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インセプションデッキの正体

スクラム開発をするときに、必ずといっていいほど作成するインセプションデッキ。
今日はそのインセプションデッキの「正体」について書いてみます。

まず、インセプションデッキとは何かをおさらいしましょう。

インセプションデッキとは
・アジャイル開発のプラクティスの1つ
・プロジェクトを始める前に明らかにしておくべき大切なことを知るための活動
・10個の質問に答えていく形式
・チーム全員で話し合って合意したもののアウトプット
となります。

では、10個の質問について確認します。
①我々はなぜここにいるのか
②エレベーターピッチ
③パッケージデザイン
④やらないことリスト
⑤プロジェクトコミュニティ(ご近所さんを探せ)
⑥技術的な解決策の概要
⑦夜も眠れなくなるような問題はなんだろう
⑧期間を見極める
⑨トレードフスライダー
⑩何がどれだけ必要なのか

さて、ではそのインセプションデッキの正体に迫ります。
インセプションデッキは、伝統的なプロジェクトマネジメントにおける「プロジェクト憲章」を起源にしていると考えられます。
「プロジェクト憲章」という言葉は人によっては聞きなれないかもしれませんので、以下を参考にみてみましょう。
http://e-words.jp/w/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E6%86%B2%E7%AB%A0.html

そのプロジェクトの目的や目標、範囲や成果物の定義、前提条件、制約条件、想定されるリスク、期間やコストの見積もりなどが含まれる。プロジェクトの発足時に作成されるもので、プロジェクトの大原則、基本方針として関係者すべてが遵守することが求められる。

この通りのものであれば、確かにインセプションデッキと同じようなものであると想像できますね。
「プロジェクト憲章」なんてかしこまった文書作ったこともなければ、見たこともないよ、という方もいるでしょう。

「プロジェクト憲章」はなじみがないけれど、「インセプションデッキ」なら見たこともあるし説明もできる、ここにスクラム開発の工夫とうまさがあると想像できます。

では、インセプションデッキと、プロジェクト憲章を対比するとどうなるかをみていきましょう。

インセプションデッキ  |プロジェクト憲章
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
我々はなぜここにいるのか|プロジェクトの目的
エレベーターピッチ   |プロジェクトの概要
パッケージデザイン   |プロジェクトの概要
やらないことリスト   |スコープについて
プロジェクトコミュニティ|ステークホルダーについて
技術的な解決策の概要  |ー
夜も眠れなくなる問題  |リスクについて
期間を見極める     |マイルストーン、スケジュールについて
トレードオフスライダー |ー
何がどれだけ必要なのか |調達とコストについて

スコープ、ステークホルダー、リスク、マイルストーン、調達、コスト・・・のように分解すると、
どれも聞き覚えのあるキーワードがでてくるかと思います。
これらを軽量にまとめた資料がインセプションデッキといえます。

インセプションデッキを考案した人がうまいなと思うのは
「とても軽量であること(短時間で作成できる、敷居が低い)」と「質問が平易で誰にでも理解できるようになっている」ということですね。

インセプションデッキの正体がわかると、インセプションデッキを作成するときのディスカッションも更に質の高いものにできるのではないでしょうか。

さて、インセプションデッキは、その「運用」にもコツがあります。
次回は、インセプションデッキの運用について書いてみようと思います。

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