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会計を学ぶ意義

*今、オンデマンド対応の会計学の講義準備をしています。そこで書いたことをこちらに公開しています!

会計を今、学ぶ意義をどこにあると考えたらよいでしょうか?日本の企業は3月期、つまり3月末で決算としてる場合が多く、決算を締められない、財務諸表が作成できないという状況に陥っています(正確に言えばそうした企業も出てきている、ということです)。こうした状況に対応すべく、有価証券報告書の提出も柔軟に対応することになりました。一方で、会計のルールについても新型コロナウィルス(COVID-19)に対応すべく、柔軟ともいえる適用を認める動きも出ています。


 
 こうした現在の動きをみてみると、会計というのは、経済の実態を捉えるツールである一方で、危機時におけるシステムとしての脆弱性も浮き彫りになっています。つまり、一定のプロセスを経ない限り情報が開示できないため、速報的な情報が必要な事態においてはほとんど機能しない訳です
 では会計にどういった強みがあるのでしょうか?スピードが重視されている現代社会においては、むしろ確実に信頼できる情報を提供することに意義があるかもしれません。例えば、株主と債権者との利害調整です。

株主と債権者の利害調整については、民法、会社法上において、取締役に対する規律付けが行われています。

「取締役は会社に対して、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負っている」(民法644条)、さらに「取締役は、法令および定款ならびに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職苦を行わなければならない」(355条、忠実義務)。取締役が任務を行ったときは、取締役が会社に対して責任を負う(423条)とされています。

しかしながら、よく考えてみると、外からこうした状況は見えにくいものです。会計による情報開示を通じて経営者の活動が可視化されているということは、こうした利害調整にも役立つことに繋がります。

財務会計論の古い教科書(といっても私にとってはバイブル的本!である新井清光先生の財務会計論では、会計の基本的な役割として、

1 経済活動の合理手段としての役割
2 受託責任の解明手段としての役割
3 経済財の分配手段としての役割

が示されています。

時間がかかっても、適正に計算するということが会計の原点であると考えれば、それを整えるために概念フレームワーク・企業会計原則・会計基準(ルール)があり、それを監査(チェック)する公認会計士がいるということが何となく分かってきませんか?
 会計(企業会計)のメインテーマは、上場企業もしくは大企業が適用しなければならない会計基準およびその周辺に関する話(監査など)です。昨今では中小企業向けの会計基準もあり、そちらも面白いです。基本は「大企業向け」に定められた会計になるでしょう。
 大企業になればなるほど、多くの利害関係者が存在します。そう考えるとその分だけ、「公平」に情報を伝達するための仕組みが必要である、といえば分かりやすいでしょうか?
 中小企業における会計は、利害関係者の範囲が大企業と比べて狭い、ため管理会計(内部管理のための会計)と一体的に考えられ設計されています。また税務会計(法人税申告を行うための会計)との関係も忘れてはなりません。中小企業会計は、最近では、学問として急速に発展しており、面白い分野となっています。


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