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液晶画面の中で過ごした夏休み

 これまでの人生の中で最も好きなゲームは何かと訊かれたら、僕は迷わず『ぼくのなつやすみ4』と答える。

 『ぼくのなつやすみ4』は僕が小学校6年生の時にPSPで初めてプレイしたゲームで、特に思い入れの深いゲームでもある。

 当時は主人公のボクくんと年齢が近く、夏休みや港町といった要素に惹かれて、僕は店頭に並んでいたこのゲームを自然と手に取った。

 それまで『ぼくのなつやすみ』というゲームシリーズの存在を知らなかった僕は、このゲームのパッケージを見て、そのコンセプトにすぐに魅了された。

 他にも『ぼくのなつやすみ2』がPSPのゲームとして販売されていたが、僕は同シリーズの『ぼくのなつやすみ4』を選択した。

 その理由には、当時はこのゲームが発売されてからちょうど1年後の夏の時期でシリーズ最新作だったということと、1980年代という時代設定と瀬戸内海という舞台に魅力を感じたことが挙げられる。

 そして2010年という現代から1980年代の過去に遡り、僕は小さな液晶画面で夏の港町を自由に駆け回る楽しさを知った。

 美しい背景美術に、親しみの持てる沢山の登場人物たち。
ボクと登場人物たちの織りなす面白おかしい会話の数々。
魚釣り、昆虫採集、海水浴、虫相撲、夏祭り。

 子供なら誰もが憧れるであろう、そんな真っ直ぐで等身大の夏休みを、ゲームを通して体験することができるのだ。

 特に好きなイベントが幾つかある。

 おじちゃんと太陽との防波堤での夜釣り。
出版社に勤めている女性とのあっち島での散歩。
小学生だけで行う肝試し。

 最後に挙げた肝試しのイベントで、こんな会話が交わされる。

 主人公のボクとキミコちゃんという同級生の女の子が満天の星を眺めながら、『全員集合』で停電が起きてひどくびっくりしたという内容のことを話しているシーンがある。

 このシーンは、当時の小学生が友達とよく話題にしたであろう1980年代の時代を感じるリアルなシーンで、個人的に最も印象的なシーンの一つだ。

 『ぼくのなつやすみ』シリーズは1から4まで全てプレイしているが、やはり僕はこの『ぼくのなつやすみ4』が最も好きな作品であると同時に、これまでプレイしてきたゲームの中で最も好きな作品だと言える。

 この1980年代の瀬戸内海を舞台にした夏休みを、僕は少なくとも5回か6回は過ごしている。
最近は遊べていないが、それくらい思い入れの深いゲーム作品なのだ。

 因みに現在は、PS2版の『ぼくのなつやすみ2』をコンスタントに遊んでいる(PSP版は何度もプレイした)。

 そのうち『ぼくのなつやすみ4』の舞台となった尾道に足を運べたら、なんてことも考えたりしている。


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