ゴーンさんで有名になった有価証券報告書を読もう。


ある朝のこと・・・・(プロローグ)

ある朝、何気なくサイトをチェックしてみると、証券会社のお兄さんから薦められるままに買っていた株が大暴落していることに気が付いた・・・。理由はなぜ?米中貿易摩擦が影響したのか?それとも会社の不祥事か?慌てて証券会社の担当者に電話をかけるも、繋がらない。「もうかりますよ!」「今がねらい目ですよ」と言われて、買ったのに。私のボーナスを全部つぎ込んだのに・・。どうして?目の前が真っ暗になった。

上場企業のことを知る

プロローグの話は、あくまでも仮想の話ですが、結構よく聞く話です。これが現実にならないためには上場企業のことを知る必要があります。上場企業とは、株式が売り出され、自由に株式市場で売買できる企業のことです。つまり、私たちが自分のお金で投資できる企業です。上場企業の情報を読み取るポイントが分かれば、自分が投資したい企業か、そうでないかを見極めることができます。


(1)有価証券報告書を読もう

「上場企業を知る」ためには、有価証券報告書の読み方を学ぶことが近道です。「カルロス・ゴーンさんが虚偽記載をしていた!」という事で話題になった「あの」有価証券報告書です。
有価証券報告書を読むことがなぜ近道なんでしょうか?この資料は法定開示とされています。つまり、法律(金融商品取引法)に従い提出が義務付けられている資料です。そして、法律で定められているだけでなく、公認会計士による監査も受けています。ですから、信頼性(情報に誤りがない、適正な手続きに従い作成されている)が保証されています。
都合の悪い情報だからと言って、シュレッダーにかけたり、記録を残さなかったり・・・某政治問題で取り上げられた、そんな行動は有価証券報告書では認められていません。

(2)投資判断に必要な情報がある

 有価証券報告書には投資の判断に必要な情報があります。「金融商品等の公正な価格形成等」(金融商品取引法 1 条)を実現するための基礎資料と位置付けられているからです。
株式市場においては、大事なルールがあります。それはみんなが同じ情報を取得(アクセス)する環境を整える、ということです。内部だけで知りえた情報で株を売買すると違法(インサイダー取引)で逮捕されてしまいます。みんなが平等に情報を取得する環境があり、株の売買を行う環境を整えることが重要です。ですから、有価証券報告書には、投資判断に必要と考えられる情報が出来る限り盛り込まれています。分かりやすくいうと3つの点で有用だといえます。
①ゴーンさんの虚偽記載の容疑でも分かるように、有価証券報告書に「誤ったことを書く」とお縄になります(有価証券報告書虚偽記載の罪に問われます)。つまり真実のことを企業は書かないといけません。
⇒企業の一次情報として分析するには大変貴重な情報源です。
②形式が統一化されていて、他社と比較しやすい(フォーマットが決められています。どの企業も指定された箇所に決められた情報を書くことが義務付けられています)
⇒一旦読み取り方を覚えれば、他社分析でも応用できます。
③情報量が多い(企業によって分量は異なりますが、150~200頁程度あります)。
⇒企業の沿革、どういったリスクをもっているのか、子会社の状況、今後の戦略、生産、販売状況、業績そのすべてが書かれています。


(3)株に興味がない人も
 

 有価証券報告書を読めるようになることは、「株(上場企業)には興味ない」という人も重要です。なぜならば、「有価証券報告書から企業の営業方針、戦略、形態」を読み取ることが出来るからです。就職先がどういった企業なのか?今度取引する企業がどんな企業か?自分がよく購入する商品はどれぐらいのコストで製造されているのか(お得かどうか)?こうした情報も有価証券報告書には含まれています。
特に学生の皆さんにとっては就職先がどんな部門を持っているのか(国内、海外の支店はあるのかどうか)?社長含めた経営陣はどれぐらいの報酬を受け取っているのか?経営陣の学歴は(どの大学出身者が多い)?
こうした情報を読み取ることが出来れば、就職先で自分のやりたいことが出来るかどうかを見極める事にも繋がるのではないでしょうか?

(4)一緒に学ぼう


 「有価証券報告書の読み取りスキル」は、社会人基礎力として必要といえます。ただし、有価証券報告書を読み取りスキルは、「古文書」の読み取りと近いものです。書いてあることを読み取るためには、それなりのトレーニングと「慣れ」が必要です。とても一人ではできませんし、挫折してしまうと思います。みんなで一緒に励ましあいながら、学ぶことが大切です。宜しければ、ご一緒に学びましょう。

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