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アナリストの視点を意識する

ペンマン本の続きです。

1.アナリストの視点とは?

アナリストの視点についてお話しします。

アナリストといっても独立したアナリストもいますが、多くはどこかの機関に所属しています。大きく分けて、企業外部と企業内部のアナリストで見る視点は異なりますし、企業外部においても信用アナリストと株式アナリストで異なります。

ここでいう視点は「どういう観点で企業評価を行うか?」ということです。学生だったら、就職活動に活かしたい!ですし、個人投資家であれば投資のリターンが気になるところでしょう。

アナリストは自分で売り買いをするというよりは、誰かに自分の分析結果を提供する役割を担っています。自分の勘でやってます!というわけにはいきません。自分の分析結果、見立てを第三者に示さなければなりません。

そう考えるとアナリストの担っている役割は重要です。というのも、アナリストは、将来の予測をしなければならないわけで、その予想が大きく外れれば袋叩きに合うことにあります。

ともあれ、ファンダメンタルな分析を行うアナリストは経済関係のアナリストよりは楽だと思いますし、ある程度は予想可能だと思います。経済関係だと全体の経済指標を眺めながら、政治的な要因(例えば、日中関係とか?)も織り込みながら分析していくことになります。

ファンダメンタルな分析を行うアナリストは、こうした経済指標も勘案することが好ましいとはいえ、分析対象は、経済よりは不確定要素が少ない企業です。

もちろん、これとて不確定要素が多いわけですが、過去のデータ、企業の経営戦略、方針などを織り込みながら行えば、それほど大きく外すことはないのではないでしょうか?(もちろん、金融危機や新型コロナ禍のような不確定なことが起きれば難しくはなります)

2.企業外部のアナリスト

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企業外部のアナリストは、先述したように信用アナリストと株式アナリストに大別されます。株式アナリストはバイサイドとセルサイドに分かれます。機関投資家に所属し、どの株が買いか、売りかを判別するのがバイサイド。一方で、証券会社など、金融商品を取り扱う機関に所属し、商品の販売を行うための基礎資料を作成するのがセルサイドです。

バイサイド、セルサイドというと何か頭が混乱してしまいそうですが、バイサイドは、資産運用側、セルサイドは金融商品(株)を販売する側とひとまず整理すると分かりやすいかもしれません。

信用アナリストはいわゆる格付け機関に所属しています。

格付け機関は企業の健全性の格付けを行っています。その格付けが社債などの利息設定に影響することになります。

健全性が高い企業であれば高い格付けになり、低い利率で、逆に健全性が悪い企業であれば格付けが低くなり、高い利率で企業は借り入れを行うことになります。企業の格付けを決めることは資金調達コストに直結する話なので、信用アナリストの担っている役割もまた重大です。

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株式アナリストは、リサーチレポートを作成し、クライアントの意思決定に役立つ信頼性や説得力のある資料を用意しなければなりません。これは…大変です。ですが、洗練された株式のリサーチレポートを作成できるかどうかがアナリストの腕の見せ所と言えますね!

3.企業内部のアナリスト

企業内部のアナリストの役割は、外部とは異なっています。というのも内部の情報を用いることが出来る。それが一番の大きな違いです。かつ定量的な評価を行いますが、イノベーション促進、価値を付加するアイディアの検証を積極的に行うことが求められます。

下の図はおそらくこうなっているであろう、というものです。企業内部のアナリストはCFO(財務責任者)の指示で、戦略や特定の事案の評価を行うことになります。

経営者、もしくは事業の提案者が依頼した事業評価を分析して予算立ても行うことになるでしょう。

ただ、部局によっては事業評価を得意とする人(実質的なアナリストの役割を担っている人)がいることもあると思いますし、CFOが統括する形をとっていない可能性もあります。

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数値で示す、ということがアナリストの役割ですから、ここが難しいところです。将来予想も積極的に行う必要があります。ただ、これもやはり不確実性が大きいものなので、どのような根拠に基づいて予想を立てるか?が重要になってきます。

人によっては予想なんかしても無駄!と言われそうですが、事業評価においてはそういうわけにもいきません。様々な仮定に基づき見積もりを行う。その役割を担っているのが内部のアナリストです。

また内部のアナリストはM&Aの評価に携わることもあるでしょう。デユーデリジェンスですね。買収先の企業の資産・負債を分析し、評価します。企業によってはこの部分を外注するケースもあるかと思いますが、企業によってはこうした部隊を抱えていることもあるでしょう。

4.まとめ

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企業外部と内部のアナリストでは役割はずいぶんと異なります。外部のアナリストは、ファイナンス理論をベースにリターンを定量化することになるでしょう。内部のアナリストは、企業戦略、マーケティングなどの理論も応用しながら事業評価を行っていくことになるでしょう。いずれにしても数値で評価するのがアナリストの基本なことは変わりません。

評価技法の利点と限界を理解しながら、情報提供のための資料を作成するのがアナリストの役割、といえますね。


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