ハスラーズ_

『ハスラーズ』華々しさの裏側にある、女性たちのサバイバルの必死さから逃げてない 2/7(金)~公開

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原題:Hustlers  ★★★★☆4.8

ニューヨーク・マガジンに掲載されたジェシカ・プレスラーの記事を、ローリーン・スカファリア監督が映画化。キーラ・ナイトレイ&スティーヴ・カレルの『エンド・オブ・ザ・ワールド』やメリル・ストリープ母娘共演の『幸せをつかむ歌』(製作総指揮)などを手がけています。

個人的には、ジェニファー・ロペスの助演女優賞ノミネートがなかったことが残念。脚色賞、監督賞もノミネートされて然るべき。


本作で描かれるのは、弱者を食い物にするウォール街の輩を逆に食い物にしていた女性たち。

そのマネーで手に入れたペントハンスという名の宮殿に君臨する女王
ジェニファー・ロペス

もう登場した瞬間から、すでに女王。エロすぎます、確かに。猛特訓したというポールダンスがすばらしい。新人ダンサー役のコンスタンス・ウーが「うわぁ…」と心奪われるのと同様、私たちも圧倒されてしまうのです。このパワフルな画面支配力はきっと、彼女にしか出せないものでしょう。

そんな彼女が、ウーやリリ・ラインハートら今旬女優が演じる女性たちのトップに君臨し、さながらストリッパーギャングと化していきます。

女王は彼女たちの“業務”だけでなく、その生い立ちを知った上でプライベートまでコントロールします。

その関係性は姉妹であり、友であり、家族でもあったのですが…。


確かに彼女たちは犯罪者ではありますが、その事実を認める以前に、彼女たちに親しみを抱いてしまっている自分がおります。

みな、子どもや大切な人と生きていくために必死だっただけ。目の前にあるアンフェアに、何かしらの行動を起こしたかっただけ、なのではないかと。


その必死さはどこか物悲しくもあるのに、ジェイローとウーが男性客に“仕込む”ドラッグの調合シーンなど、思わず吹き出してしまうシーンも。

しかし、やがて聡明なはずの女帝は自身の野心と復讐心のあまり、その目が曇っていったのかもしれません。


一方では、ウォール街の男性たちが「自分があんな女たちに騙されるはずない」というプライドゆえに彼女たちの所業すべてを告発できなかった、という側面があります。昨今話題の有害な男らしさ(toxic masculinity)への目配せですね。


キャストでは、女性ラッパーのカーディ・Bやボディ・ポジティビストでもあるリゾが映画初出演ながら存在感を発揮。

リリ・ラインハートも、世間知らずという点では「リバーデイル」のキャラクターとそう変わらないかもしれませんが、新境地に臨んでいます。


そして、「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のジャニーン「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のトリシアことマデリーン・ブルーワーは、想像していた以上の出落ちキャラ。ドラマを観ていた方ならすぐにピンと来るはずです。いいぞ! たまには幸せな役をやってほしいけど。

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