音を立ててはならない…!? 9/28(金)~公開中

原題:A QUIET PLACE  ★★★★★

ジョン・クラシンスキー&エミリー・ブラントのリアル夫婦

『ワンダーストラック』のミリセント・シモンズ、『ワンダー 君は太陽』のノア・ジュプという卓越した演技力を持つ子役が、

“音を立ててはいけない”という極限的世界で、ジャンルレスホラーをさらに押し上げた傑作。続編も決定しています。


ヒットを連発するジャンルレスホラー

『ゲット・アウト』や『ドント・ブリーズ』などとよく比較される本作。

『ドント・ブリーズ』は、盲目の老人が一人暮らしをする家に若者3人が強盗に入るも、その老人がめちゃくちゃ強い上に鋭敏な聴覚で居場所をことごとく突き止めるため、“息もできない”というワンシチュエーションホラー。

『ゲット・アウト』は、アフリカ系アメリカ人の主人公が彼女の実家に招待されるも、“何かがおかしい”と違和感を持ちはじめ、やがて意表つく非人道的行為に巻き込まれていく、人種差別問題を逆手にとった異色ホラー。

双方とも口コミで広まり、全米で大ヒットに。『ゲット・アウト』は映画賞レースにも絡み、アカデミー賞脚本賞を獲得しました。

この『クワイエット・プレイス』もまた歴代のホラー映画の記録を打ち破り、全米で社会現象とも呼べる盛り上がりに。「Rotten Tomatoes」で、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の評価(フレッシュ85%)を抜いたこと(95%)を売りにしています。

そして、この映画はといえば、音を立てたら何物かに襲われる、過酷な世界を息抜く家族のサバイバルホラー。冒頭では何物かが地球にやってきてから数か月後が描かれますが、この家族はそれぞれに大きな悲嘆と自責の念を抱えながら、それからさらに1年あまりを生き抜きます。

予告編にもあるように、エミリー・ブラント演じる一家の母のお腹には、新しい命も。

赤ちゃんの産声は生の象徴です。希望です。しかし、そこに産声を聞きつけた何物かがやってきてしまったら……。

その相反する究極の生と死、希望と絶望が、最後まで観る者をドキドキとさせます。


“音を立ててはいけない”一体感を劇場で味わう

とはいえ、何物かは川のせせらぎや木々のざわめき、滝が落ちる音など、自然が発する音には見向きもしないのです。

もしかしたら現れたばかりのころは、滝に向かってエイヤッとしていたのかもしれませんけども。

ヤツらに聞かれないよう、この家族は生活音を極限まで抑えて生活しています。

コミュニケーションは、長女に聴覚障がいがあるため、手話をはじめ身ぶり手ぶり、ようやく聞こえる程度のささやき声での会話で、危険を感じた際の合図なども決めております。ここは家族だからこそ、なせるワザですね。「ウォーキング・デッド」のように、見知らぬ他人ばかりの集団ではなかなかこうはいかないであろうと思います。

実生活でも夫婦であり、今回は監督と主演女優でもあったジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラントの息の合った“無音演技”および“無音演出”も、その関係性の親密さがあってこそ(この夫婦、現在続いているセレブカップルの中で一番好きです)。

そんな物語・設定だからこそ、音響効果や音楽がモノを言います。音響で物語を進める手法は『ダンケルク』を凌ぐと言ってもいいかもしれません。
特に、ミリセント・シモンズとノア・ジュプの聞こえ方の違いの描写は、耳を澄ませてほしいポイントです。

何より、見ているこちらも緊迫の中で聴覚に全神経を集中しているので、

ポップコーンを買った方の、ちょっと遠慮がちなモグモグも、ドリンクの中で氷が動く音までも、気になってしまいます。

劇場で販売しているので買うなとは言いませんが、この映画は、“音を立ててはいけない”一体感を劇場内で味わうことも、醍醐味の1つではないかと思うのです。

応援上映とは正反対の楽しみ方ですね。


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