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退職金は労使関係で自由自在に変化する


新型コロナウィルスが猛威を振るってます。こうした中でも「出来る事」をやります。

志村けんさん‥‥ご冥福をお祈りいたします。

私の気持ちを表したトップの写真にしました。

ここでは退職金の問題を取り上げます。

厳密には退職金(退職一時金)、企業年金の二つに分けて、これらを包括する退職給付という概念で考えるべき、なのですが、皆さんへの分かりやすさを重視して、勤務を自由として退職以後に支払われる給付を全て退職金としていきましょう。

1.企業倒産で退職金問題が多発する?

今、私が一番心配しているのは・・・

企業が倒産⇒退職金が支払われない⇒訴訟が起きる

ということが頻発するのではないか、ということ。

一部の産業を除いて苦境に陥っているとみて、間違いないでしょうか。

新型コロナの拡大で見過ごされがちですが、3月を越せない企業が出始めています。

今倒産している企業の多くは元々の業績が悪化していて資金繰りが苦しいケースがほとんどでしょう。新型コロナウィルスの影響がなくても倒産していた、可能性はありますが、キャッシュの枯渇をもたらしたことはまちがいないでしょう。

なんせ、売上というキャッシュが入ってこない訳ですから、よほど蓄えがない限り倒産してしまいます。

倒産には色々なケースがあり得ますが、新型コロナウィルスによる影響は主に、売上の減少に直結します。

・観光客が来ないから売り上げが大幅減少

・巨額の資金を投資したにも関わらず設備投資を回収できない、

といった状況です。

こいうした状況を踏まえた緊急措置も始まっています。

資金援助をしていくことは重要です。が、資金が投下される前に息絶えてしまう企業が多くなっていくことが懸念されます。

こちら倒産状況です。じわじわと倒産している企業が多くなってきます。やはり飲食業、観光業系から来ていますね。



TSR速報(大型倒産情報・注目企業動向)東京商工リサーチ(TSR)が速報で配信する最新の倒産・注目企業の信用変動情報。負債総額が原則30億円以上の大型倒産情報およwww.tsr-net.co.jp

参考に倒産している企業をいくつか

2020/03/27(金)

有限会社アライドフーズ~「新型コロナ」の影響で商品仕入が困難に~

関西スターリゾート(株)~大阪の「新型コロナ関連破たん」は3社目~

2020/03/26(木)

業務用食材卸(株)新和~「新型コロナウイルス」関連~

業務用食材卸(株)新和

合同会社おやど~長野県初の「新型コロナウイルス」関連破たん~

2020/03/25(水)

飲食店経営(有)アライドフーズ~北海道内では4社目の「新型コロナウイルス」関連破たん~

(有)豆匠たかち~新型コロナウイルス関連破たん13社~


2. 退職金の性質論:企業によって異なる?

こちらの記事は解雇についての論考です。

この記事で私が一番重要だと思う指摘を八代先生はしてくださっています。

解雇の金銭補償水準を労働者の勤続年数に比例して定めることは欧州主要国に先例がある。しかし、そうした国々では、企業年金はあるが退職金制度はない。既に勤続年数とそれに比例した年功賃金の積で決まる「二重の年功制」の退職金制度をもつ日本企業の場合には、解雇補償金の水準決定には大きな課題が残されている。この点、単純に企業の要請で希望退職する労働者に支払う割増退職金の水準を参考にすれば良いという指摘もあった。

普通のひとは「?」となるかもしれません。

ここで考える必要があるのは、退職金の性質論です。

皆さん、退職金ってなんだと思いますか?

退職金の法的性質で言われているのは以下の3説です。

 賃金後払い説・・・賃金の後払いで退職金を支払っている。

 功労報酬説・・・これまで務めてくれてお疲れさん!ありがとう。

 生活保障説・・・今後の生活のことを考えて支払っている。

欧米の考え方、そもそも、企業年金をベースとして、受給権を明確にしているので、「賃金後払い説」で一義的に決めることが出来ます。

功労報酬的、ボーナス的な役割を果たしているのはストックオプションでしょう。

では、日本はどうか?ということですね。

実は、日本の退職金の性質論で厄介なのは

一義的に決めることが出来ない、

さらに各社の労使の取り決めによって性質が異なる、

という二点にあります。

退職金がどのように決められるかといえば、

退職金は、多くの場合、就業規則や労働協約により支給条件が決められています。


実は決められないケースもあります。就業規則、労働協約が未整備なケースで、慣行として支給されている場合ですね。

裁判でも職場慣行として支給されている場合でも退職金って支払う必要があるの?ということは度々取り上げられます。

なお、以前取り上げた確定拠出年金制度を全面的に採用している場合は、後で退職金を減額したりも出来ないので、賃金後払いの性質をもつ退職金という事になります。

3. 勤め先の退職金制度を確認してみよう

おいおい、務めている企業によって退職金の性質が違うなんて・・・そんなのひどいとか、何で法律で定めないんだ!とか色々とおっしゃりたいこと分かります。

国によっては退職金というか企業年金を給付することが義務付けられていることもありますが、日本はあくまでも労使が決める事、というスタンスが明確です。

だから、皆さんに出来る自衛策は、

労使関係の協定を確認して支給条件がどうなっているのか?

ということを確認してください。

特に中途で退職した場合の規定も合わせて。

また退職金に必要な原資がどういった形で保全されているか、も確認しましょう!

制度を理解して上手く立ち回りましょう!

必要に応じて労使で話し合って見直していきましょう!

私個人としての意見は、個々の企業に退職金の性質が委ねられているのは、よくない、と考えています。不払いということも頻繁に起こりうるのが日本の制度。

職場が年棒制であったり、退職金制度がないというところの方が本当は安全かもしれません。

貰えると思ったものがない・・・・そうした時の絶望感は半端ないですから・・・。

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