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学級開きの心構え ~学級づくり編~

もうすぐ4月。Twitterを初めて分かったのは、初めて先生になる方の不安。しかも「ブラック」だのなんだの余計に不安になるような情報が錯そうしている昨今、その不安は私の時代よりもさらに大きいものだと思います。

今回は、私が学級をスタートするときに大切にしていることをまとめてみました。いろんな実践があるのでやり方はそちらにお譲りして、特に心構えに絞って書いてます。もし、何らかの形で参考になれば幸いです。

①自己紹介 ~自己開示とルールの提示~

始業式の日はノートや教科書を配り時間がないので、子ども同士の自己紹介は2日目にしてました。そのため、初日は担任と子どもたちの時間として、また子どもたちの見本になるように、教師の自己紹介に時間を割きます。

第1印象は、重要です。男の先生ということだけで、それだけでびびられることも小学校ではよくあります。怒ったり嫌味なことはNG。趣味や年齢。結婚しているかとか好きなこと。実物をもって来たり、特技を披露するのは、特にいいですね。自己開示は、コミュニケーションの基本。まずは教師が自己開示のお手本を見せます。

私の鉄板ネタは「アタック25で優勝&地中海クルーズ旅行獲得!」です。児玉清さんと映った写真をA4サイズに引き伸ばして持っています。これで、一気に子どもたち(保護者からも)興味がわきます。

でもそれだけだと、ただの自慢になって鼻につく人になってしまうかもしれません。だから、ちょっと親近感がわくようなことがあるほうがいいです。特に、子どもたちは「弱点」を知ると急に距離が縮まる気がします。

私の場合は、方向音痴の話をしました。あと、物忘れをするときがあるとか。「だから、そういうときは先生を助けてね」と伝えます。

そうすると、面倒見のいい子はやたらと世話を焼いてくれるようになります。「先生、私の家わからんやろ」と言って、家庭訪問のときに待ってくれたりとか。本当に助かりますよ。

何より、「子どもたちといっしょにいいクラスをつくりたいんだ」ということが私の大事にしたいことなんだという自分の思いを語ります。

それとともに、これだけはしかるという「しかルール」を話しておきます。私の場合、具体的には①人を傷つけること ②いじめ ③うそをつくことの3つです。「これだけは許しません」と、はっきり伝えます。

新しいクラスでの先生や友だちとの関係に不安を感じている子どもたちは、結構多いです。「いけないことをいけないと言ってくれる」と感じさせることは必要です。

つまり、自己紹介では、「自らの志を語る」こと、そして「距離を縮めつつも、教師としての規律を示す」こと。これらが大切だと思います。

②学級通信のタイトル

わたしは学級通信のタイトルを、毎年「四つ葉のクローバー」にしています。毎年タイトルを変えるのは、けっこう時間をとります。ある年に、「タイトルは教育観や信念みたいなものだから、毎年変えなくてもいいのでは」と思い、ずっとこのタイトルにしています。

第1号を配り、子どもたちにその理由をこう話します。

「四つ葉のクローバーは幸福のしるしと言われています。その四つ葉は、どういう場所を探すと見つけやすいか知っていますか。

答えは「人に踏まれやすい場所」です。

失敗やトラブル、思い通りにいかないことは人生で必ず起こります。でも、それを成功の素に変えていくことで、人は幸せを見つけられると思います。

一人で乗り越えていけない壁もあります。それを超えていくには、仲間が必要です。辛いことを分け合い、楽しいことを大きくするような仲間を、このクラスでつくってほしいと思って、このタイトルを学級通信につけました。どうぞ1年間、よろしくお願いします。」

学級通信にも、自己紹介とこの話を載せておきます。家では、大体の家が先生への関心が高いはず。「どんな先生だった?」と聞かれるはずなので、「面白そう」「きびしそうだけど楽しそう」などの家での子どもの言葉が保護者の第一印象になることを忘れないようにしたほうがいいと思います。

あえて、「今日の初日について保護者に話をする」という宿題を初日は与えることもいいかと思います。そうすることで、自分も初日の出会いに気合が入りますよ。

③1年間の見通しを立てる

新たな出発の期待と意欲を高めるように、1年間の見通しを話します。

まずは行事は何があるか。5年生なら自然学校、6年生なら修学旅行に向けての平和学習。運動会や音楽会などの行事はどんなものがあるのかなどです。そこに向けて、どんな力が必要か。共に考え導きます。

次にどんな学習があるか。3年生は習字や理科・社会など、初めての学習がいっぱいです。また、国語では200字の新出漢字(6年生よりも多い)、算数ではあまりのあるわり算など、小学校生活6年間でも重要な学習であることを話します。

不安な声も出ることも考えられます。その場合、不安な気持ちを否定しないほうがいいでしょう。それも受け止めて、「大丈夫。いっしょにのりこえていこう」と励ませばいいと思います。

④学級目標を子どもたちと作る

そしていよいよ学級目標を子どもたちとつくります。ここが最も重要。

わたしは、二日目以降、十分に時間をとれるときに話し合いをします。係決めなど最初にいろいろ決めないといけないことが多いのですが、私は、学級目標をつくることから始めるということを大切にしています。この目標が軸となり、他のあらゆる活動へとつながる芯の部分だからです。

まず、子どもたちに「どんなクラスにしたいか」を考えてくるよう、前日に予告しておきます。

まずKJ法を使って子どもたちの「願い」を視覚化します。いきなり話し合いは初対面の子ども同士では難しいし、願いが「埋没」してしまう子どもが必ず出ます。全員が自分の願いを表明し、それが生かされること、それが大切だと私は思います。

付箋を全員に1枚ずつ配ります。そこに自分の願いを一つ書きます。それを黒板に貼ります。黒板には中心に「こんなクラスにしたい」と書き、そのまわりに付箋を移動させながら、願いを仲間分けしていくのです。「Webマッピング」という手法です。二つ以上ある場合は、付箋をさらに渡してそれも認めます。

それを見ながら、「この願いがすべて入った『キャッチコピー』を考えよう」と問いかけます。ここからは、話題が焦点化されているので話し合うこともしやすくはなってきます。あとは、考えたキャッチコピーを発表させていきます。

選ぶとき、一つに絞るという決め方でもいいです。すんなりと行く場合もありますが、決まらないこともあります。

私が5年生を持った時は、男子と女子で意見が分かれて膠着状態になったこともありました。ある男子が「しくきょうりょくする組」=「(らっ)きょ組」がいいという意見を提案したので男子はそれを支持。ところが、女子は「それはださいからいや」と反対し、「がおでかるいクラス」=「エアー組」を提案し、真っ向勝負となってしまいました。

私はそういう時は、「考えをミックスして新しいものを生む」という発想を提案しました。結局そのときは、ある子が提案。「がおでかるくしくきょうりょくするクラス」ということで、「えあらっきょ」に落ち着きました。私は、全員の願いが入って、しかも世界に一つしかない学級目標を作り上げたことを賞賛しました。

「えー」って言っていた女子たちも、自然学校の時には「わたしたちエアらっきょ組は・・・」と言うようになってましたからおもしろいものです。個人的に「えあらっきょ」は、これまでこれまで子どもたちが作り上げた学級目標の最高傑作だと思っています。

「みんなで考えることで、一人では考えられないことを生み出す」。それが、話し合うことの意義です。これこそ、これからの社会に必要な力としていっそう重要になってくると思います。その後も、クラスで話し合いをするときの基本的なスタンスになりました。


今回は、学級づくりにしぼってまとめてみました。学習面も大切なのですが、それはまたの機会にしたいと思います。


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