のろまな亀で生きると決めた日
私がのろまな亀で生きると決めたのは、いつだっただろうか?
中学の時に、可愛くて頭のいい子の隣の席になったときだったかな。
それとも、客室乗務員の訓練中に、何でもすぐにできてしまう同期を見たときだったかな。
忘れてしまったけど、ある時からずっと「私はのろまな亀だから、今できなくても続けていれば、きっと追いつく」と自分に言い聞かせてきた。
その結果、ブログは14年間続いているし、インターネットラジオも250回、YouTubeも250回を超えている。
別に自慢ではない。
自分にはそれしかできないと思っているからだ。
全ては、「のろまな亀は歩み続けることでしか、ウサギには勝てない」と、十分にわかっているからなのだ。
周りからは、
「のろまな亀には見えない」と言われる。
ありがたいことだけど、本当は不器用で、人よりも何でも時間がかかるタイプだと、自分が一番よくわかっている。
だけど、その「弱点」(とあえて言うが)のおかげで、継続力が身に付いたのであれば、弱点は、弱点ではないのかもしれない。
また、私は「ハマり体質」で、小学生の頃幼馴染のうちに遊びにいくと、そこにある何十冊もの漫画を片っ端から読み始め、どんなに幼馴染に怒られても、遊ぼうと誘われても、一切その声が聞こえないし、漫画から手を離さなかった。
「もう、読み出したら止まらんけ、すかーん」とよく幼馴染に言われた。
一つのことに夢中になる、と言うことは、当然周りが見えなくなるわけで、そのせいで仕事上でも怒られたことは何度もある。
でも、それだけ熱中できると言うことは、ある意味すごい集中力なので、これも決して短所とばかりは言えないのではないか、と思っている。
このように、人には「短所」「長所」と決めつけることができないことがたくさんある。
私は、学生や、若い人たちに面接指導をする立場だが、その方々のセールスポイントを見つけるのも、大事な仕事の一つだ。
ある人は、高校、大学時代のことを聞かれるのを極端に嫌がっていた。
なぜなら、彼女が高校、大学時代に一生懸命やったことがないからだ、とわかった。
しかし、よく聞いてみると、アーテイストの大ファンになり、いわゆる「追っかけ」をしていたことがわかったし、大学に入ってからはアルバイトに夢中になっていたことがわかった。
ただ、彼女はそれらは勉強ではないし、ましてやアーテイストの追っかけなんて、就職の面接では絶対に言えない、と思っていたのだ。
私は彼女の話を聞けば聞くほど、「好きなことへの集中力」がとても高い人だとわかった。
まさに「ハマり体質」だ。
私はそれをアピールしたらいいと言った。
「私のセールスポイントは、ハマり体質なところです」と。
そしてアルバイトの話をしてもらった。
50人ほどで満席となる中華料理店でアルバイトをしていた彼女は、ある時店長と自分だけしかシフトに入れなかった時があったと教えてくれた。
運悪く(?)その日は、あっという間に満席となり、結果的に店長と彼女のたった2人で50人への接客をした。しかし、彼女は「この時すっごい楽しかったんです!!」と、目をキラキラさせて言ったのだ。
接客と忙しさにハマった彼女は、仕事も現場職を希望し、できればすごく忙しい職場がいいと言うようになった。その夢は叶ったし、面接ではこの自己PRを話している。
日本人は、自分の短所に目を向けがちな国民だと聞く。
自分の短所はすぐに言えても、長所はなかなか言えない人が多いと思う。
(今、時代は少しづつ変化しているように思うが、それはそれで少し問題だな、とも思うが、いつかこのことについても、書いてみようと思う)
でも実際には、本人が短所だと思っていることが実は長所だったり、短所のお陰で長所が生まれていたりする。
長所と短所は表裏一体。
そして、何より大事なのは「ダメだなー」と思っている自分も、自分なのだと認めること。
そんな自分を大事にすること、見捨てないこと。
どうしても嫌な短所なら、さっさと直すこと。
のろまな亀になると決めた日から、ずっとそう思っている。
のろまな亀にとって、勝負の日は死ぬ時だ。
死ぬ時に自分が満足していればそれでいいし、死ぬまでになりたい自分になれていたらそれでいい。
決戦の日を、ずっと先に延ばしているので、人のこともあまり気にならないし、焦らないし、人と張り合う必要がない。
だって人間、死ぬまで何があるかわからないのだから。
今、「勝った」と思っていても、死ぬ時にはどうなっているかわからないのだから。
決戦の日は、死ぬ瞬間。
のろまな亀にはぴったりだ。
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