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9月社長朝礼 後編〜イノベーションを生み出す土壌

もうスポーツの話がずっと溜まっています。
なぜこう日本がこれだけ強くなったのか、どのスポーツもすごいレベルアップしていて、話したいことは沢山ありますが、にわかファンでの話は我慢して、阪神のことは、結構熱く語れるので、その阪神の岡田監督の話をしたいと思います。

岡田監督の一貫性

まあ、ぶっち切りで優勝しましたけども、僕は岡田監督のやり方とかいうのはなんかすごくシンパシーを感じています。
なぜかというと、岡田監督は人を生かしてるんですよね。
岡田監督のまず凄いのは、去年の解説者当時から、このメンバーで普通にやれば優勝できるけどなって言われていたのと、今年監督就任した時も、日本人ってこう時って煙幕張ったりするのを、同様に、普通にやれば優勝しますよって言ったところです。

結果、ぶっちぎりの優勝だったわけですが、去年とメンバーが極端に変わらず、人の適正を見てポジションを変えたこと、それも”守りが大事”だということで、これらが”当たり前のことを当たり前にやる”という事のポイントでした。
それと、聞くところによると、あの人はあまりコミュニケーションは得意な方じゃないので、選手と直接話したりすることは、ほぼないらしいですが、ただやることが一貫しているので、それで浸透していった様です。

やることが一貫してるから、選手が考えるようになって、考えて動くということ、また実践することで言葉がなくても伝わっていったところがあるんですよね。

どういうことかっていうと、野球くわしくない人には説明難しいけど、今年、フォアボールの数が圧倒的に増えて、それが得点につながったのですが、最下位の中日と、実はそんなに打率とか投手力とかの数字って変わらないのに、このフォアボールの数でぶっちぎり優勝と最下位の差になってしまったのです。
それは、フォアボールはヒットを打つのと同じ価値があるってことを言うのですが、言うだけではなく、まず岡田監督はフォアボールの査定を変えるように球団に交渉し、それを認めさせてやったんです。
ただそれは1ポイントが1.2ポイントになるぐらいの話で、実際、実入り的にいうと大したことないらしいのですが、ただ何を重要視するかということがシンプルで強烈なメッセージになったのです。

そして、リーダーとか特にやってはいけないことですが、大事なのは一貫性を持たせることで、良いことを言いながらも一貫性がないと、人はいうこと聞かないですよね。

どういうことかと言うと、フォアボールを選ぼうとすると、反対に見逃しの三振も増えることになります。
それを見逃しの三振という結果に対して怒っていたら、選手からすればどうすれば?って一貫性なく思えるのです。

岡田さんの素晴らしいなと思うところは、フォアボールを選べということを指示するのと同時に、その反対のリスクである、見逃し三振はオッケーということも徹底していたそうなんです。

まあ、他にも色々とあるのですが、これなどが特徴的なことで、要は言葉はなくても、方向性とそこに出すメッセージ、それに対するリスク(責任)の取り方を徹底すると皆が考える様になり、もう途中から選手がどんどん成長していったみたいなことも言われてましたけども、今年の阪神はホント、そんな感じでした。

だから、すごく僕らも目指している方向にすごく合致するなあと思いますし、大変参考になる話だと思うのですが、そういうので行くと、今期になってとか、ここ最近、僕は割と、絶対今期よくなるよっていうようなことを言ったりしていたのは、別に結果で言っている話ではないです。

その前期が予想よりも結果を上回ってとか、そんなことではないんです。
なぜそうなるのかっていうところが大事で、ウエダで20年以上やってきた中で、想定したことを上回ることっていうことは今までなかったんですね。
これはもう数字だけの話じゃなくて、何かを任してやってもらってでの話ですが、、あ、この時に、特にリーダーや、先輩という人でも意識してほしいですけど、放任(丸投げ)と任せるのは違うってことです。
任せるって言うのはなんやというと責任を負うことなんですね。でさっきの岡田監督のアレで行くと、フォアボールを狙って、三振しても怒らない、選手の責任にはしないってことなんですね。
任せるというのは、自分でも想定していたりして、その想定内だったらOKだとか、そのことで出てくる失敗やマイナスは自分が責任を負うという上で好きにやってもらうのが、任せるということで、だから放任と任せるというのは違うんですよ。

で、それがここ最近はですね、僕が任せていることに対して、その想定を上回ることっていうことが出て来てるんです。

これは、皆が考えてるから、想定を上回ることが起こってきてるんです。

会社のことって僕から発信してやってることだから、言った通りやってくれるだけなら自分でやったほうがいいですよね。
他人にどんだけ完璧にやってもらっても、99.999…にしかならなくて、100にはならないわけです。ましてや100を超えることもないんですよね。
でも、我々みたいな中小企業で人数少なくてやっていっているところは、そこで成果出していこうと思うと、そのみんなの個々の能力が生かされて、そして、掛け合わせていくと、どれだけの倍数になるか?です。

僕から発信したことで、その通りやってくれたらかける1だけなんですが、
まあ、1ではないですよね。
さっきの完璧でも0.99999…がかけられていくので、劣化していくわけです。
だけど、それが僕から発信したことで、みんなそれぞれが考えて、それを咀嚼して、自分のその役割と掛け合わせてやっていったら、それは当然僕なんかにできないことが生まれてくるわけです。
で、僕なんかにできないことが生まれてきたこと、これずっと全部掛け合わさっていくと、どんな力になると思います?

それが違う方向行くと、マイナスが溶け合わさったりするから、だからウエダの方向性とか、役割っていうことを認識してやっていってほしいのです。こうなってくると人数も関係なくなってくる。
だって大企業であっても1やマイナスを掛けてたら、総和は我々より小さくなってしまうんです。

先の想定を上回るということと、もう一つ最近いい傾向になってきてるのが、気づきを見ていてモヤモヤ感を楽しむということが皆から出てきてることです。
今もモヤモヤすることが悪いことかのようになっています。
なかなか答えが出ないということ、価値を明示できていなかったり、やり方を教えないと、悪いことかの様に思ってたりする傾向があったのが最近ちょっと変わってきたなっていうのも、さっきの想定を超えることが起きてきていることと関係ある様に思います。

前述の阪神の選手でも当初はモヤモヤ感だらけだと思います。
でも、なぜ途中から皆が成長し出したかというと、あ、なるほど、こういうことかっていうことを選手自らが思い始めた。
それで、当然、岡田監督のやってたことより想定以上のことが起こっていって、結果、ぶっちぎりの優勝となったのです。

汽水域と間(あわい)

金曜日に僕、東京行ってました。
これはミラツクの西村勇哉さんが別でやってるエッセンスっていうものの集まりでね。
まあ、これはこれで本当にもうすごかった。

その中で、大室先生が最初のパネルディスカッションで出ておられました。
ここ最近の京都流でも、よく出て来てたことなんですけど、”間”とか”あわい”とかで、大室先生はエコトーンということも京都流では言っておられたけど、汽水域とも。
川と海の流れの間を汽水域というのですが、そこが大事だというのは、今の時代を捉えてるなっていうような人はもう大体みんな同じようなこと言ってるんですよ。

英語で間ってBetweenっていう言葉ですが、Betweenっていうのは、実はAとBの間のみでAとBは含まれないのですが、日本語の間(あわい)という言葉っていうものはAもBも含んだ間という解釈が重要なポイントだと思います。
だから、ビシビシと割り切らない、そこの間のところが大事だというようなことが、ここ最近言われている。

大室先生の話で、なるほどと思ったんだけど、以前から「考えるな」考えずに感じないとだめということを言っておられますよね。
なぜ、考えるということが駄目かというと、考えるというのは、経験に基づいて考えていて、それではイノベーションは生まれないということなんです。思考を止める必要があって、その為には目的を持たないでいると、発想方法が変わるのだと。
難しい話ですが、、空と無は違うという話です(笑)

そうすると、またこれはエコトーン・汽水域にもつながるような話なんですけど、エコトーンを持たないとエコシステムは作れないということですが、いろんなものが混じり合って連続したような白から黒の連続性の中でじわっとある中で何か絡み合ってこの色っていうようなところが出てくるわけです。
白と黒がないとか、そのグラデーションがないところで、グレーって生まれてこないわけですね。
でもこのグレーが、仮にイノベーションとすると、そういうことを生み出すための土壌が必要で、土壌はずっと作っていかないとダメで、そして土壌を作った中で、このグレーをひねり出すために考えるのではなく、そういうような連続性なのか、あるいは全体性だとか、標準ということはしっかり作っていって、勝手に生まれてくる連続体を創るということが重要だという話でした。

という事で、しつこいけど、それぞれが役割を持って自分の役割をやりたいところから、この全体性の中で、それぞれが感じて重ね合わせていく中で、こういうことじゃない?みたいなことでやっていくところが、重要で、モヤモヤ感っていうのは、その白、黒、はっきりしない汽水域が生まれている、
そういう段階だと思うんです。

多くの人がそういうことなんやなって考えていくようになると、なかなかこれはすごい組織になるなあと思ってて、そこに向けていきたいと思ってますし、その兆しがあるので、これから良くなるよって言ってるのです。

そうなったら追随できないというか、他が真似できない形になると思いますから。そこを目指していきたいと思います。


汽水域に関して 第14回 京都流議定書


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