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東芝 V.S. アクティビスト

さて、今日はかなり興味深い出来事があったので、こちらについて触れていこうと思います。


東芝が18日開いた臨時株主総会で、昨年の定時総会での取締役選任を巡る再調査などを求めるエフィッシモ・キャピタル・マネジメントの提案が可決された。会社側の対応に疑念を持つ物言う株主(アクティビスト)の主張が支持されたことで、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が退任を余儀なくされるとの声も上がっている。

3月18日に開催された臨時株主総会で、株主側の主張が指示されたという件です。

この臨時株主総会も、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントの要求で開催されたものです。

東芝の車谷暢昭社長CEOに対し、アクティビストファンド(物言う株主)や外資系ファンドが不信感を強め、相次いで臨時株主総会の開催を求めている。求めているのは、シンガポールに本拠地を置くエフィッシモ・キャピタル・マネジメントと、アメリカのファラロン・キャピタルだ。エフィッシモは12月17日、ファラロン・キャピタルは12月24日にそれぞれ臨時株主総会の招集を請求。1週間に2社から臨時総会の開催を求められるという異常事態だ。

アクティブファンドとはいえ、ここまで相次いで臨時株主総会の招集を請求される背景には何があるのでしょうか?

論点を整理しておく前に、再調査を求めたエフィッシモ・キャピタル・マネジメントとはどんな団体でしょうか


エフィッシモ・キャピタル・マネジメントは、旧村上ファンドの元社員3人が設立したアクティビストファンドで、シンガポールに本拠を置きます。運用資産額(日本株)はおよそ1兆400億円と言われています。エフィッシモのパートナー兼ファンドマネージャーの高坂卓志氏は、かつて村上ファンドの管理・運営会社であるMACアセットマネジメントでファンドマネージャーを務めていました。エフィッシモは、欧米の機関投資家が主な顧客で、企業の合併・買収、資産売却、自社株買い、非公開化などのイベントドリブン型の戦略で、企業価値の創造を目指しています。過度な敵対的行為は避けるとしていますが、その可能性を否定していません。

あの村上ファンドの出身者により構成されたアクティビティストファンドですね。

さて、この件については、

昨年の総会を巡っては、一部の議決権が適切に結果に反映されなかったほか、経済産業省の当時の参与が米ハーバード大学の基金運用ファンドに対し、会社側の意にそぐわない形で議決権を行使した場合、改正外為法に基づく調査の対象になる可能性があると干渉していたことがロイターの取材などで明らかになっていた。

とあります。

東芝自体は、

社外取締役のみで構成する監査委員会が外部弁護士事務所を交えて内部調査を実施し、「(東芝が)不当な干渉に関与したとする資料や情報は認められなかった」とし株主提案に反対する姿勢を示していました。

会社側が反対する姿勢を示したにも関わらず、株主提案が通った、という点に今回の決議の意味はあると言えましょう。

さらに、期限内に到着した議決権が適切に集計されなかった問題もあります。この点については、集計を代行した三井住友信託銀行の報告書を監査委員会が検証し、集計には東芝が関与していないほか、適切に集計されなかった問題は東芝に限らないとして「さらなる調査をすべき事実は認められなかった」としてます。

この東芝の件について一番取り上げているのはロイターですね。日本の新聞社ではなく海外のニュースソースによって取り上げられ、話題として取り上げられたことにも特徴があると思います。

さて、本件の結果について適時開示されています。

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こちらをみると、

ファラロン・キャピタルが問題視した中期経営計画「東芝Nextプラン」を突如、大きく変更したことを問題視した件については否決されたようです。

さて、今後はどうなるでしょうか?調査結果待ちではありますが、場合によっては確かに社長の責任問題に発展する可能性はあります。調査結果によっては追加的な要求をする可能性もあります。

いずれにしても、今回の結果は、日本のガバナンスについて考えさせられる件であるとともに、物言う株主のパワーを実感した件でもあります。

日本の企業経営者に与えた影響(衝撃)も大きいでしょう。

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