背理法に背を向ける(2002,2013・東京理科大学・理学部・数学科)
「背理法」の説明を書かせ、背理法を用いて「2の3乗根」が無理数であることを証明させるのが2002年の東京理科大学・理学部数学科の問題。
「20字以上100字以内」というよく、国語の試験ではありえない字数指定。
その11年後。
「背理法を使ってはならない、素因数分解に関する性質は使ってよい」と前置きしたうえで有理数と無理数に関する議論をさせる問題。これも同じ東京理科大学・理学部数学科、2013年の問題。
「東京理科大 背理法」で検索すると、なんとなくわかります。
東京理科大学理学部第一部数学科、安部直人教授のWebページ。
安部研究室(東京理科大学Web内) 安部研究室(理科大Web外)
この中の「背理法被害者の会」というページの更新日が2012年11月。
そして「背理法を使ってはならない」入試が翌年2013年2月。
この主張をひととおり読んだうえでの僕の意見。
・数学だけでなく、学問は「まず疑ってかかる」ことが大切
・背理法を使うべきかどうか疑うことも大切
・だけど、この「背理法を疑ってかかる姿勢」を疑うことも大切
・けっきょくずっと疑ってばかり
・数学の議論は揚げ足取りだらけ
・数学の常識は世間の非常識
・入試は「出題者が用意した解答」が正解なので「採点者がマルをつけたくなる解答」を書く必要がある
・入試の出題者は「うちの大学で向こう4年以上飼ってやりたくなる学生」が欲しいわけだから、その出題者におもねることは必要
・こういう議論が苦手な人は数学科に行かないほうがよいと思うので、ある意味でスクリーニングにはなっているのかも
(ここまでは数学的な話題をカットしてきましたが、いちおう数学としての意見も)
・「無理数であること」の証明に背理法を使うのは自然だと思います
・だって無理数の定義が「有理数で表せない実数」なんですから
・「有理数でないこと」を示すのに背理法は有効だし使うべきです
・対偶でも示せますが、対偶命題の真偽の概念を教えるのも骨が折れます
・言い出したら、入試問題にはいくらでもケチをつける余地はあります
・厳密にやってばっかりだと…疲れません?
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