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【「その日暮らし」の人類学(小川さやか)】うえこーの書評#106

 多くの日本人は、高校や大学を卒業後、どこかの会社に就職し、お金をもらい生活する。その後、結婚し、家を買い、老後のためにお金をある程度残すつつ定年を迎える。

 日本だけを見れば、何も疑問を感じないが世界に目を向けて見ると日本の生活は生き方の一つの選択肢に過ぎないということがわかる。例えば、今回の本にあるように小川さやかさんがフィールドワークを行ったアフリカ都市部では「Living for Today」の価値観を持った生活が見られる。

 たしかに日本に比べると貧しい暮らしであることは間違いない。公衆衛生や社会のインフラ、社会保障などのことを考えると日本の方が良いに決まっている。しかし、国が頼れないからこそ個人間の関係を元に生活が送られている。そして、その社会でも一種の「資本主義経済」と呼べる形態で経済が回っていることには驚きだった。

 将来に対して不安になる事もあるが、この本の中の人のようにその時に出来る仕事を転々とするのも悪くないのかもしれない。

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