『財務会計は公益のためにある』~学生からの質問に答える~

『財務会計のどこがポイント、大事なところなんですか?』

学生にこう聞かれました。

いい質問だな・・・と思いました。

そういえば、こちらにもまとめてました。

読み返してみると自分が当時考えていることがわかりますね。

ですが、今、はっきりとわかってきたのは、

『財務会計は公益のためにある』

ということです。

公益(パブリックインタレスト)は、「社会一般の利益。公共の利益」、ですね。

public interestといった方がいいかもしれません。

もしくはfinancial accounting is a discipline for the public interest.

でしょうか。

画像1

https://cdn.ifrs.org/-/media/feature/about-us/who-we-are/working-in-the-public-interest.pdf

いわゆるIFRS財団、IASBにおいてもそのことが明確に書かれています。

We will argue that the standard‑setting of the IASB is motivated by a strong sense of public interest as embodied in our Constitution and, more recently, our Mission Statement.
IASBの基準設定は、その基本原則、ごく最近では、行動宣言に体現された、公益(パブリックインタレスト)の強い意味付けによって動機づけられている、ことをお伝えしたい。

こうした時に思い出すのは公認会計士に求められる「クライアント・ファースト」(Client First)です。

このクライアント・ファーストは、一見、「え、依頼者を優先するの?」と思われそうですが、そうではありません。

たとえば、こうしたケースを考えてみましょう。

「ある企業は経理をごまかさない限り倒産することは確実です。そんなか、社長は売り上げをかさましし、借金をより小さくみせるように、帳簿を偽装しました。」

あなたが会計士でしたら、「この企業の誤魔化し(粉飾決算)を見逃すべきでしょうか?」

社長はいいます、「会社が潰れたら、家族みんなが路頭に迷います!」「どうか見逃してください」

と。

ここで「イエス」と言ってはならないのが会計士です。

というのも仮に不正を認める、ことになれば、今年度はいいですが、来年度はどうなるのでしょうか?いったん、不正に手を染めたことでエスカレートする可能性はないのでしょうか?またこの会社にお金を貸している銀行担当者は、不良債権を抱える恐れがあります。銀行側に損失を押し付ける形になり、結果的に、不正を看過することで大きな社会に不利益をもたらすことになります。

だから、クライアントにとって本当によいことを考えて動く。

この場合は、不正を見逃さない、正すというのが、求められます。

まぁこれは極端な例ですが、もともと、会計のシステムは帳簿をきちんとつける、というところから出発しています。

適正に記録しましょう。

ですね。

凄い方がいます笑

私のバイブルの1つはこちらですね。

会計発達史を見てもらったもわかるように、『会計は、正確に記録し、それを伝える、そして利益を適正に計算し、公正に分配する』という形で発達してきました。

確かにいま、「意思決定有用性」が重視される傾向にありますが、元来の目的は、『正確に記録する』『利益を適正に分配する』という点にあることを忘れてはならない気がします。

おっと、最後はちょっと話が脱線しました。

財務会計の公益性が少しでもわかってもらえたら嬉しいです。

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