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ふるさとを離れて学ぶ3100分の1である大学生が「ふるさとで働く日本一おかしな公務員」から学んだこと

このnoteに興味を持ってくださりありがとうございます。
僕は上田航平と言います。神戸大学大学院に通っている23歳です。

11月半ばから約2ヶ月の間,塩尻市役所地方創生推進課の山田崇さんのもとで「オンラインかばん持ち」をさせてもらいました。


このnoteでは,僕が山田さんと出会い「ふるさとで働く」というテーマについて考えたことをまとめます。

noteを読んで,地元に帰りたいけど悩んでいるという人の気持ちが少しでも前向きになるといいなって思ってます。

▼オンラインかばん持ちとは

まずはじめに聞きなれない”オンラインかばん持ち”の定義からしようと思います。簡単にいうと,「オンライン上で山田さんの仕事について回る」というものです。

具体的な活動内容は以下の通りになります。

・期間:11月17日〜1月17日
・参加した会議:
11/17    SMOUT打ち合わせ
11/18   フォルケホイスコーレ朝活
    塩尻CxOラボMTG
11/20 山田崇ラジオ
11/24 ファミリーワーケーションMTG
11/26 とっとりMEGURUラボ MTG
11/27 山田崇ラジオ
12/1  そうだ!塩尻に行こう!(オンラインイベント)
12/3  とっとりMEGURUラボ MTG
12/4  山田崇ラジオ(小橋さん会)
12/10   とっとりMEGURUラボ MTG
12/11    山田崇ラジオ(福田さん会)
12/17   とっとりMEGURUラボ MTG
12/18   山田崇ラジオ(伊藤さん会)
12/24   とっとりMEGURUラボ MTG
12/25   山田崇ラジオ
1/7     とっとりMEGURUラボMTG
1/8    山田崇ラジオ
1/14  とっとりMEGURUラボMTG
1/15  山田崇ラジオ
1/17  オンラインかばん持ち報告会

・役割:
議事録をとる
・アウトプット:
日報
山田崇ラジオ
note

合計回数 21回
合計時間 21時間

▼なぜオンラインかばん持ちを始めたのか

僕が山田さんのオンラインかばん持ちを始めたのは,ふるさとで活躍するキャリアのヒントを得たいと思っていたからです。


●ふるさとで働きたい,でもイメージが湧かない
僕は公務員だった父親の影響もあり,将来はふるさとでまちづくりの仕事をしたいと考えています。
高校時代からそう考えていて,まちづくりを勉強するために地元の島根大学に進学しました。

あるアンケート調査によると,
高校卒業時に島根への愛着や誇りがある生徒は83%
将来自分が住んでいる地域や島根県で仕事をしたいと思っている生徒は64%だそうです。
高校時代の僕もそのうちの1人でした。
今もその気持ちは変わりません。

一方でこんなデータもあります。
高校卒業時に50%(約3100人)が島根県外に他出している」

県外に進学した学生のうち70%(約2170人)が県外で就職している」

(平成30年度のデータ)

つまり,島根に愛着や誇りがあり将来は島根で働きたいと思っているが,大学進学の時点ではその半数が県外に出るという選択をし,そのうちの7割が県外就職を選んでいる。
実は僕も昨年,大学院進学をきっかけに22年間暮らしてきた島根県を初めて離れました。
知らない土地に出ることで,自分とふるさとを客観的に見れると思ったからです。

県外に進学・就職すること自体,全く悪いことではないと思います。
しかし,県外に進学した友人や県外で出会う島根出身の社会人の方に話を聞くと,「魅力的な仕事がなかったり,スキルを活かせるところがないから帰りたくても帰れない。だんだんふるさとに帰って仕事をすることが選択肢にも上がらなくなってくる。」という話をよく聞きます。

僕自身もふるさとを離れてみて,将来的には帰りたいけど具体的な働き方のイメージはないし,どうなったら自分は島根に帰るんだろう?と思うことが増えました。

新卒のキャリアとして島根以外での就職を考えてはいましたが,島根を離れる前は「自分はどうなったら島根に帰るんだろう?」とリアルに考えたことはありませんでした。
県外に進学して外から地元を眺めてみて初めて,自分の中のリアルな問いとして浮かび上がってきたのです。


●ふるさとへの違和感
僕の地元である島根県雲南市は,人材不足が深刻な地域医療を担うコミュニティナースという取り組みや,企業とともに地域の課題解決を目指す企業チャレンジなど全国の自治体から注目される取り組みが行われています。


雲南市だけでなく,島根県全体を見ても,まちの課題を解決するために,県外から優秀な人たちが集まり新しい取り組みがどんどん生まれている。
僕はそんなふるさとを誇りに思っています。
しかし,その一方で「外部人材に頼りきりで地元の人が主体的になれていない。外部人材の力を借りるのってまちにとってよくないんじゃないか?
自分が帰っても活躍する余白がないんじゃないか?
そんな気持ちを抱くようになりました。


●オンラインかばん持ちスタート
そんなことを考えていた昨年11月,山田さんと出会いました。
きっかけは,雲南でお世話になっていた光野(宇野)さんに山田さんを紹介していただいたことでした。
本を読んで,山田さんがふるさとである長野県塩尻市で面白いことを仕掛けていらっしゃることを知っていた僕は,「ふるさとで働くヒントが得られるかもしれない」と思い,かばん持ちをさせてくださいとお願いしたところ,山田さんは快く受け入れてくださいました。

こうして始まったのが,山田崇オンラインかばん持ちです。

かばん持ちをしていく中で,自分が疑問を抱いていた「外部人材に頼るまちづくり」を塩尻市ではどう考えているのか気になったのと,ふるさとで活躍するヒントを得るために,山田さんのことをもっと知りたいと思いました。
そこで,自分は以下の2つに関心が向いていきます。

塩尻市のMEGURUプロジェクト(塩尻市と外部人材を繋ぐプロジェクト)
山田さんのスタンス

▼塩尻市のMEGURUプロジェクト

塩尻市ではMEGURUプロジェクトというプロジェクトで,塩尻に関わりたいという外部人材の募集を行っています。
そして,外部人材とともに地域課題を解決するためのビジネスの創出を目指しています。

こちらの記事にわかりやすくまとめられているので,詳しくはこちらをご覧ください。

塩尻市が外部人材を募集するときに大事にしていることは「頼みたい人に頼みたいことがある」ということ。
外部人材が「腕まくりしてでもやりたい」と思えるような課題設定をして「仕様書(※1)」を作成し,人を集め,ビジネスによって地域課題を解決していくというモデルが展開されています。

(※1) 課題に対して期待される成果や前提条件を明示し,課題の焦点を明確化したもの 
 (参照:https://changewave.co.jp/2020/06/29/michikara0701/)

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また,「塩尻CxOラボ」というオンラインコミュニティがあり,塩尻市と関わって何かやってみたいという27名の方が参加されています。(2020年12月現在)

CxOラボに参加しておられるメンバーの方にオンラインでお会いして感じたのは,関わりたいという想いの濃さが濃ゆいということです。
実際に行政のアドバイザーをしたり,副業を始める人が多いことからもわかるように,なんとなく関われたらいい というよりも自分のスキルを活かして塩尻に還元したいという気持ちが強い。そんなコミュニティだなと感じました。

メンバーの方の想いの強さもすごいのですが,その想いが形になっているという事実がもっとすごい。
おそらくそれは山田さんのスタンスが関係していると思います。


▼山田さんのスタンス

山田さんのスタンスは著書の中にも書かれていた「(P)dCAサイクル(※2)」を意識されていると感じました。

(※2)小さなアクション(do)→確認(Check)→謝る(Apologize)を高速で繰り返すことで,最初から計画(Plan)が存在したかのように見える

これに加えて,以下のことも感じました。

①差し出された手は繋ぐ
面白そうと思ったことは,小さく気軽に始めるというのが山田さんのスタンスです。
それに加えて,握手ができるように片手は開いている状態をキープしているということを話しておられました。
声をかけられたら(相手が手を差し出してきたら)そこにチャンスがあると思ってまずやってみるという姿勢だと思います。

②目の前の事実に目を向ける
これは,かばん持ち中に何度も登場した言葉です。
山田さんが大切にされている,目の前にいるひとり「n=1」を大切にするという考え方にも近いです。

中でも印象的だったのは,塩尻で副業人材募集をしたときの話です。
応募人数を超える応募があると,落選してしまう人も出てきます。
そこで落選した人たちに「塩尻とはご縁がなくて残念でした」とするのではなくて,その人たちは塩尻に対して何らかの意思を持って応募してくれたという事実に目を向ける。
その事実に目を向けたことで,落選した人たちも継続して関われるように塩尻CxOラボに参加してもらい,新しい取り組みがどんどん生まれている。
まさにこれは目の前の事実に目を向けたから起こったことであり,山田さんのスタンスを象徴している成果ではないでしょうか。

③仮説を持つこととアーカイブ化
これも山田崇語録を作ったら登場回数上位に入る言葉です。
仮説を持って行動するからこそ,振り返りができ,改善ができる。
何がうまくいって,何がうまくいかなかったのかを言語化し,次の行動につなげていく。起こったことをアーカイブ(※3)しておく。(山田さんはスライドに落とし込んでアーカイブされている)
そうすることで,うまくいったことは再現性が高まり,うまくいかなかったことは改善して次の成果に繋がっているのだと思います。

(※3)重要記録を保存・活用し、未来に伝達すること(参照:Wikipedia)

④自分も市民であるということ
市民のためにまちづくりを行う公務員でもあり,自分も塩尻市に住む市民なんだ。
かばん持ちの中で,一番印象に残っている言葉です。
僕はこの言葉から,「n=1」が自分であってもいい。そこに住む自分を喜ばせたいという想いでまちづくりをすると,同じように喜んでくれる人がいるはずだ。そんなメッセージをもらえたと思っています。


▼外部人材の力を借りることに対する考え方の変化

MEGURUプロジェクトと山田さんのスタンスについての学びを言語化する中で,自分の考え方に変化がありました。

山田さんのもとでかばん持ちをして「まちにとって外部人材の力を借りるのって本当にいいことなのか?」という疑問から,「なぜ外部の人の力を借りる必要があるのか?」という新しい問いが生まれてきました。

現時点での僕の考えは「自分たち市民の力だけでは解決できない課題があるから力を貸せて欲しい」というのが問いに対する答えです。

MEGURUプロジェクトを通して,「外部人材の力を借りること」が悪ではなくて、なぜ外部人材の力が必要なのかをしっかりと意識し、どう関わってもらうかを戦略立てて考え、力を借りていくことが重要なのではと考えるようになりました。


▼ふるさとで働く

オンラインかばん持ちを通して,「外部人材の力に頼るのはまちにとってよくないんじゃないか?」というモヤモヤは消えました。

ただし,これには条件があって「まちのことを自分ごととして考え,まちの課題を設定し,外部人材とまちとの関わりを戦略立ててコーディネートできる存在」(山田さんのような存在)が必要だと思います。

自分のなりたい姿が見えてきました。

今思えば,かばん持ちを始めるまでの自分は「島根で活躍するために必要な武器を身につけなきゃ」とばかり考え,その「正解」を探していたんだなと気付きました。
山田崇さんという憧れの人のかばん持ちをやってみたけど,正解なんてなかった。
「ふるさとのためにどうなるのが正解か?」ではなく,「自分はどうなりたいのか?」を考えるようになりました

島根で活躍されている方々の背中を追いかけるだけではなく,自分らしくふるさとに貢献していけるように頑張っていこうと思います。

自分らしさとは,ふるさとが大好きであるということ。

空き家や地域の食を活かしたまちづくりに興味があること。

仲間を巻き込みながら面白いことを仕掛けていきたいという思いが強いこと。

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▼上田航平の小さなdo

ここまでかばん持ちで学んだこと,今後の決意を書いてきたつもりですが,僕自身ふるさとで働く姿を明確にイメージできたわけではありません。

具体的に何をするかなんて正直まだわかりません。
だからこそ小さなdoから始めていくのがいいんじゃないかなと思いました。

僕の小さなdoは,「自分の地元で働きたい,働いている同世代で配信するラジオ番組

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これにしようと思います。
今回noteで言葉にしてみて,普段思っているけど表に出てきていない言葉であったり,キャリアに関する悩みって結構多いんじゃないかと思いました。

山田さんが毎週金曜朝7時に「山田崇ラジオ」というラジオをやっておられます。
配信することで内省する機会を強制的に作れる,今の自分に向き合う時間になっているというところからヒントをもらい,同じ時間を地元で働きたいと考えている仲間たちと共有したいなと思いました。

何曜日の何時に配信するか,固定メンバーとゲストという形態でいくかなど細かいことはこれから決めようと思います。
もし興味がある方がいたら僕に連絡ください!(出身地や僕と面識があるかなどは関係ありません)

→僕のFacebookはこちら
https://www.facebook.com/profile.php?id=100015329385193

→追記:ラジオ始めました!ページはこちらです!
https://www.facebook.com/groups/928766637657790

▼最後に

ついつい長くなってしまいました。
最後まで読んでくださりありがとうございます!

オンラインかばん持ちを通して,塩尻市のオンライン外部人材の1人として様々なことを学ばせていただきました。
オンラインかばん持ちって可能性無限大だなと思います。
2ヶ月の間,自分と向き合ってくださった塩尻市役所の山田崇さんには本当に感謝しています。

もしこのnoteを見て山田さんや塩尻市に興味を持った方がおられれば,僕または山田崇さんにぜひご連絡ください!


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