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文系のための理数センス養成講座(竹内薫)【書評#158】

文系の人を対象とした理系入門書。正直、新たに知ることはほとんどなかったが著者自身をより知ることができた。

もともと学問を理系と文系に分ける文化があるのは日本ぐらいで、例えば竹内薫さんが留学したアメリカでは「あなたは理系か文系か」と聞かれたことは全くないという。

なぜ、日本で理系と文系が分かれたのかは、明治時代にまでさかのぼる。

日本に特徴的な文系・理系にこだわってた区分方法は、じつは明治政府が帝国大学を作った際に、実験や実習で教育に金のかかる理学、医学、工学などを理系、金のかからない文学や法学などを文系と分け、大学生の予備軍である旧制高校の学生までも、入学時から理系と文系にコース分けしてしまったことが発端だと言われます。 早期選別で教育コストを削り、また欧米の研究レベルに急追するために早期育成を図ったという分けですね。その当時の政策としては利点もあったにせよ、こうした明治政府の都合が、現代日本の教育制度にまでこれほど色濃く残ってしまっているのです。 p.13

なお、文系と理系が分かれた経緯は以下の本が詳しい。

この本では、理系的発想法を3つ紹介している。それは、「要点にまとめる」「前例の打破」「事後調整」の3つだ。

理系は物事を抽象的に捉え、別々の概念をまとめることができる。また、最新科学というものは常にそれまでの科学を覆す。そして、科学は常に更新されるものなので、「事前調整」は間に合わない。どんどん、科学の発展のスピードを止めない止めに、「事後調整」が大事だ。これらの発想法を文系の人も取り入れることでより思考に広がりが生まれるだろう。

他にも現在のビッグサイエンスの様子やプログラミング的思考の重要性が書かれている。

中でも印象的だったのが、著者があまり仕事の内容を確かめずに依頼を受けたら、「相対性理論はまちがっている」と主張する人たちが書いた本の中に入れられたエピソードだ。その本は「相対性理論はまちがっている」系で最も有名な本だが、(検索したらすぐに出てくる)まさかそんなところにまで著者が関わっていたことに驚いた。また、ちゃんと仕事内容を確認しないとこんなこともありうるのかと教訓にもなった。

https://note.com/uekoo1998/n/n06394e1b2c5f https://note.com/uekoo1998/n/na1501483541f https://note.com/uekoo1998/n/n903d81e2c63d https://note.com/uekoo1998/n/n9f02154a1f60

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